記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/12/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
高血圧がさまざまな病気を引き起こすリスク因子になっていることは、今ではかなり広く知られています。そのため、高血圧を予防するためのさまざまな方法はもちろん、家庭用に手軽に血圧を測れる器具も普及してきました。
このように家庭で測った血圧を「家庭血圧」と言います。定期的な健康診断だけではなく、継続的に家庭血圧を測ることには、どんなメリットがあるのでしょうか。また、どのように測れば良いのでしょうか。
血圧は病院や健康診断などで測定するイメージが強いですが、最近では家庭でも測れる血圧計が登場し、血圧を気にする人も増えています。このため、家庭で測定した場合の血圧を「家庭血圧」と呼ぶようになりました。特に、2014年4月に改定された「高血圧治療ガイドライン」では、この「家庭血圧」を病院で測定した「診察室血圧」よりも優先するように、と記されており、高血圧に関する治療方針において、家庭血圧を重視するようになっています。なお、「高血圧治療ガイドライン」は2019年に最新版が刊行されていますが、この方針は変わっていません。
また、家庭血圧の測定条件についても明確に示され、「1機会につき原則として2回測定し、その平均値をとる」と規定されました。これにより、以前は「1機会につき1回以上」と、何回測ればよいのかはっきりしていなかった点が明確になっています。
2回と規定された理由として、実情として2回測定して平均値を算出する人が多かったことや、ヨーロッパのガイドラインでは「1機会に2回の測定を行う」と記載されていることが挙げられます。
一般的に、家庭で血圧を測定すると、リラックス状態にあるため、病院で測定した値よりも低めに出ることがわかっています。そのため、以下にご紹介するように、病院での基準値よりも家庭での基準値の方が、少し低めに設定されています。
とはいえ、実際に高血圧かどうかの診断は医師が行いますので、家庭での測定結果に一喜一憂しすぎるのではなく、この値に近い、もしくは超えることが多いようなら病院を受診する、という目安にするのが良いでしょう。
家庭血圧を測定するメリットとして、以下のようなことが挙げられます。
白衣高血圧とは、病院に行って診察室で血圧を測るとき、緊張して無意識かつ一時的に血圧が上がってしまうものです。普段の血圧は正常値であることから、すぐに治療して血圧を下げなくてもよい人がこれに当たります。
仮面高血圧はその反対で、病院や健診で測ると正常なのに、普段の血圧は高い人のことで、逆白衣高血圧などと呼ばれることもあります。仮面高血圧は投薬治療中の人に多いと言われており、朝に服薬して血圧が下がっていき、最も薬が効いている時間に診察を受けるため、病院では血圧が正常値と診断されてしまうパターンです。
このように、病院では見抜けない一時的な高血圧や、逆に慢性的な高血圧についても、普段から家庭血圧を測っていれば見抜くことができます。そのため、より正確な高血圧の診断のためにも、家庭血圧は重要だと言えるでしょう。
最後に、正しい家庭血圧の測り方をご紹介します。基本的には朝と夜の2回、以下のようなポイントに注意して測りましょう。
いずれの場合も、1~2分程度安静にした後で測ります。また、以下のような状態は測定結果に影響してしまい、正しく家庭血圧を測れないので注意しましょう。
まず、気温が極端に低かったり高かったりという状態は、血管を収縮させたり拡張させたりすることにつながるため、血圧にも影響します。室温は20度前後がベストですので、できるだけ近い状態で測定しましょう。また、尿意や便意がある場合も緊張状態になりますので、トイレは事前に済ませてください。
精神的なストレスも血圧に影響します。イライラしたり、不安感があったり、緊張していたりといったストレスを抱えた精神状態では、正確な血圧を測れません。そこで、血圧を測る前には数回ゆっくりと深呼吸するなど、1~2分間リラックスするための時間を設けましょう。
測定時刻をできるだけ揃えることも大切です。1日のうちで最も安定した状態、安静な状態が保てる時間帯を選び、毎日できるだけ同じ時間帯に測れるようにしましょう。また、最初にもご紹介したように、家庭血圧の測定値は収縮期が135mmHg以上、拡張期が85mHg以上です。いつ測ってもこの値に近い、または超えているという場合は、血圧の測定データを持って早めに医療機関を受診しましょう。
家庭血圧とは、病院や健診で測る血圧に対して生まれた言葉で、家庭で血圧を測ることを言います。特に、2014年以降の高血圧の治療ガイドラインでは診察室血圧よりも家庭血圧を重視すると規定され、家庭血圧の重要性はいっそう高まりました。
家庭血圧を詳細に記録しておくと、より正確な情報によって、より正確な診断が下せます。ご紹介したポイントに注意しながら、健康管理のためにも家庭血圧を測りましょう。