舌痛症の原因として考えられる病気を知ろう!

2018/1/29

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

舌痛症は、口の中の粘膜に強い痛みが出る病気です。この記事では、舌痛症の原因として考えられる病気とともに、治療法について解説します。

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舌痛症について

舌痛症は原因不明の病気で、口の中の粘膜に痛みが出ることが特徴です。この病気が他の病気と違うのは、痛みの症状があるだけで、舌や歯ぐきに痛みの元になるような傷や赤みなど、原因となる病変がある場合は舌痛症ではない、という点です。
舌痛症の痛みは深刻なほど強いこともあり、痛みが原因で仕事ができなくなったり、起きてから寝るまでずっと痛かったりします。この痛みは精神的社会的なストレスと関わりがあることが多く、不安な出来事や不快なことがきっかけで痛みが増すこともあります。痛みの種類は持続性があり、焼けるようなひりひりとした痛みから、刺すようなチクチクした痛みまで、さまざまなものがあります。

舌痛症の原因になっているかもしれない病気とその対処法を知ろう

舌痛症を起こす原因となる病気として挙げられるのは、糖尿病、シェーグレン症候群、貧血、脳や神経の病気です。
糖尿病で舌痛症が起こっている場合、血糖のコントロールが適正になるように食事療法を行ったり、医師の指示通りに薬を服用して糖尿病の症状を軽くすることが大切です。
シェーグレン症候群の場合は、ガムを噛んで唾液の分泌を促したり、こまめに水分をとるようにして、口の乾燥を防ぐようにすると症状を和らげることができます。
胃の摘出手術がきっかけで悪性貧血を起こし、舌痛症が出ているときは、不足しているビタミンB12や葉酸を補給すると症状がおさまります。
脳や神経の病気が舌痛症の原因となっている時は、元になっている病気を早く治療することが重要です。

病気以外が原因の舌痛症はどうやって治療するの?

病気以外が原因となって舌痛症を起こしている場合は、認知行動療法や抗けいれん薬を使って治療します。ただし、抗けいれん薬を使用する治療法はまだ研究段階のため、保険診療ができないことがあります。
認知行動療法とは、痛みを観察して痛みを自分で乗り越えていく方法です。舌痛症は精神的なストレスと深く関わっているため、このような治療が行われます。痛みを客観的に見ることで、痛みを自分でコントロールできるようになることを目指します。個別で治療することもあれば、集団で行うこともあります。より精神的な治療を行うために、精神科の医師の診察を受けることもあります。うつ病の薬が舌痛症に効果があることもわかっているので、必要に応じて使用することもあります。

舌痛症の改善に効果が期待される漢方薬とは?

舌痛症のもう一つの治療法は、漢方薬を使用したものです。漢方薬は、精神的な不安が要因になっている場合や、唾液の分泌不足が原因となっている場合です。約20種類ほどが舌痛症の治療に適していると言われており、その人の症状に合わせて必要な漢方薬を選んで服用します。
舌痛症の治療で使われる代表的な漢方薬として、加味逍遙散、柴朴湯、小柴胡湯、白虎加人参湯などがあります。ほかの治療とともに、漢方薬を使った治療を勧められることもあります。漢方薬での治療の特徴は、短期間の使用では十分な効果が得られないことです。最低でも1~3カ月は服用する必要があり、中には1年ほど服用し続ける場合もあります。漢方薬を使った治療は根気強く続けることがとても大切です。

おわりに:舌痛症は糖尿病や貧血、シェーグレン症候群が原因で発症することがある

舌痛症は原因不明の病気と言われていますが、糖尿病や貧血、シェーグレン症候群などがきっかけで発症するのではないかと言われています。また、ストレスなどが原因で発症するのではないか、とも言われています。舌痛症になると、日常生活を送るのも難しくなるほどの痛みに襲われます。症状が出たら病院で適切な治療を受けることが大切です。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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