高齢者と家族が知っておきたい感染症シーズンの備え

2026/4/29

高齢者の感染症対策は日常生活の延長で考える

高齢者は、感染症にかかったときに体力を消耗しやすく、持病がある場合は体調が不安定になることがあります。感染を完全に避けることは難しいものの、日常生活の中でできる対策を重ねることで、発症や重症化のリスクを下げることが期待されます。特に、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、肺炎球菌感染症などは、高齢者本人だけでなく、家族や介護者も情報を確認しておきたい感染症です。

感染症対策は、外出を控えることだけではありません。手洗い、換気、体調管理、予防接種、早めの相談先の確認などを組み合わせることが大切です。介護を受けている人では、本人が症状を訴えにくいことがあるため、食欲、会話、呼吸、活動量の変化を見守ります。

予防接種の対象と時期を確認する

高齢者では、インフルエンザワクチン、新型コロナワクチン、高齢者肺炎球菌ワクチンなどが定期接種の対象になる場合があります。インフルエンザワクチンは、65歳以上の人と、60歳から64歳で一定の基礎疾患がある人が定期接種の対象とされています。新型コロナワクチンも、2024年度から高齢者などを対象に定期接種として実施されています。

高齢者肺炎球菌ワクチンは、2024年4月以降、主に65歳の人と、60歳から64歳で一定の障害がある人が定期接種の対象です。過去の接種歴によって対象外となる場合があるため、自治体からの案内や医療機関で確認しましょう。予防接種は、感染を完全に防ぐものではありませんが、重症化予防の目的で行われます。持病やアレルギー、過去の副反応がある人は、接種前に医師へ相談します。

家庭で続けたい基本の感染対策

手洗いは、帰宅後、食事前、トイレ後、介護の前後に行います。石けんと流水で手を洗い、洗い残しやすい指先、指の間、手首も意識します。咳やくしゃみが出るときは、マスクやティッシュ、袖で口と鼻を覆い、周囲に飛沫が広がりにくいようにします。

室内では、換気と適度な湿度を意識します。寒い時期は窓を開けにくくなりますが、短時間でも空気を入れ替える習慣をつけます。本人が冷えないように、ひざ掛けや上着を使いながら行います。睡眠不足や食事量の低下は体調を崩すきっかけになることがあるため、栄養と休養も感染症シーズンの備えに含まれます。

介護者が体調不良のときの対応

家族や介護者が発熱、咳、のどの痛み、強いだるさなどを感じるときは、可能な範囲で高齢者との接触を減らします。やむを得ず介護を行う場合は、マスク、手洗い、換気を徹底し、食器やタオルの共有を避けます。訪問介護や通所サービスを利用している場合は、事業所のルールに沿って早めに連絡します。

高齢者本人に発熱、咳、息苦しさ、食欲低下、意識がぼんやりするなどの変化がある場合は、かかりつけ医や相談窓口に連絡します。症状が軽く見えても、急に悪化することがあります。呼吸困難、意識障害、唇の色が悪い、強いぐったり感がある場合は、緊急性を考えた対応が必要です。

備えを生活の中に組み込む

感染症シーズンに慌てないためには、平時から準備しておくことが大切です。体温計、常備薬、お薬手帳、保険証、かかりつけ医の連絡先、利用中の介護サービスの連絡先をまとめておきます。水分や消化のよい食品、マスク、手指衛生用品も、無理のない範囲で備えておきます。

感染症対策は、過度に生活を制限するためのものではありません。高齢者本人の生活の楽しみを保ちながら、予防接種、手洗い、換気、体調観察を組み合わせることが現実的です。家族や介護職が同じ情報を共有し、早めに相談できる体制を整えておきましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

高齢者(109) 予防接種(56) 感染症対策(6)