在宅介護で見直したい転倒予防の住環境

2026/4/29

住み慣れた家にも転倒のきっかけがある

高齢者の転倒は、外出先だけでなく自宅でも起こります。住み慣れた家であっても、段差、敷物、電源コード、暗い廊下、滑りやすい浴室などが転倒のきっかけになることがあります。加齢に伴い、筋力やバランス機能、視力が変化すると、これまで問題なく歩けていた場所でもつまずきやすくなります。

転倒は、骨折や頭部外傷につながることがあり、その後の生活機能に影響する場合があります。過度に不安をあおる必要はありませんが、家の中の危険を減らすことは、介護予防の基本です。本人の動線を確認し、よく歩く場所から優先して整えることが大切です。

玄関、廊下、階段の見直し

玄関は段差があり、靴の着脱で姿勢が不安定になりやすい場所です。手すり、椅子、滑りにくいマットを置くことで、立ち座りや方向転換がしやすくなる場合があります。靴はかかとが安定し、脱げにくいものを選びます。サンダルや大きすぎる靴はつまずきの原因になることがあります。

廊下や階段では、床に物を置かないことが基本です。新聞、洗濯物、買い物袋、電源コードなどが通路にあると、足を引っかけやすくなります。夜間にトイレへ行く人では、足元灯やセンサーライトを活用すると、暗い中での移動を減らせます。階段には手すりを設置し、滑り止めをつけることも検討します。

浴室とトイレは慎重に整える

浴室は床が濡れやすく、転倒のリスクが高い場所です。滑り止めマット、手すり、シャワーチェアなどを使い、立ったままの動作を減らすことが役立ちます。浴槽をまたぐ動作が不安定な人では、入浴方法を見直す必要があります。寒い時期は脱衣所と浴室の温度差にも注意し、体調に合わせて無理のない入浴を心がけます。

トイレでは、夜間や起床直後にふらつきが出やすいことがあります。便座からの立ち上がりが不安定な場合は、手すりや補高便座などを検討します。急いで移動しなくて済むように、寝室からトイレまでの動線を短くし、途中の障害物をなくします。必要に応じてポータブルトイレの利用も選択肢になります。

介護保険の住宅改修を活用する

手すりの取り付け、段差の解消、滑り防止のための床材変更、引き戸への交換、洋式便器への取り替えなどは、介護保険の住宅改修の対象になる場合があります。利用には要介護認定や事前申請などの手続きが必要です。自己判断で工事を進める前に、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しましょう。

住宅改修では、単に設備を増やすだけでなく、本人の動作に合っていることが重要です。手すりの高さや位置、向きが合わないと使いにくくなります。可能であれば、本人が実際に立つ、座る、歩く動作を確認しながら、専門職と一緒に検討します。

転倒後の対応とまとめ

転倒した後は、すぐに立たせようとせず、意識、痛み、出血、頭を打った可能性を確認します。強い痛み、動けない、頭部打撲、意識がぼんやりする、嘔吐、麻痺、呼吸困難がある場合は、医療機関への相談が必要です。軽い転倒に見えても、抗凝固薬など血液を固まりにくくする薬を飲んでいる人では、頭部打撲後の変化に注意します。

転倒予防は、本人の注意力だけに頼るものではありません。家の環境、身体機能、薬、照明、履物を合わせて見直すことが大切です。まずはよく使う場所から整え、定期的に見直していきましょう。

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