高齢者の聞こえにくさと生活上の工夫
2026/4/29
聞こえにくさは生活の不便につながる
高齢になると、会話が聞き取りにくい、テレビの音が大きくなる、呼びかけに気づきにくい、聞き返しが増えるといった変化がみられることがあります。加齢に伴う聞こえにくさは少しずつ進むことが多く、本人より周囲が先に気づくこともあります。聞こえにくさがあると、会話を避ける、外出が減る、危険を知らせる音に気づきにくいなど、生活への影響が出る場合があります。
厚生労働省は、難聴によってコミュニケーションがうまくいかなくなる、社会的な孤立につながることがあると示しています。聞こえにくさは、単なる不便ではなく、本人の安心感や社会参加に関わる問題です。早めに気づき、生活の中でできる工夫と医療機関への相談を組み合わせることが大切です。
家族や介護職ができる話し方の工夫
聞こえにくい人に話すときは、後ろから急に声をかけるのではなく、正面から顔を見せて話します。口の動きや表情が見えると、内容を理解しやすくなることがあります。大声で叫ぶよりも、少し低めの声で、はっきり、ゆっくり、短く話すほうが伝わりやすい場合があります。
周囲の音を減らすことも大切です。テレビをつけたまま話す、台所の換気扇や水音がある場所で話す、人が多い場所で同時に話すと、聞き取りにくさが強くなります。大事な話は静かな場所で一つずつ伝えましょう。聞き返されたときは、同じ言葉を大きく繰り返すだけでなく、別の言い方に変えると伝わることがあります。
補聴器を考えるときの注意点
補聴器は、聞こえにくさを補うための選択肢のひとつです。ただし、購入すればすぐにすべての音が自然に聞こえるわけではありません。耳の状態や聞こえ方に合わせた調整が必要で、慣れるまで時間がかかることがあります。まずは耳鼻咽喉科で、耳あか、耳の病気、加齢性難聴などの状態を確認することが望まれます。
補聴器を使う場合は、認定補聴器技能者など専門知識を持つ人に相談し、試聴や調整を行いながら本人に合うものを選びます。片方だけでよいか、両耳が必要か、操作がしやすいか、電池や充電の管理ができるかも確認します。家族は、本人が使いこなせないことを責めず、少しずつ慣れる時間を支えることが大切です。
受診を考えたい聞こえの変化
片耳だけ急に聞こえにくくなった、耳鳴りやめまいを伴う、耳の痛みや耳だれがある、急に会話が成り立ちにくくなった場合は、早めに耳鼻咽喉科へ相談しましょう。急な難聴は、早期の対応が重要な病気が関係していることもあります。
聞こえにくさは、本人の努力不足ではありません。聞こえにくい状態が続くと、会話に参加しづらくなり、孤立感につながることがあります。家庭や介護現場では、話し方、環境、補助機器、受診を組み合わせながら、本人が安心して会話に参加できる場を整えていきましょう。











