記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/11/16
記事監修医師
前田 裕斗 先生
将来的な妊娠や出産を希望される女性の場合、注意を払いたいのが「婦人病」です。今回は婦人病について、具体的な病名と予防法などをご紹介します。
婦人病とは、子宮や卵巣、乳房などに現れる、女性特有の病気の総称です。子宮や卵巣などは将来的な妊娠や出産を考える上で重要な器官ですが、ストレスフルな生活や食文化の欧米化など、複合的な要因から若年層でも婦人病を発症する可能性は低くありません。
婦人病には様々な疾患がありますが、ここでは、子宮・卵巣・乳房で起こる病気の一例を紹介します。
婦人科系の腫瘍性疾患の中で、最も多くの人が罹患するといわれているのが子宮筋腫です。子宮筋腫とは子宮内にできた良性の腫瘍のことですが、詳しい発生原因は不明とされています。自覚症状はない場合もあり、婦人科検診を受けた時に初めて発見されることも珍しくありません。自覚症状がある場合、水っぽいおりものや、筋腫に膀胱が圧迫されることによる腰痛、頻尿、排尿痛などがあります。
良性の腫瘍で無症状の場合は、特段治療を行わない場合もありますが、筋腫は不妊や流産の原因ともなる可能性があるので、妊娠を希望する場合、治療が望ましいこともあります。不妊の原因として筋腫が考えられるかどうかについては医師に相談してください。その他、症状に応じて薬物療法や手術療法が選択されます。
卵巣がんとは、卵巣を構成する組織に発生するがんの総称です。卵巣がんは自覚症状が少ないことが多く、検診などで腫瘍が見つかった際にはすでに進行していたケースも少なくありません。自覚症状としては、腹部の張りや腰痛、頻尿や便秘などがありますが、どれも日常的によく起こり得る症状であるため、自覚症状を機に受診した際には進行がんとなっていることも多い怖い病気です。
治療としては、他の臓器にできるがん同様、手術治療や化学療法などがあります。手術の場合、進行具合により摘出する範囲が変わりますが、早期発見であれば卵巣を温存でき、将来的な妊娠・出産の可能性を残せることもあります。
乳がんとは、乳腺にできるがんです。原因は特定されていませんが、近親者に乳がんになった人がいる場合や、初潮が極端に早かったり閉経が遅かったりした場合は発症する可能性が高くなるとされています。治療法としては、外科療法や放射線療法、化学療法、内分泌療法があり、進行具合により適切な治療法を組み合わせるのが一般的です。
婦人病は、早期に発見できればその後の進行を食い止められる可能性があります。近親者に婦人病の人がいる人はもちろん、いない人も積極的に検診を受けることが重要です。年齢に応じて定期健診の補助をしている自治体もあり、健保組合でも検診にかかる費用の補助が受けられる場合もあります。まずは、自分の所属する健保組合や、住んでいる自治体が検診の補助を行っていないか調べてみましょう。
検査で病気が発覚するのが怖いという人もいますが、早期に発見し、早期に治療できれば、命を落とす可能性を下げることができるかもしれません。体調に不安がなくても、定期的に検診を受ける習慣をつけましょう。