記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/9/30 記事改定日: 2020/12/22
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
妊娠中、女性の体にはさまざまな変化が起きます。同じように、体が欲する栄養素にも変化が見られるます。妊娠中の体調を健康的に維持し、元気な赤ちゃんを生むために摂取したい栄養素について理解しましょう。
葉酸は妊娠中に積極的に摂りたい栄養素のひとつで、プテロイルモノグルタミン酸およびその派生物の総称です。葉酸は植物の葉に多く含まれており、光や熱に不安定な性質を持ちます。
葉酸は造血のビタミンと呼ばれています。なぜなら水溶性ビタミンでビタミンB群に属し、ビタミンB12とともに赤血球をつくるからです。
上記のような働きを持つ葉酸は胎児の成長のために必要な栄養素です。葉酸が不足すると母体にも影響があります。巨赤芽球性貧血を引き起こしたり、動脈硬化のリスクを上昇させるおそれがあります。
妊娠中の体はさまざまな変化が起こり、体内バランスが崩れやすい状態です。葉酸は母体の体調を整えたり、胎児の成長を促すための重要な働きをします。しかし、日本では妊婦の葉酸摂取率が諸外国と比較して下回っている傾向がみられます。
葉酸は血液や細胞の生産に大きく関わり、妊娠中の胎内にいる赤ちゃんの細胞の分裂や成熟にも影響を及ぼします。妊婦が葉酸を十分に摂取すると、胎児の先天性異常である神経管閉鎖障害や二分脊椎症のリスクを減らすといわれています。特に妊娠初期に葉酸を摂取することで、二分脊椎症のリスク減少が期待されます。
葉酸の健康障害の有無については、通常の食事をしている場合であれば葉酸の過剰摂取による健康障害はほとんど起こりません。
妊娠中期以降も葉酸を摂取しましょう。妊娠中に胎盤関連産科合併症を発症することがありますが、葉酸摂取によって発症リスクを抑える、という報告があります。
ただし、妊娠中期以降も4000mgを超えるような過剰摂取を続けると、新生児に神経発達の遅れが出るとの報告もあります。とりすぎには気をつけましょう。
胎盤の血管に問題が発生したときに、胎盤関連産科合併症を発症する可能性があります。胎盤関連産科合併症は、常位胎盤早期剥離、妊娠高血圧症候群、胎児発育不全、早産などです。母体や胎児の命に関わるなどのおそれがあります。一度発症すると出産するまで改善がしにくいことが特徴ですので、予防が大切です。
合併症は誰もが発症するというわけではありません。これから2人目の妊娠を考えている、2人目を妊娠している人などで、過去に妊娠中に合併症になった経験がある場合は食事に葉酸を取り入れてみてください。第一子の妊娠の場合は、担当医や栄養士などに相談して不安を解消してみましょう。
下記で紹介する葉酸を含む食品を、意識的に食事に取り入れましょう。
食品からの摂取では不足しがちなことがありますので、サプリメントを活用するなど工夫してみましょう。サプリメントで葉酸を摂取する場合は含有量を確認し、用法用量を守ってください。
葉酸は胎児の成長にとって重要な栄養素です。ただし一時的に摂取するのでは効果が十分に期待できません。日頃から摂取するように気をつけ、妊娠前から意識的に葉酸を食生活に取り入れるのがおすすめです。