猫背になったのはスマホが原因?デメリットを知って改善しよう!

2020/2/8

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

猫背が悪い姿勢であることは、たいていの人は幼い頃から周囲の大人に注意されたり、学校や職場の健康診断で指摘されたりして知っています。しかし、なぜ猫背が悪い姿勢なのか、身体にどんな悪影響があるのかを知っている人は多くありません。

しかも、現代人の生活にはもはや欠かせないスマホが猫背の原因となっている可能性もあります。猫背の本当のデメリットや、その改善方法について知っておきましょう。

猫背だと体にデメリットがあるって本当?

猫背がなんとなく見た目に悪い、というのはすぐにわかる特徴です。「背骨が曲がるよ」などと、子供の頃に親や先生に注意された人も少なくないのではないでしょうか。しかし、猫背は単に見た目が悪いというだけでなく、健康面でも以下のような悪影響を及ぼすことがわかっています。

肥満
  • 正しい姿勢でいれば使うはずの腹筋・背筋を使わないため、代謝が悪くなる
  • 脂肪が消費されず蓄積されやすくなるため、太りやすくなる
  • さらに、顎を突き出す姿勢によって皮膚がゆるみ、二重顎にもなりやすいとされる
老けて見える
  • 実年齢よりも5歳程度上に見られることが多いとされる
  • 猫背には疲れている、だらしない、暗いなどのイメージがあることが原因と考えられる
肌荒れ
  • 背中が丸くなることで内臓が圧迫され、負担をかけている状態に
  • 内臓疾患や便秘を引き起こすことで、老廃物が体内に溜まり、肌荒れの原因となる
むくみ・たるみ
  • 姿勢が悪くなると、血液やリンパの流れが悪くなるため、むくみの原因となる
  • 顔の筋肉(表情筋)は背中の筋肉が引っ張り上げるため、背中の筋肉の衰えは顔のたるみにつながる
  • 最近、むくみやたるみが目立つという人は、姿勢を改善すると改善されることも
肩こり
  • 5~6kgもある人間の頭を支えるため、正しい角度で支えることが非常に重要
  • 前かがみになればなるほど、肩甲骨も前に出る「巻き込み肩」になってしまう
  • 肩甲骨と肩甲骨の間の筋肉が引っ張られ、その張りが肩こりとなって現れる
腰痛
  • 猫背になると上半身の重心がずれるため、腰の関節に負担がかかり、腰痛になりやすい
  • 正しい姿勢でないと腹筋や背筋を使わないことから、まれに重いものを持とうとしたときに腰痛になりやすい
頭痛
  • 首周りには重要な神経が集まっているため、猫背になってこれらが圧迫されると、慢性的な頭痛の原因となる
  • 耳鳴りやかすみ目、イライラ、ストレスを感じるなど、さまざまな不調が起こることも
  • さらには、イライラやストレスが肥満を引き起こすなど、悪循環を引き起こすこともある
酸素不足
  • 猫背の人は内臓が圧迫されて呼吸が浅くなるため、脳が酸欠になりやすい
  • 例えば、意識的に背中を丸めてみると、深呼吸するのは難しいことがわかる
  • このような軽度の酸欠状態が続くと、集中力の低下などにもつながる

このように、猫背は単なる見た目の悪さだけではなく、筋力の衰え・内臓への圧迫・老廃物の蓄積・関節への負担、そしてそこから引き起こされる肩こり・腰痛・頭痛・肌荒れや肥満といった悪影響を引き起こします。単に姿勢が悪いだけ、と思わず、できるだけ正しい姿勢を保つよう心がけましょう。

スマホで猫背になるって本当?

現代人は、「長時間のデスクワーク」「長時間のスマホ使用」によって、猫背になりやすいとされています。例えば、キーボードやマウス操作が中心のデスクワークでは、腹筋や背筋を使わない肩が内側に入った前かがみの姿勢を取りやすいですし、しかもそれが長時間・長期間続いていると、背骨だけでなく骨盤の歪みや筋肉の衰えを引き起こしやすいことがわかっています。

もう一つの猫背の原因として、長時間のスマホ使用が挙げられます。現代では、1人あたり1日に約3時間はスマートフォンを使っているとされていますが、スマートフォンを使うとき、多くの人は画面を覗き込むように首が前かがみになります。すると、前述のデスクワークと同様、背骨や骨盤の歪み、筋肉の衰えにつながっていくのです。

このような「スマホ猫背」をチェックする方法として、鏡の前で以下のようなポイントを確認してみましょう。2つ以上のチェックがあるなら、スマホ猫背になっている可能性が大きいと考えられます。

  • 首が前に出ている
  • 肩が前に出ている
  • 背中が丸く傾いている
  • 下腹がぽっこりと出ている
  • 骨盤が後ろに傾いている
  • 膝がやや前に出ている

また、上記のように背中や腰が丸まっているほか、下腹や膝が前に出て、胸やお尻が下がっているというシルエットは、実年齢よりも老けて見えるだけでなく、首が前に傾いた結果、首のしわもできやすくなるのです。

一方、背筋が自然なS字カーブを描き、耳・肩・膝・かかとまでの身体の軸がスッと一直線に通る整った姿勢は、若々しさを感じさせます。ぜひ、上記のチェックポイントを定期的に確認し、該当する項目は早めに直すようにしましょう。

猫背を直す方法は?

では、逆に猫背を直すため、あるいは猫背にならないために日常生活で気をつけられることにはどんなことがあるのでしょうか。それは、以下のような4つのポイントです。

正しい姿勢を知る
  • 壁に背をつけて真っ直ぐ立ったとき、後頭部・背中・お尻が同時に壁につき、さらに壁と腰の間に手に入る程度の隙間がある状態を意識する
  • なかなかうまく行かないときは、膝立ちをしてみるとよい(自然と背筋が伸びる)
  • 日常の中で上記のような「正しい姿勢」をできるだけ意識し、猫背になっていると気づいたら「正しい姿勢」に直す、というのを繰り返し、徐々に正しい姿勢に慣れる
寝返りをうつ
  • 寝返りには、その日作ってしまった身体の歪みを正す役割がある
  • 人間は寝ている間に20~40回程度寝返りをうち、身体の歪みをリセットするとされる
  • 寝返りがうてないと、身体の同じ部分が圧迫され続けるため、歪みが治らない
  • 寝返りは意識的にうてないため、寝返りのうちにくいふわふわのマットレスを硬めのマットレスに変えるなどの工夫が必要
椅子と机の間の距離を変える
  • デスクワークの場合、肘の角度が90度で自然にキーボードに届き、顔からPCのディスプレイまでが40cm以上離れているよう距離を調節する
  • よくある机は高さ70cmのものが主流だが、これは身長175cm以下の人にとっては高すぎるため、自分の体型に合った机や椅子を使うことが大切
頬杖をつかない
  • 頬杖や足を組むなど、いつも身体の同じ部分が圧迫されるのは悪い姿勢
  • 背骨や骨盤が歪み、猫背の原因となるので気づいたらやめる

また、自分の身体がどのように歪んでいるか、どう矯正したらいいのかを手っ取り早く知りたい、という場合、整体院に行くのも良いでしょう。根本的に猫背を直すためには、自分の身体がどんな歪みのタイプを持っているか知ることが大切ですから、整体院に行って歪みのタイプや、直し方を指導してもらえば効率的に猫背の改善ができます。

このように積極的に治療しようとして整体院に通うのは良いことなのですが、逆に「整体院に行っているから日常生活で気をつけなくても大丈夫」と考えてしまうのは危険です。背骨や骨盤の歪みは基本的に、日常生活の習慣から発生しています。ですから、整体院に行っているから大丈夫と油断せず、日頃から自分自身でも正しい姿勢を意識しておくことが重要です。

猫背を改善するおすすめのストレッチは?

猫背を改善するためには、ストレッチを行うのも効果的です。最後に、猫背に効くストレッチを4つご紹介します。どのストレッチも何回行っても構いませんが、身体に痛みを感じのやりすぎですので、関節や筋肉を痛めないよう、正しい姿勢や方法で行うことと、最初からやりすぎることには十分注意しましょう。

また、柔らかいソファや布団の上はバランスがとりにくく、以下のストレッチには不向きです。床や硬めのカーペットなど、バランスの取りやすい場所で行いましょう。

ウォールプッシュ・バックエクステンション

このストレッチは、壁を使って行います。

  1. 壁の前に立ち、両足を腰幅に開く。
  2. 両手をまっすぐ壁につけ、体が壁から30度傾いた状態にする。
  3. 手と足を壁と床から離さず、膝と腰を曲げて胸を伸ばし、肩を後ろに屈曲させて5秒間キープする。
  4. 1のポジションにゆっくりと戻す。

このセットを1回につき、3セット行います。ポイントは腰を反るのではなく、胸を伸ばすことを意識すること、呼吸を止めないことです。

背中スッキリストレッチ

このストレッチは、椅子に座って行います。

  1. 耳・肩・腰を結ぶラインを一直線にして椅子に腰かける。
  2. 腕を「前ならえ」の姿勢で前に伸ばし、そのまま両ひじを曲げながら肩甲骨をできるだけ背骨の真ん中に寄せるように引いていく。
  3. 引ききった状態で、10秒間キープする。

このセットを1回につき、3セット行います。ポイントはやはり腰が反りすぎないよう注意することと、呼吸を止めないことです。

ペルビックストレッチ

このストレッチは、椅子に座って行います。

  1. 耳・肩・腰を結ぶラインを一直線にして椅子に腰かけ、腕を前方に伸ばす。
  2. 目線はおへそを覗き込むようにし、口から息を吐きながら肩甲骨を外に広げ、お腹を凹ませて骨盤を後ろに倒す。
  3. 目線を斜め上に上げながら鼻から息を吸い、肩甲骨をしっかりと寄せながら両腕を後ろ下方へ伸ばして外側にねじり、骨盤を前に傾ける。

3の動作をとくに大きく行いましょう。

スフィンクス・ローテーション

このストレッチは、床に寝転がって行います。

  1. うつ伏せに寝転がって両ひじから両手までを床につき、上体だけを起こしてスフィンクスのような姿勢になる。
  2. 右ひじを右肩の下に置いたまま、左手を後頭部に置く。
  3. 右ひじでしっかりと体を支え、目線は左ひじを見ながら、胸椎から体をねじる。
  4. ゆっくりと姿勢を1に戻し、1〜3を左右逆にして同様に行う。

このストレッチは、左右セットで5回以上行います。ひじをついた腕が外に傾いて体の軸がブレたり、骨盤が床から浮かないように気をつけましょう。

おわりに:スマホが原因で猫背になることも。正しい姿勢で猫背を改善しよう

現代人にとってもはや欠かせないスマホですが、どうしても狭い画面を覗き込むような姿勢を取りがちなため、スマホを使い続けることで猫背を引き起こすこともあります。そこで、普段から正しい姿勢を取ることを意識し、猫背になっていると感じたらすぐに直すことが大切です。

また、ストレッチで身体の歪みを直すことも猫背の改善に有効です。ぜひ、これらの習慣を取り入れ、猫背による悪影響から身体を守りましょう。

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