記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/9/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
造影剤とは、体内の状態を画像診断する際に使われる薬剤で、いわゆるCT検査やMRI検査、バリウム検査などで使われます。広く使われているため基本的には安全な薬剤ですが、副作用の可能性がゼロではありません。
造影剤を使った場合の副作用とは、どんなものが考えられるのでしょうか?また、造影剤の副作用を予防することはできるのでしょうか?
造影剤を使うことによって、体内の血管や臓器、病変部分などの様子がよりわかりやすくなります。造影剤は必ずしも使わなくては検査が行えないわけではありませんが、ごく細かい病変などは造影剤を使わなくては発見できない場合もあり、より正確な診断を行うために造影剤を使うのが基本です。ただし、疾患の種類や検査部位によっては造影剤を使わない場合もあります。
造影剤を注射するとき、正常な身体反応として体が熱くなることがあります。これは直接の刺激を受けたことに対する反応ですので、数分で消えて残ることもありません。また、勢いよく造影剤を注入した結果、まれに血管外に造影剤が漏れてしまう場合があり、この場合は腫れや痛みを伴うことがあります。
ただし、造影剤が漏れた場合も時間が立てば自然に体内に吸収され、排出されますのでとくに心配はいりません。漏れた量が非常に多い場合は別の処置が必要となる場合もありますが、その場ですぐ処置を行います。
造影剤は基本的に副作用が起こりにくい、安全性の高い薬剤を使用しますが、まれに副作用が現れる人もいます。副作用には軽く自然に治るものと、重く別途処置が必要なものの2つに大きく分けられ、それぞれ以下のような症状が現れます。
基本的に、軽い副作用の場合は治療は必要ありません。症状も一時的なもので、時間が経てばおさまります。人によっては検査中や検査直後ではなく、数時間後〜数日後に症状が現れることもありますが、症状がすぐにおさまるようなら心配はいりません。症状が長引いたり、心配な場合は検査を受けた医療機関に相談しましょう。
重い副作用の場合は、すぐに治療を行います。ただし重い副作用が起こることは非常にまれで、約2,500人に1人という割合です。現状、副作用が発生するかどうかを予測する確実な方法はありませんが、以下のような人では副作用が起こる確率が高くなりますので、造影剤を使うかどうかは慎重に検討します。
また、造影剤の副作用は過去に起こらなかったらその後もずっと起こらないとは限らず、過去に副作用が起こらなかった場合でも、突然重い副作用を引き起こす場合もあります。そのため、自分は大丈夫と油断せず、体調が急変した場合は必ず検査を受けた医療機関に相談しましょう。
2019年の時点で、造影剤の副作用を予測する方法はわかっていません。また、副作用の程度も軽度な吐き気や頭痛程度のものから、呼吸困難や意識障害、最終的に生命を脅かす程度のものまであり、個人差が大きいことがわかっています。
しかし、副作用のリスクを高める原因については徐々にわかってきています。すでに触れた「アレルギー体質」「過去に副作用が起きた」「心疾患や腎疾患などの疾患がある」の3つがそれで、該当する人は原則として造影剤を使用しませんが、必要があれば使うこともあります。リスクと効果のどちらを取るかはケースバイケースですから、医師の判断に委ねられます。
また、造影剤検査後は、副作用のリスクを下げるためにも、多くの水分を摂取しましょう。これは造影剤の成分がほぼ全量、24時間程度で尿として排出されるためです。心疾患や腎疾患などで水分の摂取量に制限がある場合は、医師とよく相談しましょう。
造影剤は基本的には安全性の高い薬剤ですが、約2%の割合で軽い副作用が、約0.04%の割合で重篤な副作用が起こることがあります。軽い吐き気や頭痛などの場合は自然におさまりますが、呼吸困難や意識障害などの重篤な副作用はすぐに治療を行います。
造影剤の副作用を予防する方法は、現時点ではありません。ただしリスクを高める因子はわかっていますので、該当する人では造影剤を使うかどうか慎重に検討します。