離乳食を始めたいけどアレルギーが心配…進める上でのポイントは?

2022/6/16

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

離乳食は生後5~6カ月から始めるのが一般的ですが、食物アレルギーの発症が心配で、なかなか進められない保護者の方もいらっしゃるかと思います。そこで今回は、食物アレルギー対策に注意しながら離乳食を進める上でのポイントや、アレルギー反応が出た時の対処法などをお話ししていきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

離乳食を着実に進めるためのポイントは?

食物アレルギーは乳児期に発症することが多いため、ご自身にアレルギー疾患がある方は「赤ちゃんにもアレルギー疾患が遺伝しているかも」と考えてしまい、離乳食を進めることに不安を覚えるかもしれません。そんな方にお伝えしたい離乳食の進め方のポイントは、以下の通りです。

離乳食は5~6カ月から始める

赤ちゃんが成長する上で、タンパク質やカルシウムなどの栄養素は欠かせないため、離乳食スタートを自己判断で遅らせることはおすすめできません。通常通り、生後5~6カ月から始めましょう。諸説ありますが、最近では「離乳食を遅らせても食物アレルギーの予防にはならない」「色々な食べ物を早めに食べたほうが食物アレルギーを発症しにくい」という報告も出てきています。

初めての食材は少量から

初めての食材を与える際は、赤ちゃんの体調がいい時に、少量から始めて様子を見ましょう。特に、卵や甲殻類、ピーナッツなど「食物アレルギーの代表的な食材」にトライするときは、耳かき1杯程度から始めてください。

初めての食材は1食につき1種類

初めての食材をあげるときは、1食につき1種類に留めてください。これは、アレルギー症状が出たときに原因食材を特定しやすくなるからです。

月齢に合わせて色々な食材をあげる

医師から除去するように指示された食材は避ける必要がありますが、そのほかの食材は市区町村や病院で指導されている厚生労働省作成の「授乳・離乳の支援ガイド」に沿って、赤ちゃんの発達段階に合わせて食材を与えていきましょう。

アレルギーを起こしにくい食材から始める

離乳食をスタートするときは、、さつまいも、大根、にんじん、かぼちゃなどアレルギーを引き起こしにくい食材から始めるのがおすすめです(アレルギーの可能性がゼロというわけではないので、新鮮なものを少量ずつ与えることを守りましょう)。最近は、食物アレルギーに配慮したベビーフードも販売されているので、それを活用してみてもいいかもしれません。

初めて食べるものは午前中に

食物アレルギーの症状は食後1~2時間以内にあらわれることが多いため、万が一発症した時にすぐ病院を受診できるよう、初めての食材は午前中に与えましょう。食物アレルギーの発症リスクが高い食材を試す日は、かかりつけの病院が休診日でないか事前に確認しておくことが大切です。

アレルギー症状が出たときの対処法は?

湿疹や蕁麻疹などの皮膚症状、嘔吐や下痢、鼻水、まぶたの腫れ、ぐったりする、急に機嫌が悪くなる、といった食物アレルギーが疑われる症状が見られたら、できるだけ早く病院を受診してください。

乳児の食物アレルギーの多くは、食後1〜2時間以内に発症するタイプのものですが、食後6〜8時間後や1〜2日後に遅れて発症するケースも存在します。いずれも自己判断せず、医師の診断を受けましょう。

なお、検査で食物アレルギーの診断が出た場合、原因食物を除去して離乳食を進めることになります。ただ、アレルギー症状は成長とともに緩和したり治ることが多く、消化機能の発達に連れてアレルゲン食材を食べられるようになる場合もあります。いつまでアレルゲン食材を控えればいいかについては、医師に相談しながら決めてください。

おわりに:離乳食の開始は遅らせず、赤ちゃんの様子を見ながら進めていこう

赤ちゃんの食物アレルギーの発症には勿論注意が必要ですが、だからといって離乳食のスタートを遅らせてしまうと、発育のために必要な栄養素が不足する恐れも出てきます。大切なのは、自己判断をせずに離乳食を一般的なペースで始め、食後の赤ちゃんの体調変化をしっかりチェックすることです。心配なことがあれば医師に相談しながら、離乳食を進めていきましょう。

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