乳がんの放射線治療ってどのくらいの期間行うの?仕事は続けられる?

2018/7/27

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

乳がんの治療法の一つに放射線治療がありますが、この放射線治療はどれくらいの期間やペースで行われるものなのでしょうか?また、仕事を続けながら治療を受けることは可能なのでしょうか?

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乳がんで放射線治療を行うのはどんなとき?

がんの治療方法のひとつに放射線治療があります。放射線治療では、エックス線やガンマ線、アルファ線、電子線などの放射線を用います。放射線を体の外からあてることによって、がん細胞の増殖をおさえることが期待されます。

この放射線をあてることを「照射する」といいます。放射線は光のように広がるものではなく、目的の部位を目指してまっすぐ照射できるため、限定された部位を治療できます。もちろん、身体全体には大きな影響がない量を使用します。

乳がんでは、乳房を部分切除する手術を行ったあとに、放射線治療が用いられます。放射線を照射することによって、温存した乳房やリンパ節でがん細胞が再発するリスクを低くします。また、乳がんが再発した場合には、再発した部位や転移した部位を部分的に治療するために放射線治療が行われることもあります。

このように放射線治療は、治療の目的や、放射線を照射する範囲によって実施するかどうかを検討していきます。多くの場合は、外来で治療が可能となっています。

乳がんで放射線治療をする場合の方法や期間は?

乳がんに対する放射線治療では、25〜30回程度放射線を治療部位に照射します。入院をせずに行う場合は、医療機関の休診日をのぞいて週に5日程度、毎日治療をすることになります。治療が終わるまでには5~6週間程度といったところでしょう。

放射線治療は、着替えなども含めて全体の所要時間は30分以内といったところです。また、実際に放射線が照射されている時間は1~2分と短く、痛みや熱さなどはありません。

仕事しながら放射線治療はできる?

放射線治療は、週に5日ほどは毎日通院することになります。待ち時間は通院する医療機関にもよりますが、一度の治療そのものは30分程度で終わります。

そのため、職場の理解が得られれば、仕事を続けながら治療を受けることは可能です。実際に職場への病状の報告を行い、勤務時間の変更や、在宅勤務制度を活用しながら仕事を続けている人もいます。

職場の理解が得られるかどうか不安になるものですが、治療が終わったあとの生活も大切です。すぐに退職を選択するのではなく、病状や治療に必要な時間、今後の見通しについて職場に伝え、働き方について相談をしてみましょう。

乳がんの放射線治療で考えられる副作用は?

放射線治療には、残念ながら副作用があります。ただし、日常生活にかかわるような重篤な副作用が出ることは少ないといわれています。

治療中や治療直後にあらわれる副作用

放射線を照射すると、日焼けと同じような状態になります。個人差はありますが、赤みや痛み、熱っぽさや乾燥などが生じることがあります。こうした皮膚トラブルに対しては、皮膚を冷やしたり、塗り薬を塗るなどして対応をしていきます。また、中にはだるさや食欲低下、白血球の低下といった症状があらわれることもあります。

治療後数ヶ月から数年経過してからあらわれる副作用

放射線を照射した部位の皮膚の色が変化したり、硬くなったりすることがあります。また、皮膚以外にも、放射線があたった部位には何らかの影響が出ることがあります。放射線を照射する部位によっては肺や心臓にもわずかに放射線があたることがあり、肺炎が生じることがあります。息切れや咳、発熱がみられたときは主治医に相談をしましょう。なお、かつては心臓機能への影響が心配されましたが、放射線治療技術の高まりによってまれなこととなってきています。

おわりに:安心して放射線治療を続けるために、職場の理解を得る努力を!

乳がんの放射線治療は、乳房の手術後に再発の予防や、再発後の症状改善のために用いられています。1回の治療は短時間で済み、入院せずに自宅から病院に通いながら外来治療で行うことができるようになってきています。仕事を続けながら治療を受けるという人もおり、必ずしも退職を選ぶ必要はありません。しかし、病状や、通院時間の確保など、働き方への理解を得る必要はあります。今後、さらに社会全体が治療への理解を深めていくことを期待しましょう。

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