記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/10/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
健康診断や体調不良・怪我のときなど、体の状態を調べるためにはさまざまな検査があります。その中でも、造影剤という薬剤を使うタイプの検査では、体内に造影剤を注入して検査を行います。
造影剤を使うタイプの検査にはどんな種類があるのでしょうか?また、造影剤を体内に注入することで、副作用が起こるリスクはあるのでしょうか?
造影剤とは、画像診断において体内の状態や病変などをわかりやすくするための薬剤です。主に腕の静脈や動脈から注入する血管系の薬剤と、経口摂取や内視鏡での直接投与で消化管や胆管などの管腔臓器、目的とする臓器を見やすくする薬剤の2つに分けられます。
主にCT検査やMRI検査で使われるのは血管系の薬剤で、静脈から注射して使います。血管造影検査では、カテーテルを用いて直接動脈内(一部静脈内)に注射して使います。CT検査ではヨウ素を含むヨード造影剤を、MRI検査では金属の一種であるガドリニウムを含むガドリニウム造影剤を使います。肝臓MRI検査では、鉄分を含んだ造影剤を使うこともあります。
胃や大腸などの消化管や胆道系の造影検査では、バリウムを含む薬剤を経口摂取することが多いです。そのほか、経内視鏡・経肛門など、目的の臓器に対して直接用いることもあります。
ただし、いずれの造影剤も、過去に同種の造影剤に対してアレルギーを発症したことがあったり、もともとアレルギー体質の人では副作用が出現しやすいため、原則として造影剤を使いません。
造影剤を使った検査には、大きく分けて以下の3つの種類があります。
造影剤を使った検査は、原則として絶食後の空腹時に行います。その他、検査によってさまざまな制限がありますので、検査予約の際の指示をきちんと守りましょう。また、頻度はまれですが、造影剤の副作用が起こることもありますので、体に異変があれば、すぐに医師や看護師に相談しましょう。
前章の最後に触れた副作用として、以下のようなものがあります。
造影剤はほとんどの人では異常が起こらない安全性の高い薬剤ですが、ごくまれに上記のような副作用が起こることがあります。これらの副作用は検査中や検査後に起こることが多いのですが、数日後に起こることもありますので、造影剤を使う検査を受けてから数日後に思い当たる体調不良が生じた場合は、検査を受けた医療機関に相談しましょう。
また「今までに造影剤で副作用が起こったことがある」「喘息などのアレルギー体質である」「心疾患・腎疾患・糖尿病・甲状腺疾患がある」という人は、副作用が比較的起こりやすいとされています。このような状態に当てはまる場合、検査を受ける前に担当の医師や看護師に必ず申し出ましょう。
さらに、糖尿病の患者さんで「ビグアナイド剤」というタイプの薬剤を投与している人は、ヨード系造影剤使用前後にビグアナイド剤を休薬する必要がありますので、これも必ず医師に申告しましょう。期間は造影検査後3日間が基本ですが、造影後の腎機能回復に不安がある場合は、医師の判断で再開時期を決定することもあります。
造影剤とは、CT検査やMRI検査、バリウム検査などの画像診断において、体内の状態を見やすくするための薬剤です。造影剤を使った検査には、消化管・泌尿器系・整形外科系の3種類があります。
造影剤はほとんどの人で安全に使える薬剤ですが、まれに副作用を起こすことがあります。とくに、アレルギー体質の人は副作用を起こすリスクが高いため、原則として造影剤を使いません。