赤ちゃんの成長曲線で読み取れることは?

2019/12/9

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

生まれてから1年程度の赤ちゃんは、急速に成長をしていきます。今回は赤ちゃんの成長曲線から読み取れる情報と、正しい情報を得られるようにするための記録の付け方を中心に、成長曲線の意義・使い方を解説していきます。

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赤ちゃんの成長曲線とは

赤ちゃんの成長曲線とは、赤ちゃんの身長・体重がどのように、どのくらいのスピードで推移しているのか、1カ月単位でわかりやすく観察できるようにした曲線グラフです。「発育曲線」とも呼ばれるもので、基本的には横軸を赤ちゃんの月齢、縦軸を身長または体重に設定して使用します。

赤ちゃんの月齢ごとの身長・体重を記録し、合致するところに点をつけてつないでいくことで、赤ちゃんの成長過程とスピードを可視化できるようになります。この成長曲線のフォーマット用紙、また赤ちゃんの男女別の成長曲線のパーセンタイルは、厚生労働省から発表されています。

成長曲線の「パーセンタイル」とは?

成長曲線のパーセンタイルとは、赤ちゃん全体を100%としたときに、小さいほうから数えて何%の成長度合いにあたるかを現した数値・曲線のことです。厚生労働省では10年ごとに赤ちゃんのパーセンタイルを集計・更新し、男女別に3・10・25・50・75・90・95パーセンタイルの数値を発表しています。この3~95パーセンタイルは、赤ちゃんの標準的な発育の範囲を現しています。

成長曲線で何がわかるの?

成長曲線に月齢ごとの赤ちゃんの身長・体重を記録し、厚生労働省発表の男女別のパーセンタイルと照らし合わせることで、赤ちゃんの発育状況を知ることができます。

パーセンタイルは、赤ちゃんの身長・体重が推移するデータを大きさ順に並べて100で区切り、小さいものからそれぞれのデータに番号をつけていったものです。たとえば、自分の赤ちゃんの成長曲線がパーセンタイルの3に最も近ければ、他の赤ちゃんと比べて小さめであることがわかります。反対に、自分の赤ちゃんの成長曲線が、パーセンタイルの95に最も近ければ、他の赤ちゃんに比べ大きめと言えます。

そして、自分の赤ちゃんの成長曲線が厚生労働省発表の3~95パーセンタイル内に収まっていれば、赤ちゃんが標準的な範囲で成長しているということになります。

ただし、パーセンタイルが表す標準の発育範囲から自分の赤ちゃんの成長曲線が少しぐらいズレていても、特に大きな問題はありません。赤ちゃんの成長速度には個人差がありますから、標準的な発育範囲からズレていても、成長曲線が標準的なものと同じようなかたちで並行しているなら、順調に成長しています。

成長曲線のつけ方は?

成長曲線の横軸は、赤ちゃんの月齢になっていることがほとんどですから、1カ月に1回の頻度で赤ちゃんの身長・体重を測り、記録をすれば十分です。ほとんどの市区町村では、乳幼児向けの身体測定や育児相談会を1カ月に1回のペースで開催していますから、この機会を利用して計測・記録するのがおすすめです。

もちろん、赤ちゃんの成長が気になるという方は、もっと頻繁に身長・体重を測って記録しても構いません。ただ、体重・身長が思っているよりも増えない、または増えすぎることに不安を感じている場合、頻繁な測定は赤ちゃんと親の双方にとって余計なストレスとなります。身長・体重の変化に過剰なストレスを感じるようでしたら、測定の頻度は1週間に1度くらいにとどめてください。

病院で診てもらったほうがいい場合は?

厚生労働省発表の標準的な発育の範囲と自分の赤ちゃんの成長曲線を見比べ、以下のような差が見られた場合は、注意が必要です。

  • 標準的な発育の範囲、成長曲線のかたちから大きくズレて横ばいになっている
  • 途中まで標準的なペースで成長していたのに、急に体重が減った、または増えた

上記のような場合は、成長ホルモンや甲状腺ホルモンの不足をはじめ、赤ちゃんに何らかの異常や病気が生じている可能性があります。

成長曲線に気になる変化があったときは、記録した成長曲線を持って病院に行き、小児科の医師に診てもらいましょう。

おわりに:成長曲線からは、赤ちゃんの成長度合いの目安や病気のリスクが読み取れる

赤ちゃんの成長曲線は、月齢ごとの身長・体重を記録し厚生労働省発表のパーセンタイルと見比べることで、赤ちゃんの成長速度や異常を確認できる曲線グラフのことです。1カ月に1回程度、乳幼児健診の際に測った身長と体重を記録し線でつなげていくことで、赤ちゃんが順調に成長しているかを確認できます。ただし、標準的な成長曲線から大きくズレている場合は病気の可能性もあります。そのような場合は、かかりつけの医師に相談してください。

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