アルコールで脱水状態になる理由と予防対策について

2023/4/19

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

アルコールを飲んだ日は水もしっかり飲んだほうがいい、と言われたことはありませんか?これはアルコール摂取によって脱水状態に陥るリスクが高くなるためです。また、このような脱水症状は二日酔いを引き起こす原因にもなります。この記事では、アルコールによって脱水状態が起こる原因と、予防対策について解説していきます。

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アルコールを飲むと脱水状態になりやすい理由

アルコールを飲むと体にさまざまな反応が起こります。中には、不調をきたすこともあり、その中のひとつが脱水症状です。私たちの体は、成人で約60~65%も水で満たされているといわれており、体内に入ってくる水分量と体外へ出ていく水分量(体液の量)は一定に保たれています。脱水症状とは、体内の体液が失われ、水分と電解質が不足することで起こります。

アルコールによる脱水症状には、2つの作用が関係しています。ひとつは、アルコールによる利尿作用です。お酒を飲んだ以上に、水分が尿として排出されてしまいます。たとえば、利尿作用が強いビールの場合、「1リットルのビールを飲むと1.1リットルの水分が失われる」といわれています。

もうひとつの作用は、アルコールの分解そのものに体の水分が使われるということです。アルコールを摂取したときに発生する有害物質「アセトアルデヒド」は、体内で酢酸に分解され、さらに二酸化炭素+水へと分解されて排出されていきます。その分解に関わる酵素が作用するためには、水分が必要となります。

脱水状態が二日酔いを引き起こすって本当?

アルコールを摂取したときに発生するアセトアルデヒドという有害物質は、二日酔いを引き起こす原因にもなります。二日酔いとは、お酒を飲んだ翌朝などに、頭痛や吐き気などの不快な症状が出ている状態です。二日酔いは、アセトアルデヒドが肝臓で十分に処理されなかったことが原因で起こります。胃の粘膜が荒れて胃腸の働きも悪くなるので、胃痛や胸やけが起こることもあります。

飲酒時は、アルコールの利尿作用や、乳酸や尿酸などの酸性物質の増加によって脱水症状に陥りやすくなります。体内の水分が不足した状態になると、尿と一緒にアセトアルデヒドを排出しづらくなるため、二日酔いの症状が出やすくなってしまいます。飲酒時、飲酒後には、積極的に水分を補給し、アセトアルデヒドの排出を助けることが大切です。

二日酔い予防することはできる?

二日酔いを予防するためには、アセトアルデヒドの排出をいかにスムーズに促せるかが大切になってきます。そのためには、アルコールとは別に水分を補給し、脱水症状を防げるようにしましょう。体内の水分が失われるときは、電解質(ミネラル類)も失われていきます。水分を補給するときは、適量の電解質も摂取するようにしてください。電解質とは、具体的にはナトリウム(塩分)やカリウムなどの成分で、枝豆の塩ゆでやもろきゅうなどのおつまみにも含まれています。お味噌汁などは、水分も同時に補給することができるためおすすめです。

飲み会後や翌朝、自分で脱水気味だと感じたときは、「経口補水液」もおすすめです。水分と電解質が素早く吸収できるよう設計された飲料なので、ぜひ活用してください。
※医師から食事制限の指導をされている場合は、必ず医師の指示に従ってください。

おわりに:アルコールから生まれる有害物質の分解には水分が必須!

アルコールを摂取しすぎると、脱水症状を引き起こすことがあります。これは、アルコールによる利尿作用と、アルコール分解そのものに水が使われていることによるものです。アルコールを摂取したときに発生するアセトアルデヒドは有害物質であり、二日酔いの原因にもなります。お酒を飲んだときに起こる脱水症状や二日酔いの予防には、水分を多く摂取してアセトアルデヒドの分解と排出を助けることが大切です。お酒を飲むときは、水分と適量の電解質(ナトリウムやカリウム)を摂取するようにしましょう。

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