痩せたいのについ食べてしまう…。どうやって乗り切ればいい?

2019/10/14 記事改定日: 2021/8/31

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ダイエットの大敵といえば「食べ過ぎ」です。ときには我慢が必要なのに、食べたい気持ちが痩せたい気持ちを上回ってしまうことがありますよね。
この記事では、ダイエット中に実践したい食欲のコントロール方法と、ダイエット中に気をつけたい摂食障害について解説します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

痩せたいのに、つい食べてしまう原因は?

ダイエットを成功させるためには、食欲を上手にコントロールすることが大切です。下記に心当たりがある人は、生活習慣などの見直しが必要かもしれません。考え直すきっかけにしましょう。

食生活による原因

糖質が多い食生活
糖質をたくさん摂取すると、食後に血糖値が一気に上昇します。すると、その後、血糖値を下げるためにインスリンが分泌されて一気に血糖値が下がり、空腹感が出てしまいます。血糖値の上昇と下降の波が激しいと、食欲を抑えるのが難しくなるので、糖質過多にならないようにしましょう。
ダイエット後のリバウンド
極端な食事制限を行うダイエットがありますが、ダイエット終了後やダイエットの中断時に、食欲がコントロールできなくなりやすいです。ダイエットに再挑戦しても、その後また過食をしてしまうという悪循環を招くこともあります。

生活習慣による原因

睡眠不足
睡眠不足はホルモンバランスの乱れの原因であり、交感神経の活性化を促します。交感神経が活性化すると、副腎からコルチゾールが分泌されることで肥満抑制作用があるレプチンの分泌量が減少し、食欲増進作用のあるグレリンが増加します。

環境や体調による原因

ストレス
ストレスを受けると、副腎からコルチゾールが分泌されます。コルチゾールには、血糖値上昇、脂肪蓄積、胃酸分泌促進、レプチンの分泌抑制などの作用があります。
この影響は、食欲が異常に増してしまう「ストレス食い」を引き起こす原因になることがあります。また、食べることがストレス解消になっている人は、一度習慣化するとなかなか抜け出すことができません。
生理前
生理前の女性の体は食欲が増進し、脂肪、糖分、水分を溜めようとしています。これは、体が妊娠できる状態に向けて準備をするためです。

食欲を抑えられる食べ方のコツは?

一度増加した食欲をすぐに抑えることは難しいですが、以下の方法で食欲を少しずつコントロールすることで、ある程度抑えられるようになります。

身の回りに食べ物を置かないようにする
家の中や職場、車の中など、手の届く範囲内や見える範囲内に、不要な食べ物を置かないようにしましょう。なんとなくコンビニに寄ることをやめたり、グルメ雑誌やグルメ番組を見ることを控えるのもおすすめです。おいしそうな匂いも食欲を刺激しますので、用事がないときは食品売り場やレストランなどにも近寄らないようにしましょう。
栄養バランスや食事の内容を見直す
糖質に偏った食生活は、血糖値の急上昇と急降下を招きます。食物繊維や低脂肪のたんぱく質を豊富に含む食べものを積極的に摂るようにすると、食欲が抑えやすく栄養バランスも整えやすいです。夜は食欲が抑えにくいので、低カロリー、低糖質のものを摂るように意識しましょう。
また、1日1食にするなど空腹の時間が長くなると、1食の食事量を抑えにくくなりますし、食事を摂ったタイミングで血糖値が急激に上がることになるので脂肪がつきやすくなります。食事は3食規則正しく摂ることをおすすめします。
ゆっくりとよく噛んで食べる
早食いは血糖値の急上昇を招きます。ひと口ひと口ゆっくり噛んで食べましょう。ゆっくり食べることで、満腹感を得やすくなります。

痩せたいときはどんな食べ物を摂ればいい?

ダイエットでは、食材選びも大切です。効率良く、健康的に痩せるためには、以下の栄養や食品を摂ること意識しましょう。

たんぱく質
たんぱく質は筋肉や臓器を構成する成分で、エネルギー代謝に必要な栄養です。たんぱく質の摂取量が少ないと、筋肉の分解、内臓の機能低下、基礎代謝低下などを招き、体が痩せにくくなります
低GI食品
痩せるために炭水化物を極端に制限する人もいますが、リバウンドのリスクが高いのでおすすめしません。痩せるためには、血糖値が上昇しにくい低GI食品で糖質を摂取しましょう。

こんな食欲増加は摂食障害の可能性も…

食欲のコントロールが難しく、なかなか改善できない場合は、摂食障害の可能性があるので注意が必要です。たとえば、神経性過食症と呼ばれる摂食障害では、食欲を抑えられず一度の食事で大量に食べたり、ずっと食べ続ける過食をした後に意図的に嘔吐したり、便秘薬を使用したりして、食べ物を無理に体外に出そうとする行動がみられるようになります。

過食症や拒食症などの摂食障害は、うつなどの深刻な心の不調を引き起こす可能性があります。摂食障害は、本人の自覚がないまま進行することが多いです。家族や友人、同僚など、周囲の人が以下のサインに気づいたときは、すぐに心療内科を受診させましょう。

拒食症のサイン

  • 極端に体重が減った、痩せた
  • 複数の人と食事をしない
  • 一人で食事したがる
  • 極端に少食
  • 食材を極端に小さく切る
  • 活動的になる

過食症のサイン

  • 短時間で大量に食べる
  • 食べることに夢中になり、ほかのことに意識がまわらない
  • 家の中にある食べ物がなくなる。なくなるのが早くなった
  • 食事中や食後にトイレに行くとなかなか戻ってこない
  • 指に吐きダコができている

おわりに:食欲増加は食事や生活の見直しで改善可能。ただし、摂食障害は治療が必要な場合があるので注意が必要

食欲がコントロール出きない原因は、食生活や生活習慣、ストレスなどが考えられますので、まずはできる範囲で改善を試みましょう。ただし、度が過ぎる過食や改善しない過食は、摂食障害が原因かもしれません。摂食障害は、栄養指導やカウンセリングなど、心と体の両方にアプローチする治療が必要です。栄養状態や精神状態によっては、入院治療が必要になることもあります。周囲の人が摂食障害のサインに気づいた場合は、すぐに心療内科を受診させましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

摂食障害(31) ダイエット(255) 拒食症(18) 過食(9) 食べすぎ(6) 痩せない(6)