記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/6/29
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ウイルス感染が原因で発症する夏風邪には、抗生物質が効きません。特効薬がない夏風邪を効率よく、しっかりと治すには、どう対処すれば良いのでしょうか。今回は、夏風邪を引いたときの適切な過ごし方について、おすすめの食事内容と一緒にご紹介していきます。
夏風邪の原因となるのは、「アデノウイルス」や「エンテロウイルス」のような、夏の高温多湿の環境で活性化するウイルスです。アデノには喉、エンテロは腸という意味があり、それぞれ感染後には喉・腸で急速に増殖し、特徴的な以下の症状を引き起こします。
倦怠感や関節痛、頭痛、発熱が主症状となる冬の風邪とは、症状が異なるのが特徴です。
たとえ発熱していても、下痢や腹痛など消化器症状が出ている場合は、胃腸に作用しやすい市販の解熱鎮痛薬や風邪薬は、服用しないでください。下痢はウイルスを排出するための症状です。まずは1時間に1回程度しっかり水分を補給しつつ、安静にして様子を見るのが良いでしょう。
喉の乾燥とウイルスの繁殖を防ぐために、濡れマスクを使用して喉を潤します。さらに、15分に1回程度2~3口水分を摂るようにし、常に喉の粘膜が潤った状態を維持すると効果的です。
ただし、ウイルスはマスクの長時間使用による不潔な環境でも繁殖しますので、マスクは早めに交換するようにし、清潔な状態を保ってください。
なお、あまりに腹痛や下痢、発熱がひどく脱水症状や体力の消耗が心配される場合、また食事が難しいほど喉の痛みが強い場合は、ウイルスがかなり増殖していると考えられます。このような場合は無理に我慢しないで、早めに病院を受診し薬を処方してもらいましょう。
冷房による冷えや乾燥、また外気温との差で自律神経の働きが乱れ、免疫力が低下しやすくなることも、夏風邪の一因となります。熱中症予防のためにも冷房は必要ですが、以下のポイントを押さえて、体が冷えすぎないよう十分に気をつけましょう。
ここからは症状別に、夏風邪を引いたときに摂るべき食事のポイントを解説します。
脱水症状の予防に必要な、水分と塩分を十分に摂取できる食事が望ましいです。
消化に良い以下のような食品を、普段の食事よりも柔らかく調理して食べてください。
どうしても食欲がないときは、みそ汁や野菜スープの上澄みや、スポーツドリンクを飲むようにして脱水症状を予防しましょう。
炎症を起こしている喉を刺激せず、飲みこみやすい食事内容が望ましいです。
つるんとした食感や冷たいもの、喉の痛みを和らげる作用のあるものなど以下のような食品なら、発熱や喉の痛みがあるときにも食べやすいでしょう。
本人の食欲や病状に合わせて、食べられそうなものから用意してあげてください。
暑くなる頃に消化器の不調や発熱、喉の強い痛みを感じるようなら、夏風邪を引いている可能性が高いです。夏風邪はウイルス感染によるもののため、特効薬はありません。十分に水分補給しつつ、症状と体調に合わせた食事を摂りながら、ゆっくりと治していきましょう。ただ、あまりに体力の消耗が激しく、喉の痛みが強いようなら、早めに病院に行き、医師に診てもらってください。