記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2025/6/19
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
メニエール病では、めまい・吐き気・おう吐などの症状が現れ、難聴・耳鳴りなどの耳に関する症状が現れることがあります。この記事では、メニエール病の症状の特徴と治療方法について、症状が現れる仕組みのこともあわせて解説していきます。
メニエール病では、おもに「回転性めまい」「耳鳴り」「難聴」「吐き気・おう吐」などの症状が現れます。メニエール病は、耳の構造が発症と大きく関わっていると考えられており、耳が聞こえなくなるなどの深刻な状態に陥る可能性があります。
回転性めまいは、メニエール病の代表的な症状です。突然ぐるぐると目が回るような激しいめまいが起こり、立っていることも横になることもツライ状態が、30分から数時間続くことがあります。
回転性めまいに続いて、ひどい耳鳴りを感じるようになります。一般的に、発作が落ち着くと耳鳴りも落ち着きますが、耳鳴りが頻繁に起こるようになると、ずっと耳鳴りが続く場合があります。
メニエール病では、めまい・頭痛に伴い、難聴になる場合があります。発作が落ち着くと治まる場合もあれば、発作を繰り返すうちに少しずつ聴力が落ちていく場合もあります。一般的に、難聴の症状が現れると、低音が聞き取りにくくなるといわれています。
めまいの発作が起こると、乗り物酔いをしているのと同じ状態になり、吐き気がしたり、おう吐してしまうことがあります。
現在のところ、メニエール病の症状が現れるのは、「内リンパ水腫」という内耳のむくみが原因と考えられています。なお、ストレス・免疫機能の低下・アレルギー・血流の悪化などの関係も指摘されていますが、発症の仕組みははっきりわかっていません。
三半規管は耳の奥にあり、リンパ液で満たされています。本来、リンパ液の量は常に一定に保たれ、リンパ液の傾き・動きを感じることで、私たちは体のバランスを保っています。リンパ液の量が何らかの原因で過剰に増え、内耳がむくんで神経に影響が及ぶようになると、めまい・耳鳴り・難聴といった症状が現れるようになると考えられています。
メニエール病は、30代~40代で発症することが多く、子どもの発症はまれであり、男性よりも女性が発症しやすいといわれています。また、発症の原因のひとつにストレスが挙げられることから、真面目で几帳面な性格である・精神や肉体の疲労が蓄積している・睡眠不足である・睡眠の質が低下しているなどがあると、発症しやすくなるといわれています。
現在のところ、メニエール病では、原因とされている内リンパ水腫の薬物療法を中心に治療が進められることが多く、一般的には、抗めまい薬・精神安定剤・利尿薬・血流改善薬・鎮吐薬などが処方されます。なお、利尿剤・血流改善薬は、体内の水分調整に働きかけることで内リンパ水腫の緩和を目指すために処方され、抗めまい薬・鎮吐薬は、症状を緩和することで日常生活を過ごしやすくすることを目指し処方されます。
難聴が悪化しているなど、重い症状が現れているときは、内リンパ水腫で溜まった水分を抜き取る手術や前庭神経(平衡感覚を司る神経)を切除する手術が検討される場合があります。また、メニエール病はストレス・疲労が原因で発症する場合があるため、リフレッシュ方法を見つける・睡眠環境を見直すなどして、ストレス・疲労の解消を心がけることが症状緩和につながる可能性があります。
現在のところ、メニエール病の原因ははっきりわかっていません。完治が難しい傾向にあり、再発する可能性もありますが、初期の段階で適切な治療を行うことで改善しやすくなるといわれており、日常生活への影響も出にくくなる可能性があります。気になる症状があるときは、早めに医療機関を受診することをおすすめします。