記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/7/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ビタミンDは体内でつくり出すことのできるビタミンで、体に欠かせない栄養素のひとつです。ただし摂りすぎることによって、体に影響が出ることもあります。そこで今回はビタミンDの摂取量の目安などをご紹介します。
ビタミンDは、脂溶性ビタミンの一種です。食べ物から摂取できる以外に、日光を浴びることによって体内でつくり出すことができます。また以前は「IU(アイユー)」という国際単位で表されていましたが、現在では「μg(マイクログラム)」で統一されています。
ビタミンDは腎臓や小腸でリンとカルシウムの吸収を促し、血中のカルシウム濃度を保ちます。また、カルシウムを主成分とした骨を丈夫にする役割があります。
骨は成長期だけでなく、大人になってからも約3年のサイクルで新しくつくられます。骨は他の細胞と同様に、骨芽細胞によって新しい骨がつくられる「骨形成」と、破骨細胞によって古い骨が壊される「骨吸収」を常に新しく生まれ変わっていて、この繰り返しによって、骨は一定のしなやかさと強さを保っていると考えられています。ビタミンDは、古い骨を壊す破骨細胞が骨に近づけられないようにはたらきかけ、骨が壊されるのを防ぐ役割があることがある研究でわかってきました。
また、骨の主成分であるカルシウムは、食べ物から摂取したうちの20~30%程度しか体内に残らないと考えられています。しかし、ビタミンDを同時に摂ることで小腸の細胞膜にカルシウムが取り込まれやすくなり、その吸収率が上がることが知られています。このほか、ビタミンDは体内に侵入したウイルスや細菌と闘ったり、筋肉を動かしたりするはたらきもしています。
ビタミンDの年齢別の摂取基準量は、以下の通りです。目安量は、栄養状態を維持するために十分な量とされています。また、目安量を超えて摂取している場合には、ビタミンD不足のリスクはほとんどないと考えられています。
ビタミンDが不足すると、「ビタミンD欠乏症」を生じて筋肉や骨が弱くなります。また、カルシウムの体内への吸収率も下がるため、「低カルシウム血症」を引き起こす場合もあります。
しかし一方で、ビタミンDを過剰に摂取することによるリスクもあります。症状として、食欲不振、吐き気、便秘、体重減少などがみられます。また、ビタミンDはカルシウムの吸収を促進するはたらきがあるため、カルシウムの血中濃度を高めることにつながります。そのため、心拍リズムの異常や錯乱、また腎臓を傷つける可能性などもあります。
安全なビタミンDの摂取量は、幼児は25~37.5μg、1~8歳の小児は62.5~75μg、9歳以上の小児や成人(妊娠または授乳中を含む)は100μgです。
嘔吐や吐き気、食欲不振などの症状がみられたら、ビタミンDの摂取をすぐに止めましょう。カルシウムの血中濃度が上昇することによって高カルシウム血症を発症している場合には、副腎皮質ステロイド薬の投与や、慢性肉芽腫症など特定の病気を発症している場合にはそれぞれ病気の治療などが必要です。
骨や筋肉を強くするといっても、摂りすぎることによって吐き気や嘔吐などがみられることもあります。目安量を守り、適度に摂取するように心がけましょう。