健康診断の結果で出てくる判定があらわす意味は?

2019/10/5

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

健康診断の結果が出るまではドキドキしてしまいますが、いざ結果を見ると「判定がどんな意味をあらわしているかよくわからない」ということはありませんか?自分の体の状態をきちんと理解するためには、判定結果の見方を知ることも大切です。この記事では、健康診断に関する疑問について説明します。

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健康診断で行う検査の目的は?

一般的な健康診断の項目と、それぞれの検査の目的を紹介します。

標準体重(kg)
「身長(m)×身長(m)×22」という計算で、身長を基準としたときの体重の目安です。肥満、または痩せすぎでないかどうかのひとつの基準です。
BMI
BMIは「体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}」で計算される数値です。体重と体格の指数で、BMI22が標準とされます。
血圧
血流の流れによって血圧にかかる圧力です。血管への負担の強さに関わります。
尿蛋白、尿潜血(検尿)
腎臓や尿管、膀胱などに異常があると陽性反応を示します。ただし激しい運動後や高熱、生理中や生理前後は陽性反応が出ることがあります。
尿糖(検尿)
糖尿病などで基準値よりも尿に含まれる糖が多いと陽性になります。
ウロビリノーゲン(検尿)
肝障害や胆道閉塞の場合に陽性が出ます。ただし、健康な人でもわずかに陽性が出ることがあります。
胸部X線
肺結核、気管支拡張症、胸膜炎、肺がん、心臓の大きさ、大動脈の硬化有無などを調べます。
胃部X線
胃潰瘍、胃がん、十二指腸潰瘍、ポリープなどの異常の有無を調べます。
心電図
不整脈、心筋の異常、心臓肥大、冠状動脈の異常の有無を調べます。心臓の収縮によって発生する弱い電流を測ります。
眼底
眼の疾患、高血圧症、動脈硬化症、糖尿病の有無などを調べます。網膜や眼の血管などを検査します。
超音波検査
肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、胆嚢などを調べます。人の耳では聞き取れない周波数の音波を体に発信し、その反射波で体内の状態を測定します。
便潜血
大腸がんやポリープによる消化管の出血、痔などによる出血があると陽性が出ます。陽性の場合は精密検査が必要となります。

健康診断結果の判定の意味は?

健康診断の結果はアルファベットであらわされますが、それぞれの意味を紹介します。

A
異常なし
B
検査結果がわずかに基準値範囲外ですが、日常生活に支障がなく、食事や生活面での制限もありません。心配ない状態です
C
軽い異常があります。日常生活に気をつけて生活習慣を改善すれば、問題ありません
D1
やや異常がみられます。現時点では重症ではありませんが、将来的に問題が発生する可能性があるため、1年後に検査を受けること、生活習慣の改善に取り組みましょう。また、症状が気になるときは医師に相談してください
D2
やや異常があります。現時点では重症ではありませんが、将来的に問題が発生する可能性があるため、半年後に検査を受けること、生活習慣の改善を行ってください。また、症状が気になるときは医師に相談しましょう。
E
専門医の診察と治療が必要です。なるべく早く医療機関を受診してください。
F
問診上「治療中」と記入された際の判定
G
詳しい検査を追加して行い、状態を確認してください
H
きちんとした検査ができなかった場合に出る評価。近日中に再検査してください
I
判定できなかった場合に出る評価。検体量不足、妊娠中などが考えられます。

去年と同じ数値なのに、判定が違うのはどうして?

健康診断の結果を前回を見比べたときに、数値は変わらないのに判定が異なる場合があります。これは、前回の結果を比較して判定をすることがあるためです。

たとえばコレステロール値に変化がなかったのに、下記のような結果が出たとします。

前回
コレステロール値が基準値より高い 判定:C(経過観察)
今回
コレステロール値が基準値より高い 判定:D(治療が必要)

前回の判定は「C(経過観察)」ですがコレステロール値は基準値より高く、生活改善の必要性がありました。対応が必要だったにも関わらず、今回もコレステロール値が高い結果だったため、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの発症の可能性を考慮して判定が重くなったと考えられます。

「要再検査」や「要治療」のとき、病院へ行ったほうがいいの?

健康診断では確定できない病気や異常も多くあります。下記のような結果が出た場合、なるべく早く医療機関を受診してください。

要再検査
今回の検査で基準値から外れた項目などがあったものの、一時的な異常かどうかを判別するのが難しい場合に該当します。再検査を受けて、改めて体の状態を調べてもらいましょう。
要精密検査
診断結果をもとに、より詳しい検査を行って病気の有無を確認した方がよい場合です。精密検査の結果、異常がないこともあります。問題が見つかった場合は速やかに治療を始められますので、診断結果が出たらすぐに医療機関を受診してください。
要治療
治療の必要がある場合に出ます。早めに治療を開始して重症化を防ぎましょう。

おわりに:健康診断は、結果を受けとってからの行動も大切です

健康診断は受けて終わりではなく、結果が届いてからの行動が大事です。何らかの異常が指摘された場合は、生活習慣の改善をしたり医療機関を受診したり、対策をとったりしましょう。

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