記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/9/25
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
何かに懸命に打ち込んだあと、気力がなくなって何も手に付かなくなってしまう状態になったことはありませんか。このような場合に考えられるのが「燃え尽き症候群」です。この記事では、燃え尽き症候群の特徴や原因、チェック方法や回避策について解説します。
燃え尽き症候群は、1970年代にアメリカのフロイデンバーガーという精神分析学者によって英語で燃え尽きることを意味する「Burn out」として定義されました。とくに勉強や仕事に熱心に取り組んでいる人に、以下のような症状が現れるのが特徴です。
燃え尽き症候群が定義された当時は医師や看護師、教師、カウンセラーなど対人で仕事をする人に起きやすい症状と考えられてきましたが、近年では職業にかかわらず発症することがわかっています。
気分の落ち込みや無気力感、疲労感という点でうつ病と共通する症状も見られますがその傾向には違いがあります。うつ病では一貫した気分の落ち込みが見られますが、燃え尽き症候群では自責の念や怒り、喪失感など、自分への失望や懲罰意識が強くなるのが特徴です。
燃え尽き症候群の原因を一言で表すなら「過剰労働によるストレス」です。ただし、単純に「労働時間が長い」「仕事量が多すぎる」ことのストレスだけで、燃え尽き症候群を発症するとは限りません。
70年代から燃え尽き症候群について研究を続けるカリフォルニア大学バークレー校名誉教授Christina Maslach氏は、職場での以下6つの要素が発症の原因となるとしています。
上記のうち1つでも本人が求める・満足できる水準に達していないと、燃え尽き症候群を発症する可能性があるとされています。つまり、燃え尽き症候群はその人の国籍・性別・役職などの社会的地位にかかわらず、誰にでも発症する可能性があるといえます。
以下に、燃え尽き症候群発症のリスクを判定できる10個の項目をご紹介します。「まったくない」を1点、「しばしばある」を5点、「常にある」を7点として3段階で評価し、合計の点数を計算してみましょう。
点数の合計が40点以上の場合は、燃え尽き症候群を発症している可能性があります。また、40点以下でも①・②・⑨の項目に対して1つでも「しばしばある」「常にある」と評価した場合は気をつけたほうがよいでしょう。
燃え尽き症候群を発症しやすい人の特徴として、以下の2つが挙げられます。
仕事や勉強に取り組むうえで高い目標をかかげ、その達成のために「頑張らなければ」「このままの自分ではダメだ」と自身を追い込む人が、燃え尽き症候群になりやすいのです。
仕事や勉強において、高い理想や目標をかかげるのは大切なことです。しかし、仕事や勉強での高いパフォーマンスは、その人の心身の健康があってはじめて、達成が可能になるものです。
目標を掲げて物事に熱意をそそぐときは、まずは自分の心身の状態を考えてみましょう。物事の成果があなたの心身の状態に比例することを忘れず、意識的に自分を甘やかすようにして取り組むと、燃え尽き症候群の発症を予防できます。
物事に熱心に取り組むあまり、自分への懲罰意識や疲労感、無気力感に苛まれるようになる状態を燃え尽き症候群、バーンアウトと言います。仕事や勉強をするうえでの過剰なストレスによって発症し、特に責任感が強く完璧主義で、無意識に自分を追い込んでしまう人が発症しやすい症状です。燃え尽き症候群の発症は、物事に取り組むときの姿勢や目標設定を改めることで予防できます。自分の心身を守ることを最優先で考えましょう。