記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/5/12
記事監修医師
前田 裕斗 先生
今まで糖尿病にかかったことがなくても、妊娠中に血糖値が高くなってしまった場合は妊娠糖尿病の可能性があります。
この記事では妊娠糖尿病が赤ちゃんに与える影響や治療に関してご紹介していきます。
妊娠糖尿病は、妊娠中に血糖値が高くなってしまう症状で妊婦の一部が発症する可能性があります。
胎盤は赤ちゃんの成長を支える一方で、胎盤のホルモンは母親の体内のインスリンの活動にも影響を及ぼします。体内でのインスリンの活用が妨げられ、体にとって必要なインスリン作用が不足し妊娠糖尿病を発症します。インスリンの作用が不足すると血液中の糖をエネルギーに変えることができなくなり、血糖値が上昇してしまうのです。
胎盤を通じて糖やそのほかの栄養素が赤ちゃんに送られますが、妊娠糖尿病になると通常より多くの糖が赤ちゃんにも送られることになります。赤ちゃんはすい臓の働きによってより多くのインスリンを作って血糖をエネルギーに変えていきますが、余分なエネルギーは脂肪として蓄えられます。この状態が続くことによって過剰に大きな赤ちゃんが生まれてきてしまう可能性があります。
赤ちゃんの体重が重すぎると、出産のときに傷が大きくなってしまう場合もありますし、分娩が進まないことで帝王切開が必要になる場合もあります。さらに、赤ちゃんのすい臓で作られた過剰なインスリンによって、出産後に低血糖を起こしてしまう可能性もあるのです。
妊娠糖尿病になってしまったとしても適切な治療を行っていくことで、赤ちゃんへの影響を減らし、通常と変わらない出産を行うことができるようになります。
治療として食事内容や運動に関する指導や血糖値検査、インスリン注射が行われますが、具体的な治療法は主治医と相談のうえ個別に決められます。一度妊娠糖尿病にかかった人は、再び妊娠した際にも妊娠糖尿病になる場合があります。
妊娠糖尿病になった女性は、その後の人生で妊娠症状ではない一般的な糖尿病にかかるリスクも高いといわれています。ただ、健康的な食生活や適度な運動を日常的に行うことで発症のリスクは抑えることができます。またまれに、妊娠糖尿病の検診を通じて通常の糖尿病を既に生じていることが明らかになる場合もあります。その場合は出産後も治療を続けていく必要があります。
妊娠糖尿病になってしまったとしても心配しすぎないでください。医師のサポートを受けながら、治療していくことで通常と変わらない出産が行えるようになります。治療を続けることが赤ちゃんの健康にもつながります。そして、出産後も健康的な食生活や運動の習慣を続けることで将来糖尿病になるリスクも減らしていけます。健康な体は自分にとっても、赤ちゃんにとっても非常に重要なのです。