記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/11/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
電車やバスなどの公共の乗り物などで、ヘルプマークというマークを見かけたことがありますか?マタニティマークなどと同じように、配慮や対応を必要とする人のために設定されたマークで、誰の目にもわかりやすいよう、マーク化されています。
では、ヘルプマークは具体的にどのような人たちを対象としたマークなのでしょうか?また、どこに行けば入手できるのでしょうか?
ヘルプマークとは、援助や配慮を必要としていても外見からはわからない人が、周囲の人に「配慮を必要としています」と伝えるためのマークで、いざというときに援助を受けやすくなるように作られたものです。義足や人工関節をつけている人、内部の障害や難病の人、妊娠初期の人などのほか、発達障害や精神障害、知的障害を抱える人など、外見からは障害の有無がわからない人が主な対象です。
外見から障害の有無がわからないと、疲れやすかったり急に体調が悪くなったりして優先席に座っていたのに、白い目で見られてしまったり、元気そうに見えていたのに突然倒れてしまって驚かれたり、ということになる可能性があります。このように周囲の人の理解が得られなかったり、体調の急変時に適切な対応を受けられなかったりすると、当事者もそうですが、周囲の人も困ってしまうことになります。外見からわかりにくいからこそうまく伝えられなかったり、そのためにトラブルや不安を抱えやすかったりするため、ヘルプマークが必要なのです。
基本的には、赤字に白色で十字マークのハートが描かれたデザインそのものを「ヘルプマーク」と呼んでいますが、地方自治体などが配布している手のひらサイズの長方形のストラップも、同じ名称で呼んでいます。このストラップの裏面には、必要な支援を記載したシールを貼ることもできます。また、ヘルプマークを入手するために障害者手帳などの提出も不要です。必要な人がすぐにヘルプマークを利用できるよう、配布に関しても配慮がされているのです。
ストラップタイプのヘルプマークは、裏面に必要な支援や緊急連絡先などを記載し、かばんなどの人目につきやすいところにつけて使うのが一般的です。このように周囲の人から見えやすい場所につけておくことで、何らかの事情があり、配慮を必要としていることを伝えやすくなります。
具体的には、例えば以下のようなときに役立ちます。
このように、日常生活では優先席やいざというときの連絡・対処に、災害時には健康な人と一緒に避難できるようになど、ヘルプマークにはさまざまな利用方法があります。
ヘルプマークは、役所の障害福祉窓口や身体障害者福祉センター、地下鉄の駅務室などで配布されています。しかし、自治体によってヘルプマークを導入しているかどうかが異なりますので、市のホームページなどで確認してみましょう。一部の自治体では、配布場所が少ないこともありますが、郵送にも対応しているところもありますので、まず配布場所や郵送対応などを調べてみると良いでしょう。
また、配布場所まで行くのが難しい、自治体が郵送に対応していないなどの場合、自作することもできます。たとえば、東京都福祉保健局のWEBサイトには、ヘルプマークの作り方に関するガイドラインが掲載されています。
ヘルプマークをつけている人を見かけたら、基本的に以下の3つの対応を心がけましょう。
このように、まずは優先席があれば譲ったり、階段で立ち止まってしまっていたら「何か手助けできることはありませんか」などと声をかけたりすることが大切です。また、災害時にはさまざまな事情から、状況がわからなかったり、必要な情報が得られなかったり、自力で避難できなかったりする人がいます。こうした人が近くにいれば、ぜひ積極的に支援していきましょう。
ヘルプマークは、義足や人工関節、内部障害、精神疾患や発達障害など、外見からはわかりづらい事情があって配慮や対応を必要とする人が、「何らかの事情がありますよ」とわかりやすく周囲に伝えるためのものです。
ヘルプマークは配布場所でもらうほか、自作することもできます。ヘルプマークをつけている人を見かけたら、声かけや席を譲るなど、積極的に支援していきましょう。