透析にはどんな種類がある?特徴や治療の流れ、費用を解説!

2019/5/20

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腎機能が低下すると体の中に老廃物が溜まり、むくみや血圧が上がるなどのさまざまな全身症状を引き起こします。これらの症状を防ぐために行われる治療法が透析です。では具体的に透析とはどのような流れで行う治療法なのでしょうか?
この記事では、透析の種類やそれぞれの目的、透析にかかる費用などを詳しく解説します。

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腎臓と透析

腎臓は、そら豆のような形をした左右に1つずつある臓器です。

尿を作り老廃物を除去する臓器というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、このほかにも以下のような働きをしています。

  • 血圧を調節する(血圧を調整する物質を作る)
  • 赤血球の生成を促進する(エリスロポエチンの産生)
  • 水分や電解質などの体の中のバランスを整える
  • ビタミンDを活性化させ、骨を丈夫にする

腎機能が低下すると、腎臓は正常に働くことができなくなり、体のむくみや血圧の上昇、貧血などの腎不全の症状を引き起こします。
そして腎臓の機能低下がさらに進行すると、意識障害や呼吸困難な度を引き起こし死に至ることもあるのです。

このような場合に、透析装置やご自身の腹膜などを使用して血液を浄化し腎臓に変わり体の水分や老廃物を除去する治療法が「透析療法」です。

透析を行うことで、生命を維持することができ、ある程度までは普通に生活することができます。
しかし、あくまでも機能が低下した腎臓の代わりをしているに過ぎず、腎機能を回復させる治療ではありません。そのため、治療は継続していく必要があります。

透析の種類

透析には大きく分けて「血液透析」「腹膜透析」があり、人工腎臓を使用して行う方法と、患者さん自身の腹膜を使用して行う治療方法があります。
血液透析と腹膜透析のどちらを選択するかは、患者さんの腎臓の状態や体質、ライフスタイルなどを考慮して決定します。

血液透析

血液透析は、人工腎臓に血液を通して体の老廃物や水分を取り除く治療法です。

血液透析では、腕に作られたシャントに針を刺して血液を体の外に取り出し、透析器のダイアライザーを通し血液中の余分なものを取り除いた後、再び体の中に戻します。
医療機関で週に3回、1回で4時間程度かけて行う治療を継続する必要があります。
血液透析の特徴をまとめると以下のようになります。

  • 血液をダイアライザーに通し、老廃物や水分を取り除き体に戻す治療法
  • 週に3回、4時間程度の治療時間で継続して行う必要がある
  • シャントの狭窄や閉塞、瘤の形成、感染などのリスクがある

治療の流れ

血液透析では、まず透析開始前に体重測定を行い、前回の透析からどの程度体重が増えているかを確かめ、当日の透析でどのくらい水分を除去するのかを決定し、その後透析を開始します。
透析中はベッドの上で過ごし、医療スタッフが定期的に透析装置と患者さんの容態を確認します。

透析終了後は、返血を行い再び体重を測定し透析は終了です。

腹膜透析とその特徴

腹膜透析は、ご自身のお腹にある腹膜を使用して、腹腔内に透析液を注入し、血液内の老廃物や水分などを透析液に移動させる治療法です。
腹膜透析を行うためには腹腔カテーテルを腹腔内に埋め込む手術を行う必要があります。

血液透析のように透析のたびに通院する必要はなく、通常1日4回、1回の交換時間は30分程度で継続して行う治療で、これまでのような生活を送りながら治療を受けることが可能です。
腹膜透析の特徴をまとめると以下のようになります。

  • ご自身の腹腔内に透析液を貯留して血液中の老廃物などを移動させる治療法
  • 通常1日4回、1回の交換時間は30分程度で透析のたびに通院する必要はない
  • 血液透析に比べ、透析導入後も残っている腎機能を長く保つことができる

治療の流れ

バックの交換時に貯留している透析液の廃液を行い、廃液の重さを測定します。
その後、新しい透析液を注入し、注入後はいつも通り過ごします。

腹膜透析の治療は通常は朝食時、昼食事、夕食時、就寝前での4回、それぞれ約30分ずつ行われますが、日中の交換をなくして夜間の就寝中に透析液を交換する方法もあります。

透析にかかる費用

透析の費用は1か月あたり患者1人につき、外来の血液透析では約40万円、腹膜透析では30~50万円程度かかります。

ただ、患者さんの経済的負担の軽減のための医療費の公的補助制度があり、透析導入後に「特定疾病療養受領証」の申請することで、1か月の自己負担額は医療機関ごとに1~2万円となります。
そのほかに、地方自治体による助成などもありますので、透析導入前に通院する病院のスタッフに確認しましょう。

おわりに:体調やライフスタイルに合わせて透析方法を決定しよう!

腎機能が低下すると体の中に老廃物が溜まり、体にさまざまな症状が起こります。体に起こる症状を防ぐために行われる治療法が血液透析や腹膜透析です。透析には種類があることを理解し、腎臓の状態や体質、ライフスタイルに合わせて透析方法を選択しましょう。

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