記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/6/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
免疫抑制薬とは、骨髄移植の後などに使用されることのある薬です。今回は、免疫抑制薬のはたらきや副作用などをご紹介します。
免疫抑制薬とは、体内の免疫反応の際、細胞のはたらきや細胞の増殖などを抑えることにより、免疫抑制作用をもたらす薬です。免疫反応は、体内の細胞や体外からの物質に対して、免疫グロブリンと呼ばれる病原体や異物を攻撃する物質、また炎症反応などを引き起こす「サイトカイン」という物質などが免疫細胞から放出されることによって引き起こされます。
免疫反応に関わる白血球の中でも、中心的な役割をもっているのはリンパ球といわれています。このリンパ球のT細胞がインターロイキン(IL)、インターフェロンなどのサイトカインを作り、免疫反応の司令塔としてのはたらきをもっています。
免疫抑制薬はリンパ球にはたらき、T細胞からサイトカインの生成を抑える、リンパ球の増殖に必要なDNAなどの合成を抑えることなどによって免疫抑制作用をもたらします。また、移植した臓器などに対してはたらく拒絶反応を抑制する効果が期待できます。
主な免疫抑制薬として、以下のようなものが挙げられます。
細胞のDNA合成を阻害することにより、B細胞を抑制するはたらきがあります。主に血管炎や全身性エリテマトーデス(ループス腎炎)などに使用されます。
リンパ球にあるT細胞の活性を抑え、主に臓器移植による急性拒絶反応に使用される薬です。またステロイド抵抗性の難治性ネフローゼ症候群、頻回再発型ネフローゼ症候群などにも使用されます。
細胞のDNA合成を阻害するはたらきがあります。主に全身性エリテマトーデスなどの膠原病や全身性血管炎などに使用されます。
細胞分裂を阻害する免疫抑制薬です。主に全身性エリテマトーデス、難治性のネフローゼ症候群などに使用されることがあります。
リンパ球にあるT細胞の活性を抑え、主に臓器移植による急性拒絶反応に使用される薬です。主にステロイド治療ではコントロールが難しいループス腎炎などに使用されます。
細胞の代謝を抑え、主に関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどで使用される免疫抑制薬です。
主な副作用として、ウイルス性、真菌性、細菌性などの感染症がみられたり、憎悪する恐れがあります。発疹やむくみ、尿量減少、一時的な尿量過多、出血傾向、手足の点状出血などがみられたら、すぐに医師や薬剤師へ相談しましょう。
免疫抑制薬は細胞の増殖などを抑え、全身性エリテマトーデスや臓器移植後の拒絶反応などに効果が期待できます。ただし、免疫抑制効果があるため、感染症にかかったり、尿量減少や出血といった副作用があらわれる可能性もあります。服用を始めてから体調変化がみられたら、すぐに医師や薬剤師へ相談しましょう。