記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/11/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
目のかゆみやくしゃみ、鼻水、湿疹など、アレルギーの症状はさまざまです。とくに、春先に飛び散る大量のスギ花粉に対してアレルギーを持つ「花粉症」の人は多く、日本人の4人に1人程度がスギ花粉に対するアレルギー体質だとされています。
ビラノア®はこうした花粉症などの症状のときに飲む薬です。ビラノア®がどのようにアレルギーに対して効くのか、飲むときの注意点や副作用は、など詳しく見ていきましょう。
ビラノア®とはアレルギーの症状を抑えるための薬で、対症療法(アレルギーの原因そのものを治療するわけではない)の薬です。抗アレルギー薬の中でも、第2世代の抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1受容体拮抗薬)と呼ばれるもので、体内に存在するヒスタミンという物質が受容体にくっついて働くのを阻害し、アレルギーの症状を和らげます。
アレルギーの原因物質(アレルゲン)が体内に入ってくると、アレルギーを持っている人は体内でアレルギー反応が始まり、免疫系の細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されます。ヒスタミンは「H1受容体」という神経受容体の1つに結合し、その刺激でさまざまなアレルギー症状が現れます。
ビラノア®はこの神経受容体にヒスタミンよりも先に結合することで、ヒスタミンの作用を防ぎ、アレルギー反応をそこでストップするため、症状が出にくくなります。このため、花粉症などの季節性アレルギー性鼻炎、じんましん、湿疹のかゆみなどがあるときに処方されます。
比較的速効性で効果の持続時間も長いので、1日1回の服用ですぐに効果が現れ、1日を通じて効果が保たれます。とくに花粉症をはじめとしたアレルギー性のくしゃみや鼻水に対してよく効き、鼻詰まり・目のかゆみに対してもある程度効果がみられます。じんましんに対しては基本的治療薬として、アトピー性皮膚炎に対してはかゆみの軽減を期待して処方されます。
抗ヒスタミン薬の中でも第2世代と呼ばれるビラノア®は、ヒスタミン受容体に対する選択性(ターゲットのみに作用する力)が高く、抗コリン作用などの必要ない作用が弱まっていることから、第1世代の薬と比べて口の渇きや排尿障害などの副作用がほとんど見られず、より使いやすくなっています。
また、非鎮静性であり、脂溶性が低く脳に入りにくいことから、眠気の副作用もほとんどないとされています。このことは国内外の実薬とプラセボを用いた臨床試験や、海外で服用後の自動車運転能力を評価した試験によっても証明されています。ですから、車の運転を含め、眠気に関する制限事項はありません。
他の薬との相互作用を起こしにくいため、飲み合わせの心配もあまりありません。しかし、食事の影響によって吸収率が悪くなるため、なるべく食後ではなく空腹時に飲む必要があります。
ビラノア®の副作用は少ないほうで、従来の第1世代抗ヒスタミン薬でよく見られる口の渇きや排尿障害、眠気などの副作用も少なくなっています。とはいえ、これらの副作用が現れる可能性がゼロではありませんので、もしこれらの副作用が見られた場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
他に考えられる副作用としては、長期間の服用による肝機能障害が上げられます。健康診断などでASTやγ-GTPなどの肝機能値が上昇した場合は、すぐに医師に相談しましょう。定期的な健康診断がない場合は、肝機能検査を定期的に受診しておくとよいでしょう。
その他、頭痛・めまい・下痢・腹痛・不眠などの症状が現れることがあります。いずれの場合も、症状がひどい場合はすぐに医師や薬剤師に相談しましょう。
ビラノア®は副作用も少なく、比較的使いやすい薬ですが、腎臓や肝臓の機能が低下している人や持病がある人、または高齢で臓器の機能が低下しやすくなっている人は血中濃度が通常よりも上昇する可能性がありますので、副作用に注意が必要です。もとから持病やアレルギーがある場合や、他に薬を飲んでいる場合は診察時に伝えておきましょう。
ビラノア®との飲み合わせに注意すべき薬は以下の2種類です。
これらの薬剤は、併用するとビラスチン(※ビラノア®の有効成分)の血中濃度が上がる可能性があり、注意が必要です。
また、服用中は、以下のようなことに注意しましょう。
ビラノア®は比較的速効性のある薬ですが、人によっては効果が出るまでに数日かかることもあります。ですから、花粉症予防のために服用するという場合、症状が出てから飲むのでは遅いため、症状が出る前、花粉が飛び始めるよりも少し前から飲み始めてもらうこともあります。
また、ビラノア®は対症療法薬であり、アレルギーの原因そのものを治療するわけではありません。つまり、薬の服用をやめるとすぐにアレルギー症状が出てしまいます。花粉の時期も終わりに近づいているし、症状が落ち着いているから、と自己判断で勝手に服用を中止しないよう気をつけましょう。
ビラノア®は、アレルギー反応によって分泌される「ヒスタミン」という物質の作用を阻害し、くしゃみや鼻水、かゆみなどのアレルギー症状を和らげる薬です。対症療法薬ですから、アレルギーの原因そのものを治療する効果はありません。
主に花粉症の症状の予防や軽減のほか、じんましんの基本的治療薬や、アトピー性皮膚炎のかゆみを抑えるために使われます。副作用は少ないですが、もし現れた場合はすぐ医師に相談しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。