記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/4/17 記事改定日: 2018/3/19
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
赤ちゃんを授かった喜びは感じているものの、特に初産となる妊婦さんは妊娠初期には不安になることが多いようです。
今回は妊娠初期にはどのようなことで不安になりやすいのか、また、どのような対処法があるのかをお伝えしていきます。
個人差はありますが、妊娠初期には以下のような要素に不安を感じることが多いようです。
妊娠初期はどうしても「流産」という言葉が頭に浮かび、不安に思う妊婦さんが多いようです。
妊娠してから妊婦さんの体や意識はどんどん変化していきますが、パートナーである夫に変化が見られないことにイライラしたり不安を感じるケースも多いようです。
また、仕事をしている場合には育児休暇後にちゃんと復帰ができるかどうか、産後の働き方や保育園についてや子育てなど、今後起こる環境の変化に対して心配になる妊婦さんも少なくないようです。
では、妊娠初期に生じやすい不安はどのように解消すればよいのでしょうか?
以下に7つの方法をあげるので、参考にしてみてください。
疲労によって気分のゆれが増大することがあるので、十分な休みをとりましょう。早く寝て遅くまで寝るか、できるときに昼寝をしましょう。
外で時間を過ごしましょう。自然の中にいることでストレスやうつの症状は軽減されることが証明されています。自然が豊かなところに出かけたり、公園でピクニックしたりするのもおすすめです。
「妊娠前と同じように全部自分でやる」という考えを少しだけ変えてみましょう。
どうしても片付けなくてはいけないものやしなければいけないことがあれば、パートナー、家族や友達に手伝ってもらいましょう。
バランスのとれた食事をして血糖値を安定させることで気分を安定させるようにしましょう。
1回の食事で充分な量を食べられない場合は、食事を食べる回数を増やす方法を試してみてください。
妊娠期のうつのリスクを上げるといわれているカフェイン、砂糖、加工食品は避け、代わりにオメガ3脂肪酸を多く含む食事(クルミ、魚、栄養強化卵など)をとりましょう。
定期的に運動をするとストレスや不安を軽減される「エンドルフィン」という物質が分泌され、感情が安定します。定期的な有酸素運動には、抗うつ剤を摂取するのと同じくらいの効果や、不安やうつ病を発症するリスクを低下させる効果があることがわかっています。
ただし、運動を始める前に運動をしても良いかどうか、また、どのような運動をどのくらいの時間行うと良いかを医師に確認してください。
妊娠中には引越しや新しい仕事の開始などの大きな生活の変化はできるだけ避けるようにしてください。
もし将来的な不安や落ち着かない気持ちがあれば、パートナーや家族や友達に話を聞いてもらいましょう。ひとりで抱え込んでいるよりも、解決の糸口が見つかるかもしれません。
「妊娠うつ」は名前のとおり、妊娠中にうつ病のような精神的症状が現れる状態のことです。
妊娠中には多くの妊婦さんが不安な気持ちになったり涙もろくなったりする、一般的に「マタニティーブルー」と呼ばれる状態になりやすいものですが、症状が一時的ではなく長く続いている場合や症状があまりにも辛いと感じる場合には「妊娠うつ」の可能性を考えて治療が必要になることもあります。
薬を使わない治療法の例としては、以下のような治療法があります。
・心理療法(トークセラピー)
・光療法(ホルモンやセロトニンの数値を上げるランプを当てる)
・鍼治療
・瞑想
うつの症状が激しい場合は抗うつ薬を使用した治療が行われることもあります。
薬の種類は、ジェイゾロフト、パキシル、レクサプロなど、医師の判断によって異なります。
妊娠期の抗うつ薬の長期的影響についての研究はいまだ結論が出ておらず、「赤ちゃんが子宮の中で選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)にさらされると、短期の収縮症状を味わうことになるかもしれない」という報告もあります。
ただ、こうした抗うつ薬によるリスクよりもうつによるリスクのほうが大きいという観点から、妊婦さんを薬の摂取から遠ざけるのは望ましくないと主張する意見もあります。
妊娠初期には流産のリスクやホルモンバランスなどの体の変化によって、不安な気持ちになる場面が増えやすくなります。
そんなときには、パートナーや友人、家族、医師や看護師などの相談できる相手に不安な気持ちを聞いてもらったりサポートをしてもらうと、不安が解消しやすくなりやすくなります。
一人で抱え込まずに、周囲の人や自治体の「女性健康支援センター」などの相談機関に相談してみましょう。