記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2020/3/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
心臓を起点として体中を巡っている血管には、動脈と静脈があります。
今回は、私たちの体の仕組みと病気リスクを理解するために知っておきたい動脈・静脈の仕組みについて、それぞれの機能の違いを含め解説していきます。
心臓を起点に、私たちの全身を巡っている血液の通り道には大きく「動脈」と「静脈」があります。それぞれの役割や特徴は、以下の通りです。
上記のように、動脈・静脈それぞれが心臓から全身へと血液を送り、回収しているからこそ、私たちの体の健康と働きは維持されているのです。
動脈か静脈かにかかわらず、血管は内膜・中膜・外膜の3層からできています。
内膜は、血管を構成する層の最も内側にあり、血液に接している部分です。血液と接する表面は内皮細胞と呼ばれる層に覆われていて、血液から必要な栄養だけを取りこむためのフィルターとなっています。
中膜は内膜の外側にあり、適度に圧力をかけ血液を送るための筋肉の層です。平滑筋(へいかつきん)細胞などからできていて、弾力性に富んでいるのが特徴です。
そして、外膜は血管の最も外側にあり、血管外のリンパ腺や毛細血管とつながっています。外膜は血管を外部刺激から守り、かつ、血管の外側から毛細血管などを通じて運ばれて来る栄養分を受け取る働きをしています。
内膜・中膜・外膜のうち、動脈と静脈で違いが大きいのは中膜です。心臓から強い圧力で血液が送りだされる動脈の中膜は厚くなっているのに対し、かかる圧力の小さい静脈の中膜は動脈より薄くなっています。
血管のうち、心臓から豊富な酸素・栄養を含んだ血液を強い圧力で全身に送っているものを動脈、酸素・栄養を届け終えた血液を心臓に戻すためのものを静脈と言います。どちらも内側から内膜・中膜・外膜の3層からできている点は同じですが、強い圧力のかかる動脈の方が、弾力性に富む中膜が厚いのが特徴です。我々の体の健康や活動は、役割と仕組みの異なる2つの血管の働きにより、血液循環で支えられていると理解しておきましょう。