記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/7/6 記事改定日: 2020/4/20
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
脱水症状は自覚しづらいです。早めに対処するには「ちょっとした変化」に気づく必要があります。
この記事では、脱水症状の特徴と予防法、対処法について解説していきます。家族や友人など、大切な人を守るためにも参考にしてください。
脱水症状とは、体液が失われることで体の機能がうまく働かなくなり、生命維持活動にも障害が起こる状態のことです。
人間の体には、子供で約70%、成人で約60%、高齢者で約50%の割合で水分が含まれています。
体液とは「体に含まれる液体」のことで、以下の種類があります。
体液は、酸素や栄養素を運んだり、不要になった老廃物を排出したり、体温を調節したりといった役割があり、体の機能を維持するために必要なものです。
脱水症状が疑われる症状には、以下が挙げられます。
上記以外にも、汗や尿が少なくなる、体温が高くなるといった変化が現れることもあります。
ただし、脱水症状はある程度進行してからでないとはっきりした症状が現れないことが多いので注意が必要です。症状が現れ始めると一気に悪化することもあるため、ちょっとした変化であっても無理をせず、涼しいところで休むなど、適切な対処をしましょう。
脱水症状はなかなか表に現れにくく、自覚症状があるときや周りからみて気づかれるような状態になっているときには、すでに脱水症状が進行していることも少なくありません。このように、脱水症状を起こしかけているのに気づかれていない状態を「かくれ脱水」と呼ぶことがあります。
また、脱水と聞くと暑さが厳しい夏や、インフルエンザや感染性の大腸炎などが流行しやすい冬をイメージするかもしれませんが、気温の変動が激しく心身ともに不調をきたしやすい春にも起こることがあるため注意が必要です。
子供や高齢者は自身の体調不良に気がつかなかったり我慢したりすることも多く、発見が遅れがちです。さらに高齢者は水分を補給しても回復しづらく服薬の影響でからだから水分が排出されやすい状態のためや脱水が進みやすい傾向があるので、周囲の人はとくに注意しましょう。
通常の生活をしているだけでも、尿や便、呼吸や汗によって1日に約2.5Lもの水分が失われます。食事に含まれる水分や体内でつくられる水分を考慮しても、1〜2リットル程度の水分を補給する必要があるでしょう。
水分はこまめに補給することが大切です。のどが渇いたと感じたときには脱水が進んでいることもあるので、水分は「のどが渇く前」に補給するようにしましょう。
入浴中や睡眠中は水分が失われやすいので、入浴前後や睡眠の前後にはコップ1杯の水を飲むことを習慣づけてください。
脱水症状の人を見つけたときは、電解質を含んだ経口補水液やスポーツドリンクなどをできるだけ多く飲ませることが大切です。また、温度が高い場所で多くの汗をかいているときは、涼しい場所に移動して休ませ、体温が高いときは脇の下や首、脚の付け根などを氷・ぬれタオル・アイスノンで冷やしてください。
脈や呼吸が正常な状態に戻り、口や唇の乾きが改善すれば脱水症状は改善したと考えられます。しかし、水分を十分に摂れない場合、意識が朦朧として呼びかけへの反応が悪い場合などは早急な治療が必要な状態の可能性があります。すぐに病院へ行けない場合は救急車を呼ぶようにしましょう。
脱水症状とは、体内の水分が失われてしまうことで体温調節機能を始めとする身体機能が十分に働かなくなる状態をいいます。放置すれば、後遺症が残ったり命に関わる状態に陥ることも少なくありません。
脱水症状は、夏や冬だけではなく春にも起こりうる緊急事態です。こまめな水分補給を心がけ、いざというときのために脱水症状の人を見つけたときの対処法を覚えておきましょう。