蚊に刺されやすい人の特徴って? どんな対策が有効なの?

2018/7/25

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

夏場から秋にかけてのよくある皮膚トラブルが、「蚊に刺されること」。毎年毎年嫌な思いをしている方も多いでしょうが、蚊に刺されにくくする良い方法はないものでしょうか?また、「O型の人は蚊に刺されやすい」なんて噂もありますが、刺されやすい人には特徴があるのでしょうか?
蚊が好む人の特徴から対策まで、幅広い情報をお届けしていきます!

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蚊に刺されやすい人の特徴って?

「友達は全然蚊に刺されないのに、私ばっかり刺される!」なんて感じたことはありませんか?どんな人も蚊に刺されることはあるけれど、刺されやすさには個人差があるような気がしますよね。では、蚊に刺されやすい人とはどんな人なのでしょうか?具体的な特徴をお話ししていきます。

体温の高い人

蚊の触角には温度を感知するセンサーが、産毛のような形でついています。このセンサーの温度感知能力は人間のおよそ10倍ともいわれ、わずかに体温が高いだけでも蚊が集まりやすくなることがわかっています。

黒い服を着ている人

「黒い服を着ていると蚊に刺されやすい」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、これは本当です。シャツの色別で蚊の刺されやすさを比較した海外の実験によれば、黒いシャツが最も蚊を誘引したという結果が得られたそうです。

では、なぜ蚊は黒い色を好むのかというと、その理由については諸説あります。「蚊は色自体を視認することはできないが、人には見えない紫外線領域の光の波長で色を識別している」という説や、「蚊(イエカ)は夜行性のため、保護色となる暗い色を好む」「黒い部分は熱を吸収しやすいため、体温が上がる黒い部分に引き寄せられやすい」などさまざまな説があります。

汗っかきの人や太っている人

蚊の触角にあるセンサーは、温度だけでなく汗の匂いのもととなる脂肪酸や乳酸菌も嗅ぎ分ける能力があります。そのため、体脂肪の多い肥満体型の人や、汗っかきの人(運動中の人)のほうが刺されやすい傾向にあります。

なお、肥満体型の人はそもそもの体表面積が大きいために、その分刺されやすくなるとも考えられています。

お酒を飲んだ人

蚊の口の周辺には「小顎髭(こあごひげ)」と呼ばれる2本組のセンサーがあり、二酸化炭素を嗅ぎ分ける能力があります。人間の息に含まれる二酸化炭素の濃度は、大気中の二酸化炭素の濃度よりもはるかに高いため、蚊はこの二酸化炭素を目印に人の居場所を感知します。

そして二酸化炭素は、体内でアルコールが分解される際に大量発生するため、お酒を飲むと普段よりも蚊に刺されやすくなるのです。また、飲酒によって呼吸数が増えることや、皮膚の血管が拡張し体温が上昇すること、汗をかきやすくなることも刺されやすくなる一因とされています。

妊婦

妊婦さんは肥満の人と同じように体表面積が広く、さらに妊娠後期になると肺がお腹で圧迫されるために呼吸数が増えるので、二酸化炭素の排出量で蚊を引きつけやすくなる傾向にあります。さらに、妊娠中に基礎代謝が上がり、体温が上昇することも要因の一つです。

O型は蚊に刺されやすいって本当?

「O型は蚊に刺されやすい」というのは、統計上本当と考えられます。

2004年のJournal of Medical Entomologyで、害虫防除技術研究所の白井良和先生は「蚊はO型の血液を好む」と報告しています。この報告の中では、蚊に刺される頻度はO型で83.3%、A型で46.5%というデータが発表されており、血液型によって刺されやすさには差があることがわかります。
また、どの血液型の人に蚊が多く止まるかの割合を調べたところ、O型>B型>AB型>A型の順に刺されやすかったということも判明しました。

ただ、なぜ蚊がO型の血液を好むのかについて、はっきりしたことはわかっていません。

蚊に刺されやすいのは「足の常在菌」が関係している!?

2016年、当時京都教育大学附属高校の2年生だった田上大喜さんによる「蚊が何故人間の血を吸いたくなるのかを、ヒトスジシマカの雌の交尾数で検証する」という研究レポートが話題になりました。

このレポートの中で明らかになったことが、「足の常在菌の種類が多い人は、蚊に刺されやすい」ということです。実際にアルコールをつけたティッシュで足首から下を拭いた上で、蚊の多い裏山に5分間滞在したところ、何もしなかったときは81箇所も刺されたのに比べ、数が1/3に減少したそうです。
専門家の見解によれば、一部の常在菌が出す脂肪酸などの化学物質は蚊を興奮させる作用があるのではないかと考えられています。

蚊に刺されにくくするための対策は?

以上のことから、蚊に刺されにくくするためには下記の対策が有効と考えられます。

こまめに汗を拭く

汗に含まれる脂肪酸や乳酸菌は蚊を引きつける原因の一つです。汗はこまめに拭き、体を清潔にしましょう。

足裏を拭く

足裏の常在菌は蚊を引き寄せるだけでなく、そもそも足裏には汗腺が多いために蚊を引きつけやすいです。アルコールの染み込んだウェットティッシュで足裏を拭いたり、あるいは石鹸で足の裏や指と指の間を念入りに洗うようにしましょう。

明るい色でゆったりめの服を着る

蚊は黒い服には誘引されやすくなる一方で、白い服には引き寄せられにくい傾向にあります。なるべく白い服や、明るい色(黄色や薄ピンク)の服を着るようにしましょう。
また、ピタッと肌に密着するタイプの服を着ていると、服の上から刺されてしまいます。ゆったりめの服であれば刺されても肌まで針が届かないことも多いので、これも有効な対策です。

ダイエットする

肥満傾向の人は、ダイエットして体表面積を減らすことで、少しは刺されにくくなる可能性があります。ただ、夏場や初秋など蚊が活動的な時期に運動して汗をかいてしまうと、逆に蚊を呼び寄せてしまうので、できれば夏前に減量しておくことが望ましいです。

虫除けスプレーをつける

市販の虫除けスプレーを体にかけるのも有効な対策です。
市販でよく売られている「ディート」「イカリジン」などの成分が配合されているタイプは、皮膚に塗ることで蚊のセンサーを目くらましし、人間だと感知させにくくする作用があります。ただ、このタイプの虫除けは効き目のある範囲が狭く、塗り残しがあると蚊に感知されてしまうので、きちんと手で伸ばしたり、こまめに塗り直したりする必要があります。

特にしっかり虫除けを塗りたい部分は、顔や首元です。顔まわりや首元は他の部分と比べて体温が高く、人間の匂いが強く出ている場所とされています。手足だけでなく、これらの部分もしっかり虫除けを塗るようにしてください。

水溜まりを無くす

蚊に刺されないようにするには、そもそも蚊を発生させないことも重要です。蚊は水面に産卵し、それが孵化するとボウフラになり、2週間ほどかけて水中で育ちます。つまり、家の周辺に不要な水溜まりがあるなら、それを無くすことも有効な対策となります。
室内でも、植木鉢の受け皿などは水が溜まりやすいので注意しましょう。

殺虫剤を使う

玄関先など、蚊の侵入しやすい場所には蚊取り線香を設置しましょう。また、換気口や網戸も蚊が入りやすい場所なので、換気口は網などで塞いだり、網戸に殺虫剤を撒いたりすることも大切です。

おわりに:蚊に刺されやすい特徴が多い人ほど、早めに対策を!

汗っかきの人、黒い服を着ている人、O型の人などなど、蚊に刺されやすい人には確かに傾向があるようです。これらの特徴に該当するものが多い人は、少しでも刺されやすさを軽減するために、ご紹介した方法を早速取り入れてみてくださいね。

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