記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/9/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
エンテロウイルスによる感染症は、夏の時期に発生しやすいといわれています。そこで今回は、エンテロウイルスの感染経路や感染症の症状、予防法などをご紹介します。
ウイルスは、DNAウイルスとRNAウイルスにわけられ、DNAは主に遺伝子情報を伝え、RNAは主にタンパク質を合成する役割をもっています。
エンテロウイルスとは腸管の中で増えるウイルスの総称で、自然界で最も一般的とされる1本鎖RNAのピコルナウイルス科のウイルスです。その種類は多岐にわたり、コクサッキーウイルスやポリオウイルス、エコーウイルスなど、67種類が存在しています。感染症は夏の時期に多く発生し、流行する型はその年によってそれぞれ異なります。
エンテロウイルスは、鼻の粘液や痰、唾液など、感染者の気道にある分泌物に出てきます。そのため、感染者の分泌物に触れた手や分泌物が付着したものをなめることなどにより、ウイルスに感染することがあります。また、エンテロウイルスは便の中にもいるため、乳幼児が感染している場合にはおむつ交換後に手洗いをしっかりするなどの対策をとらないと感染する場合があります。
特定の地域で大流行を引き起こすこともあり、感染力は比較的強いことが特徴です。また大人よりも幼い子どもが感染しやすい傾向にあります。通常、エンテロウイルスの潜伏期間は3~7日間とされ、この期間内は他の人に移す可能性があります。
エンテロウイルスに感染した場合にみられる症状としては、発熱、腹痛や下痢、咽頭炎や急性気管支炎などがあります。また、皮膚や粘膜の発疹、結膜炎やヘルパンギーナなども引き起こす可能性があります。特に重症になると、心筋炎や脳炎、ポリオや無菌性髄膜炎などを起こす恐れもあります。
基本的に、エンテロウイルスに対する治療法は症状を和らげる対症療法です。たとえば、口内炎ができた場合には粘膜保護剤として軟膏や鎮痛剤が処方される場合があります。また牛乳や麦茶など、のどごしの良い飲みものは、のどの痛みを刺激せずに口にすることができます。豆腐やゼリー、冷えたおかゆなど、噛まずに飲み込めるものを食べるのがおすすめです。
エンテロウイルスの感染予防のためのワクチンは、現在ありません。そのため、しっかりと手洗いをすることが予防として効果的とされています。また、マスクをすることで感染した人の咳やくしゃみを防ぐことができるでしょう。
エンテロウイルスは感染者の唾液や痰などが、手などを介して体内に入り込むことで感染すると考えられます。そのため、しっかりと手洗いやマスクをし、感染症を予防しましょう。