記事監修医師
東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター
山本 康博 先生
2017/11/14
記事監修医師
東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター
山本 康博 先生
記事監修医師
東大医学部卒、医学博士
三上 貴浩 先生
「ある時鼻をかんだら、鼻水に血が混ざっていた」という経験はありませんか?今回の記事では、鼻水に血が混ざる原因や、鼻の出血から考えられる病気までご紹介します。
鼻から血が出る原因にはいろいろあります。ただ、原因として一番多く考えられるのが、単純性鼻出血といって、鼻をほじって傷つけてしまったり、鼻を強くかみすぎたりしたことによる粘膜の損傷です。鼻の入り口には、毛細血管が多く張り巡らされ、粘膜も薄いので出血しやすいのです。
では、鼻水に血が混ざったときに考えられる具体的な症状をご紹介しましょう。
冬など寒い季節に多いのが、鼻の中の乾燥によるものです。ヒリヒリしたり鼻の奥に違和感があったりと、人によって不快に感じる症状もさまざまです。
風邪で鼻水が溜まってつらい時や、花粉症やアレルギーなどで鼻水が止まらない時に、ついつい鼻を強くかみすぎてしまうことがあります。先述のように、鼻の入り口は毛細血管が集合しており、粘膜も他の箇所に比べると薄いため、出血しやすい傾向にあります。
鼻水に血が混ざっていても、少量であったり、毎回のことではなかったりすると放置してしまいがちです。しかし、放置して自然治癒する場合はいいのですが、悪化してしまう場合もあります。悪化して重症化させないためにも、すぐに始められる対処法をご紹介します。
まず気を付けてもらいたいのが、鼻を強くかまないということです。鼻をかむときは、片方ずつ鼻を押さえてゆっくり小刻みにかみましょう。鼻がかみにくいときも、一気に力を入れずに少しずつかむようにすることで、鼻に伝わる衝撃が軽減されるでしょう。慌てず少しずつかむことがポイントです。
次に気をつけたいのが、乾燥させないということです。特に冬など外気が乾燥する季節は、自分で思っている以上に鼻の粘膜は乾燥してしまいます。湿度計や加湿器を部屋に設置して、まず湿度を把握することが必要です。湿度が常に40~60%になるように保つとよいでしょう。加湿器が使えない場合は、コップに水を入れてそばに置いておくことでも対処法となります。
マスクは保湿と保温性能に優れています。こまめな水分補給とのど飴などを併用して、唾液の分泌を促しましょう。睡眠時に濡れマスクを着用するのも効果的です。
鼻水に血が混じったり、鼻血が出たりして命を落とすような重要な病気に繋がることは稀ですが、場合によっては、病気のサインと考えられることもあります。具体的には以下のとおりです。
鼻からの出血を引き起こすものとして、血管が増殖することでできる「血管腫」や、鼻粘膜にある扁平上皮が異常に増えていく「乳頭腫」があります。いずれも良性腫瘍なのでさほど心配する必要はありませんが、「乳頭腫」は進行すると、稀にがんに移行することもあります。これらの腫瘍の場合、鼻血以外に鼻詰まりなどの症状が現れるのが特徴です。
副鼻腔の中にある上顎洞に発生する癌です。始めのうちは自覚症状がなく、大きくなるにつれて症状が現れます。鼻血の他に、目の症状、歯の痛み、ほおの痛みが主な症状として現れます。また、片方の鼻から出血するのもこの病気の大きな特徴です。
鼻のつきあたり部分、上咽頭にできる癌です。鼻詰まりや鼻血などの症状以外にも、耳が聞こえづらい、物が二重にみえるといった症状が現れるのが特徴です。
血小板の数が減少することで、出血が起こりやすくなる病気です。鼻血以外にも歯茎や皮下などでも出血し、あざができやすくなります。
肝炎は、ウイルス感染などが原因で肝臓が炎症を起こす病気です。肝炎が慢性化すると、線維化をきたし肝硬変を発症します。肝機能が低下すると血液中の凝固因子を作る機能も低下するため、黄疸や歯茎からの出血、鼻血を引き起こすことがあります。
血圧が高い状態が続いていると、血管への圧力が高まり、鼻血が出ることがあります。
鼻血は誰でも起こりうる症状ですが、重い病気のサインの可能性もあります。少しでも気になる症状が現れたり、長引いたりするようなら、早めに病院で診察を受けましょう。