記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/6/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
若年性認知症とは、一般的に65歳未満で発症する認知症を指します。働いている時期や子育て中、住宅ローンの返済中などに症状が現れることがあり、本人だけでなく家族の仕事や家計、生活設計にも影響します。物忘れだけでなく、仕事の手順が分からなくなる、予定を重ねて入れる、慣れた道で迷う、言葉が出にくい、性格や行動が変わるといった形で気づかれることがあります。ただし、これらの変化は、睡眠不足、うつ病、甲状腺の病気、薬の影響などでも生じます。年齢が若いから認知症ではないと決めつけず、変化が続く場合は医療機関へ相談することが大切です。
本人は、以前のようにできないことへ不安や戸惑いを感じていても、周囲に知られることを恐れて相談できない場合があります。家族や職場の人が失敗を指摘し続けると、自信を失い、受診や支援を避けることにもつながります。いつから、どのような場面で困るようになったか、睡眠や気分、服薬、飲酒量に変化がないかを落ち着いて整理します。できなかったことだけでなく、時間をかければできること、手順を書けば進められることも記録しましょう。受診を勧めるときは、認知症と決めつけるのではなく、体調や仕事上の困りごとを一度確認してもらうという伝え方が、本人の負担を軽くする場合があります。
仕事上のミスが増えると、本人も家族も退職を急いで考えることがあります。しかし、退職後は収入や社会保険、傷病手当金、障害年金などの手続きに影響が出る場合があります。まずは主治医へ仕事内容と困っている場面を伝え、職場の産業医、人事担当者、障害者職業センターなどへ相談します。業務量を減らす、作業手順を見える形にする、確認役を決める、勤務時間や担当業務を調整することで、仕事を続けられる人もいます。職場へ病名を伝える範囲は、本人の希望を確認しながら決めます。安全に関わる業務や運転がある場合は、本人の尊厳に配慮しつつ、早めに主治医と職場で対応を検討します。
若年性認知症では、本人の収入減少に加え、家族が介護のため働き方を変えることで、家計への影響が大きくなることがあります。医療費の負担軽減、傷病手当金、障害年金、自立支援医療、介護保険、障害福祉サービスなど、利用できる制度は年齢、病状、加入している保険によって異なります。すべてを家族だけで調べようとせず、若年性認知症支援コーディネーター、地域包括支援センター、市区町村の相談窓口、医療機関の相談員へつなぎます。住宅ローンや民間保険についても、契約内容を確認します。本人が理解して判断できる段階から、通帳や契約の所在、支払い方法、今後の希望を一緒に整理しておくことが大切です。
認知症と診断されても、本人がすべてのことを判断できなくなるわけではありません。説明の仕方や時間、場所を工夫すれば、自分の希望を伝えられることがあります。選択肢を一度に多く示さず、短い言葉や写真、予定表を使い、考える時間を確保します。家族がよかれと思って予定や金銭管理をすべて引き受けると、本人の役割や意欲が失われることがあります。料理の一部、買い物、子どもの送り迎えの準備など、安全に続けられる役割を本人と相談して残します。運転、火の使用、金銭契約など安全や権利に関わることは、主治医や専門職を交え、必要な支援を段階的に検討します。
若年性認知症では、配偶者が就労、家事、介護を同時に担い、子どもが親の変化に戸惑うことがあります。家族には、病気について年齢に合う言葉で説明し、子どもが自分の責任だと感じないよう支えることが必要です。家族会や本人同士の交流の場は、生活上の工夫や制度の情報を得る機会になります。職場では、本人の同意を得たうえで、担当者を決め、指示を一つずつ伝える、期限や手順を文書で確認するなど、支援方法を共有します。家族や同僚の負担が増えているときは、訪問支援、通所サービス、就労支援などを組み合わせます。介護者の睡眠不足や抑うつにも注意し、休息と相談先を確保しましょう。
数時間から数日のうちに急に会話がかみ合わなくなった、意識がぼんやりする、発熱や脱水がある、幻覚や強い興奮が突然現れた場合は、認知症の進行だけでなく、感染症、薬の副作用、せん妄などの可能性があります。片側の手足に力が入らない、顔がゆがむ、ろれつが回らない、突然の激しい頭痛がある場合は、脳卒中が疑われるため、救急要請を検討してください。若年性認知症への支援では、早期の受診だけでなく、仕事、家計、子育て、本人の役割を一体として考えることが重要です。本人の希望を確かめ、利用できる制度と人のつながりを早めに整えることが、生活の継続を支えます。