動脈硬化はどうすれば治る? ― まずは運動と食事の改善から!

2018/10/3

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

通常、健康な動脈には弾力があり、ポンプの役割を果たして全身に血液を送り出していますが、動脈硬化はこの血液の流れがスムーズに働かなくなる状態を指します。
こちらでは動脈硬化の症状や改善方法についてご紹介していきますので、ご自身あるいは身近に動脈硬化と診断された人がいる場合は、ぜひ参考にしてみてください。

動脈硬化になると、どんな症状が起こる?

動脈硬化とは、一言でいうと血管の老化によって血液の流れが悪くなった状態のことです。

本来、動脈の内側はとてもなめらかで、血液がスムーズに流れるようになっています。
それが加齢によって血管の内側が厚くなったり硬くなったり、コレステロールや脂質が血管内に蓄積して部分的に狭くなると、動脈硬化を発症するのです。

動脈硬化は全身の血管に生じる可能性があり、進行すると血管が傷ついて破れたり、動脈瘤(動脈がこぶのように腫れてしまっている状態)ができて血液の流れが悪くなったりします。

動脈硬化は、初期のことであれば症状があらわれることはほとんどないので「自分が動脈硬化だと気づきにくい」ことから、知らず知らずのうちに進行し、心臓病や脳血管障害、閉塞性動脈硬化症などに進行してしまうことも少なくありません。

脳の動脈が動脈硬化になると、脳梗塞の発症リスクが高まります。脳梗塞になると、手足のしびれや麻痺、言語障害など深刻な症状を引き起こし、日常生活に支障をきたすこともあります。
また、心臓の動脈(冠動脈など)の動脈硬化が長く続くと、狭心症や心筋梗塞の発症の原因になります。自覚症状として、胸痛や胸の圧迫感、冷や汗、吐き気などを感じるようになり、発作により突然死することもあります。

このように、動脈硬化自体で明らかな症状が現れることはあまりありませんが、状態が悪化して心筋梗塞や脳梗塞などを発症すると、発症した病気の症状が現れるようになるということです。

動脈硬化に気づくためにも、定期的に医療機関で診察を受けたり、できるようなら家庭用の血圧計で構わないので、毎日計測するようにしましょう。

また、動脈硬化の発症の原因には糖尿病や高血圧、高脂血症、肥満、喫煙などがあげられ、加齢と生活習慣が大きく影響していると考えられています。
とくに大きく関わっているのが、コレステロールです。コレステロールが血管の内側にお粥(プラーク)のようになって溜まると動脈硬化へ繋がっていきます。

動脈硬化を治すためにまずやるべきことは?

動脈硬化を改善するために、食事を見直すことがとても大切です。
動脈硬化はコレステロールが大きく関わるとお話ししましたが、まず、肥満にならないよう食べ過ぎに注意してください。
食べ過ぎると血中の脂質や血糖を増やしてしまうので、適正エネルギー量を知って、適度な量の食事を摂りましょう。

バターやラードなどの動物性脂肪や脂っこいものの摂り過ぎも厳禁です。しかし油脂類をむやみに減らすのではなく、調理の際に油の使用を控えたり、植物油に変えたりすると良いでしょう。

たとえば、植物油であるオリーブ油、ゴマ油や、マグロ、イワシ、サンマなどの青背の魚には、不飽和脂肪酸と呼ばれるものが多く含まれています。不飽和脂肪酸は常温で固まりにくい性質があり、血中の中性脂肪やコレステロール値を調節する働きがあります。油脂類を摂る際にはこれらのものを積極的に選ぶのがおすすめです。

他にも、塩分の摂り過ぎやアルコールによる高血圧も、動脈硬化の原因となります。薄味を心がけて、お酒の飲み過ぎには注意しましょう。

生活習慣の見直しも、動脈硬化改善におすすめ!

動脈硬化の改善には、生活習慣の見直しも効果的です。

まずはウォーキングをしたりゆっくりと泳いだり、1日30分以上、週に3回ほどの有酸素運動を習慣づけましょう。
運動をすると、最初は筋肉のなかの糖分、次に血液中のブドウ糖が使われるので、脂肪がエネルギーとして使われ始めるまでに20~25分かかるからです。

また、喫煙は動脈硬化のリスクを高めるとされているので、タバコを吸っているようなら禁煙することを強くおすすめします。
近年では禁煙外来を行っている医療機関も増えてきています。自分の力だけで禁煙をすることが難しい場合には相談しても良いでしょう。

食事と運動では改善しないときは?

食事や運動、生活習慣の見直しで動脈硬化が改善しない場合には、薬物療法を行っていきます。具体的にはスタチンと呼ばれるコレステロール低下薬を用い、肝臓でのコレステロールの合成や血管の内側にたまったコレステロールを減らすようにしていきます。

この薬でもコレステロールが下がらない場合は、小腸でのコレステロールの吸収を抑えるエゼチミブまたはレジンといった薬を、スタチンとともに服用します

コレステロールの数値は高くないものの、中性脂肪が高い場合には、肝臓での中性脂肪の合成を抑えるフィブラート系の薬と魚の油から抽出したEPA製剤を使用していきます。
医療機関で受けた医師の指示に従い、動脈硬化の改善に努めていきましょう。

おわりに:動脈硬化の改善は自分でも始められる

病気の治療といえば薬物療法を連想しますが、動脈硬化は自分自身の努力で改善していけるものです。動脈硬化の予防のためにも、日ごろから食事や運動、生活習慣に気をつけていきましょう。

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