記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/1/24
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ペットや愛する人が亡くなったとき、
友人と大喧嘩したとき、
仕事をクビになったとき、
人は悲しい気持ちを味わいます。
ただ、どんな悲しみなら正常で、どこからが要注意(うつ病の状態)なのでしょうか?
また、悲しい気持ちにはどう対処すればいいのでしょうか?
そんな疑問にお答えする、医師監修の情報をお届けします!
自分自身や親しい誰かが悲しんでいるなら、ぜひ目を通してください。
自分にとって大切なだれかや物を失ったときに悲しい気持ちになるのは、正常で健康的な反応です。
悲しい気持ちには段階があります。精神科医エリザベス・クブラー=ロスは、末期のがんと診断された人々がどのようにして悲しんだかを研究し、以下のような「5段階モデル(死の受容モデル)」としました。
・否定:「こんなのはウソ。私には関係ない」
・怒り:「なぜこんなことが起こったの?だれが責任を負うの?」
・交渉:「こんなことさえ起こらなければ、人生を変えられるのに」
・落胆:「もうどうでもいい」
・受容:「起きた出来事に穏やかな気持ちで向き合っている」
これらの気持ちはすべて正常です。しかし、だれもがこれらを同じ順序で経験するわけではなく、いくつかの段階を繰り返します。
悲しい気持ちには心理的症状と身体的症状の両方が含まれており、うつ病の症状とも似ています。
~心理的症状~
・怒り
・不安とパニック発作
・非難
・交渉
・混乱
・拒否
・動揺
・恐れ
・罪悪感
・過敏
・孤独感
・麻痺
・ショック
~身体的症状~
・涙がとまらない
・下痢
・めまい
・速い鼓動
・のどがつかえるような感覚
・幻覚
・頭痛
・過呼吸
・吐き気
・空腹を感じない
・息切れ
・睡眠障害
・胸の圧迫感
・疲れ
・体重の減少または増加
個人差があるため正しい方法はありませんが、悲しい気持ちに向き合い、以下を実践することが大切です。
・いまの気持ちを人に話す
・気持ちに圧倒されないよう、日々のタスクをこなす
・十分な睡眠、バランスのとれた食事、定期的な運動
・飲酒を避ける:アルコールで落ち込みやすくなることがあります。
・泣いたり、怒ったり、ボーっとしたり、自分の気持ちを表現する
多くの場合、悲しい気持ちは6〜8週間もすれば薄れていき、半年から4年も経てばなくなっていきます。それでもまだ悲しみが癒えないなら、友人、家族、医師などに助けを求めてください。
悲しい気持ちは大切なものを失った直後にやってきますが、多くの場合は一過性です。
ただ、時間が経ってもその気持ちがなくならない、日常生活に戻れない、自分や他人を傷つけることを考え始めたら、うつ病かもしれません。すぐに医師に相談し、うつ病の治療をはじめてください。
以下のような気持ちがあれば、それは「正常」な悲しみを超えた危険な「自殺願望」です。うつ病の可能性があります。
・罠にはまったような絶望的な感じがして、抜け出したい
・生きていられないほど苦痛で、どうすることもできない悲しい気持ちが生まれる
・死、瀕死、暴力のことばかり考える
・友人や家族にとって自分は必要ないと考える
また、自殺しそうな人には以下のような傾向があります。
・「自分は死んだほうがいい」「生まれなければよかった」などと言う
・自殺方法を考える
・友人、家族、社会的な環境から引きこもる
・家族や友人に別れを告げる
・アルコールや薬物を乱用したり、危険な行動に出る
・人格の変化や急激な気分変動が見られる
激しい感情的苦痛があり、逃げ道が見えないときに自殺願望が起こります。
その苦痛は永遠のように感じるかもしれませんが、自殺願望はうつ病などの治療可能な病気によって引き起こされることが多いということを覚えておいてください。
うつ病は、脳内の化学物質を変化させ、気分、思考、感情に影響を与える重大な病気です。この病気が原因で、幸せを感じたり、楽しい時間を思い出したり、問題の解決策を見つけたりすることが難しくなってしまうことがあります。
自分でできる対処法は以下のとおりです。
自殺願望にしたがって行動する必要はありません。助けを求め、治療を受けるために時間を置く、と自分に言い聞かせてください。
あなたは決して一人ではありません。今は、家族があなたを心配しているようには感じられないかもしれませんが、周りの人はあなたを助けたいと思っています。何が起こっているのかを誰かに伝えてください。友人や家族、主治医などに相談してください。
一般的には、孤独、飲酒、薬物乱用などがあります。これらの代わりに毎日家族や友人と時間を過ごしてください。アルコール、薬物、自傷行為のために使用したり使おうとしたりしたものを避けることで、自分の身を守りましょう。
食事や運動について、医師のアドバイスに従ってください。十分な睡眠を取り、ストレスの対処法を学んでください。楽しめる趣味に没頭するのもいいでしょう。抗うつ薬を服用している場合は、正しい時間に正しい量を服用してください。
悲しい気持ちは誰でも味わうことのある感情です。ただ、それが一過性のものではなくずっと続くようであれば、うつ病の可能性があります。特に自殺願望などが出てきたら要注意。すぐに専門医のサポートを受けてください。もし「病院には行きたくない」と思うなら、信頼できる友達や家族に話を聞いてもらうことが効果的です。きっと周りの人は、あなたを支えたいと思っているはずですよ。