記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2020/2/8 記事改定日: 2021/7/29
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
猫背が悪い姿勢であることは、たいていの人が知っていると思います。幼い頃に周囲の大人に注意されたり、学校や職場の健康診断で指摘されたりした経験がある人も多いでしょう。しかし、猫背が悪い姿勢である理由や、身体にどのような悪影響があるのかを知っている人はあまり多くはないかもしれません。
現代人の生活には欠かせないスマホやリモートワークが猫背の原因となっている可能性もあります。猫背の本当のデメリットや、その改善方法について知っておきましょう。
猫背は見た目が悪い、というのはすぐにわかる特徴です。「背骨が曲がるよ」などと、子供の頃に親や先生に注意された人も少なくないのではないでしょうか。しかし、猫背は単に見た目が悪いというだけでなく、健康面でも悪影響を及ぼすと考えられています。
このように、猫背は見た目が悪いというだけではなく、代謝の低下、内臓の圧迫、老廃物の蓄積、関節への負担を引き起こし、肩こり、腰痛、頭痛、肌荒れ、肥満などの原因になることもあるのです。また、猫背でいると筋肉を正しく使えなくなるため、運動のパフォーマンスの低下や特定の部位の筋力低下などを引き起こすこともあります。
現代人は、「長時間のデスクワーク」「長時間のスマホ使用」によって、猫背になりやすいといわれています。
たとえば、PCの操作が多くなるデスクワークでは、猫背で肩が内側に入った前かがみの姿勢を取りやすいです。この姿勢では、首や肩、腰などに偏った負担がかかることになるので、長時間、長期間続くと、肩こりや腰痛などを発症しやすくなります。
最近は、リモートワーク、テレワークの普及により猫背が原因の腰痛、首や肩のトラブルが増えているようです。
また、猫背の姿勢では、腹筋や背筋が正しく使われなくなるため筋肉も衰えやすくなります。猫背自体も背骨や骨盤の歪みを引き起こしますが、猫背が引き起こす筋肉の衰えは、この歪みをさらに悪化させる悪循環を生み出す可能性もあるので注意が必要です。
デスクワークが多い人は、意識して猫背対策に取り組みましょう。
長時間のスマートフォン(スマホ)使用は猫背の原因になります。これは、スマホ使用時は、画面を覗き込むように「首が前かがみになりやすい」からです。また、スマホを操作するときは「巻き込み肩」になりやすいことも、猫背の原因になります。
自分がどのくらいスマホを使っていると感じているか調べる意識調査では「3〜4時間程度」という結果が出ていますが、スクリーンタイム画面の情報をもとにした実態調査では「6〜7時間程度使用している」という結果が出ています。
つまり、自分が思っているよりも長時間スマホを使っている可能性があるということです。猫背は、以下の方法でチェックできますので、2つ以上当てはまる場合は猫背対策を始めましょう。
また、今は猫背でなくても、将来的に猫背になる可能性もあります。スマホをよく使う、PCを使うことが多い人は、今のうちに猫背対策を始めることをおすすめします。
猫背対策のために日常生活で気をつけるポイントは、以下の通りです。
整体院で猫背を根本的に直せるわけではありませんが、客観的に自分の姿勢をチェックしてもらえる機会にはなります。筋肉の緊張を緩めて可動域を改善することで猫背が直りやすくなる場合もあるので、セルフケアの補助として通うのであれば問題ないでしょう。
ただし、猫背などの姿勢の悪さは、日常生活や仕事中の習慣がおもな原因です。整体院に通っているから大丈夫と油断せず、日頃から自分自身で正しい姿勢を意識する習慣をつくりましょう。
また、すでに腰痛や首の痛み、ひどい肩こりなどの症状がある場合は、猫背以外の原因も考えられますので、まずは整形外科などの医療機関を受診してください。
猫背の改善には、エクササイズも役立ちます。以下で、猫背におすすめのエクササイズを4つ紹介します。
ただし、痛みや違和感があるときは、やり方が間違っている可能性があるのですぐに中止してください。痛みが続く場合は、整形外科などの医療機関を受診しましょう。
また、エクササイズは、スペースに余裕があり、足場がしっかりした平坦でバランスをとりやすい場所で行うことが大切です。
このエクササイズは、壁を使って行います。壁を利用することで、正しい姿勢を意識しながら必要な筋肉へアプローチできます。
この工程を1セットとし、1日3セットを目安に行います。ポイントは、「腰を反らすのではなく、胸を伸ばすことを意識する」ことです。また、呼吸を止めないように気をつけてください。
このエクササイズは、椅子に座って行います。座って行うことで、上半身の姿勢と筋肉に意識を集中しやすくなります。
この工程を1セットとし、1日3セット行います。腰が反りすぎないように注意し、呼吸を止めないように気をつけてください。また、腕の筋肉ではなく、肩甲骨の間の筋肉を意識することも大切です。
このエクササイズは、椅子に座って行います。ペルビックは「骨盤」のことですが、肩甲骨、腹筋、背筋、大胸筋、コアマッスルなどにもアプローチできます。
この工程を1セットとし、1日3セット行います。3の動作をとくに大きく行うように意識しましょう。首や背中が反りすぎになりやすいエクササイズです。反りすぎは痛みの原因になるので注意してください。
このエクササイズは、床に寝た状態で行います。胸部のストレッチや背部のトレーニング、コアマッスルにアプローチできます。
この工程を1セットとし、左右セットで1日3セット以上行います。腰が反りやすいので注意が必要です。背中と胸部にアプローチすることを意識してください。また、体の軸がブレたり、腹部や骨盤が床から浮くと身体を傷める原因になります。
SNSや動画サービスなどの普及で、スマホは現代人に欠かせないツールになってきました。スマホは、狭い画面を覗き込むため猫背になりやすく、身体の不調の原因にもなります。自分で思っている以上にスマホを使っていることも多いので、早めに猫背対策を始めることをおすすめします。
また、最近はリモートワーク、テレワークの普及も進んでいます。スマホとともにPCの使用時間も増えてきたことで、猫背が原因のトラブルも増加傾向にあるようです。
猫背対策は、こまめな姿勢チェックと姿勢修正、毎日のエクササイズが大切です。無理のない範囲で取り組みながら、気長に習慣化していきましょう。