低血圧の治し方のコツと注意点 ― 正しくリスクなく対処しよう!

2018/4/23 記事改定日: 2018/12/11
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

低血圧は、普段の食事内容を工夫したり、生活習慣を改善したりすることで治りやすくなると言われています。具体的に気をつけるべきポイントを、以下でご紹介していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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長引くめまいや頭痛は低血圧が原因かも!?

低血圧の症状には頭痛やめまいといった症状があります。もしもめまいや頭痛が続いているという場合には低血圧が関係しているかもしれません。

低血圧は、自律神経の働きが弱くなるあるいは乱れることによって血管を収縮、拡張する動作が弱くなり、その結果として起こります。自律神経の乱れや低下は血圧に影響するだけでなく頭痛やめまいといった症状も出現させます。また、血圧が低いと血液循環も悪くなるので、脳への血液量も低下することから頭痛やめまいなどの症状が起こる可能性もあります。

食事や生活習慣を少し改善するだけでも低血圧が改善し、結果として頭痛やめまいといった不快な症状も改善することができる可能性があるため、まずは日常生活を見直してみましょう。

冷え性・低体温も低血圧が原因かも?

女性や高齢者に多い冷え性・低体温は低血圧が原因のことがあります。
血圧は、血液が血管内を流れる圧力のことです。血圧が高い時は血液量が増えたり血管が収縮して圧力が高くなっている状態であり、低血圧の時は血液量が減ったり血管が拡張して圧力が低くなっている状態です。

このため、低血圧の時は血管が拡張することで、全身の血行が悪くなっている状態と考えられます。その結果、体温が低くなり、特に手足などの末梢部は血流が低下しやすく熱が逃げやすい部位なのでひんやりと冷たくなることが多くなります。

生活習慣の見直しで治す方法もある!?

低血圧は生活習慣全般を見直すことで改善するケースが多くみられます。

まずは、早寝早起きを心掛け、生活のリズムを作りましょう。低血圧の人は倦怠感などの症状もあり朝早く起きることが苦手な場合が多く、その結果として朝食が欠食し、血圧を十分に上げることのできないまま出かけてしまうこともあります。

そこで、朝は少し早めに起きて熱いシャワーを浴びたり、太陽に光を浴びて交感神経を優位にし、血圧をあげましょう。食事も血圧上昇につながるため、欠食せずに3食しっかりと食べることも大切です。

また、適度な運動を心掛けて下肢の筋力を増強させ、身体の血流を良くして血圧上昇へとつなげる、ストレスもためこまないような生活を意識するだけでも、低血圧を改善させる効果があります。

低血圧を食べ物で改善する方法

低血圧は食事で改善していくことが可能です。まず、たんぱく質は低血圧改善に効果のある栄養素であり具体的には肉、卵、魚介類、乳製品、大豆製品となります。特にチェダーチーズは血圧をあげるテラミンという物質が含まれており、低血圧の改善にお勧めな食べ物です。

また、味噌には血管を収縮させて血圧を上昇させる効果のある塩分に加え、植物性たんぱく質の大豆が主原料となっており、低血圧改善にはおすすめの食材です。

さらに、イワシや牛肉、鶏肉、豚肉、大豆製品、ブロッコリー、ニンニク、ナス、キャベツに多く含まれるユビデカレノンは不足すると心拍機能が低下し、血流が悪くなり血圧低下につながるため、積極的に摂っていきたい食材です。

しかし、これらの食材の摂取に偏ってしまうと逆に高血圧となってしまうことが考えられるため、栄養のバランスを考えて食事するように心がけましょう。

水分や塩分をとることも忘れずに

低血圧を改善するには、血液量を増やすために水分を多く摂ることが大切です。一日に2リットル程度の水分を摂るように心がけましょう。
また、塩分は体内に水分を保持する作用があります。健康のために塩分は控えるという人も多いですが、低血圧の人はむしろ少し多めの水分を摂ることが大切です。
ただし、心臓や腎臓に持病がある人は、水分や塩分の摂取制限がある場合がありますので、低血圧に悩んでいるとしても自己判断で水分・塩分摂取をせずに必ず医師の指示に従うようにして下さい。

弾性ストッキングを使うときの注意点

弾性ストッキングはふくらはぎの血行を良くし、一時的に低血圧の症状を緩和することができます。特に朝の低血圧に悩んでいる人は夜間の着用がおすすめです。

しかし、弾性ストッキングはサイズの合っていないキツイものを無理に着用すると、皮膚のトラブルや下半身への過度な血行不良、神経へのダメージなどを引き起こすことがあります。特に糖尿病や心不全の症状がある人や動脈硬化が著しい人は弾性ストッキングを着用すると、これらの合併症を引き起こしやすいので禁忌とされることもあります。
いずれにせよ、自己判断で使用するのは危険なので、使用する前に必ず医師に相談するようにしましょう。

低血圧の薬を使うときの注意点

低血圧のときには、心臓の働きを高めて血液循環を改善させることを目的としたお薬や漢方薬が使用されます。ただし、お薬を使用する際には必ず、病院を受診して医師の診察を受けたうえで処方してもらうようにしましょう。

漢方薬も自身の体質によって飲むものが変わってくるので、医師の診察を受けてから処方してもらうことが大切です。

特に持病があり、もともとお薬を飲んでいるという方は今現在飲んでいるお薬との飲み合わせや相性もあるため、自己判断で内服したお薬によって症状が悪化するまたは持病が悪化することがあります。必ず医師の診察を受けたうえで、お薬を処方してもらいましょう。

おわりに:食事や生活習慣の改善で低血圧を改善しよう

低血圧は薬での治療も可能ですが、食事や生活習慣などを見直すことで改善できる可能性があります。規則正しい生活を心がけ、バランスのとれた食事を摂る、といったことから徐々に始めていきましょう。

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