記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/7/14
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「夏風邪はしつこい」「お腹に症状が出てくるからつらい」など、夏風邪は冬とは違う症状に悩まされる病気です。つらい夏風邪から体調を回復させるために、わたしたちはどんなことをすればよいのでしょうか。この記事で対処法や予防法を解説します。
6月末から8月にかけて増える「夏風邪」は、ウイルスの感染による病気です。代表的にものに「手足口病」「ヘルパンギーナ」、「プール熱(咽頭結膜熱)」などがあります。
手足口病は、熱は微熱程度ですが、手のひらや足の裏、口の中に、普通は痛みのない米粒大の水疱性発疹があらわれます。口の中の発疹が痛み食事が困難になることもあります。
ヘルパンギーナは、38~40℃の高熱が突然出て2~3日続き、のどの奥に小さな水ぶくれができるのが特徴です。痛みで水分もとれなくなり脱水症状を起こすことがあります。
プール熱は、39~40℃の高熱が4~5日続き、結膜炎になります。のどの痛みのほか、頭痛や下痢をともなうこともあります。
夏風邪の原因となるウイルスは、冬の低温で乾燥した環境を好むタイプとは異なる、高温多湿の環境を好むウイルスです。夏に活動的になるウイルスの代表的なものが、「エンテロウイルス」や「アデノウイルス」です。エンテロ(腸)、アデノ(のど)という名の通り、発熱に加えて腹痛や下痢、のどの痛みなどが特徴的な症状としてあらわれます。
夏風邪はお腹にきやすいといわれたり、のどの痛みから飲食が難しくなって体力を低下させてしまうことがあるのはこのせいで、症状が長引きやすくなります。
高熱が続く時は水分を十分にとってぐっすり眠り、体力の回復を心がけます。腹痛や下痢がある場合、市販の解熱・鎮痛薬や風邪薬には胃腸障害や便秘を起こしやすいものがあります。下痢はウイルスを排出させるもので、便秘になると症状が長引いてしまう恐れがあります。脱水症状を起こさないよう水分を多めにとるよう心がけ、腹痛や下痢が続くときには医師から適切な薬を処方してもらうようにしましょう。
のどが痛む場合は、軽ければ濡れマスクをこまめに交換し、常に清潔を保つようにして使用するのも効果的です。腫れがひどくて飲み物などが通りにくい場合は、早めに受診して悪化させないことが大切です。
夏風邪の主な原因として、体の冷えや睡眠不足、不規則な偏った食事などによる免疫力の低下があるといわれています。予防には、室内が冷え過ぎないようエアコンの温度管理を行うこと、汗をかいたら衣服はこまめに着替えること、栄養バランスの取れた食事をすること、質の高い睡眠をとること、こまめに水分補給すること、うがい・手洗いの徹底などがあげられます。
冷え過ぎてしまいそうなときには長袖や腹巻を着用したり、食事では発汗をうながし免疫力を高めるショウガやニンニクを積極的にとることで回復が早まる場合もあります。
夏風邪は、高温多湿を好むウイルスによって引き起こされる、発熱に加え腹痛や下痢、のどの痛みなどの症状が特徴的な病気です。発疹を起こす手足口病、高熱とのど奥に水疱ができるヘルパンギーナ、高熱と結膜炎を起こすプール熱などが代表的で、症状がひどければ早めに受診して薬を処方してもらいましょう。予防には、体を冷やし過ぎず、バランスの良い食事を心がけることが大切です。