高齢者でも楽にできる運動&筋トレで、寝たきり予防を!

2019/12/14

工藤 孝文 先生

記事監修医師

工藤内科 副院長 工藤孝文先生のスマホ診療できるダイエット外来

工藤 孝文 先生

「歳をとると足は遅くなる」「高齢だから疲れやすいのは当たり前」と思っている高齢者は少なくないようですが、加齢に伴う身体機能や筋力の低下は、日々の運動で防ぐことができます。今回は「運動が長続きしない」という人にもオススメな、手軽なトレーニング方法をお伝えしていきます!

寝たきりや介護生活を防ぐには「足の筋トレ」が大切!

「昔は毎日仕事で外出していたけれど、定年退職してから外出のきっかけがめっきり減った」という高齢者は非常に多いです。さらに病気やケガをすると、ほとんど体を動かさない生活に移行してしまいます。

歳をとると誰でも筋繊維が萎縮し、筋肉量が低下するものですが、体を動かさない高齢者は運動量が減った分、筋肉の萎縮が急速に進行しやすく、筋力もかなり低下していきます。また筋肉量は免疫力にも関連しているので、筋力が低下すると疲れやすく、風邪や病気にかかりやすい体にもなってしまいます。

つまり、体を健康に動かせるうちに、筋力低下を防ぐよう運動習慣を身につけることが重要です。
特に足の筋肉量は、腕と比べて加齢による筋肉量低下率が約3倍も高いといわれています。ジョギングや足の筋トレなどを習慣づけ、足の筋肉を鍛えることが寝たきり予防のポイントです。

「ふくらはぎが細い人」は要介護・寝たきりリスクが高い!

加齢や運動量の低下などによって急激に筋肉量が減り、筋力が低下した状態を「サルコペニア(老人性筋萎縮症)」と呼びます。下記のような症状は、サルコペニアのサインといわれています。

  • 歩くスピードが遅くなった
  • 着替えがスムーズに行えなくなってきた
  • 体が思うように動かせず、入浴に手間取る
  • 椅子から片足だけで立ち上がれない

サルコペニアは要介護や寝たきりの入り口といわれる、要注意段階です。この段階を放置すると体のバランスが悪くなり、転倒や骨折をしやすくなるだけでなく、骨粗鬆症や糖尿病、肺炎などの感染症の発症リスクが上がることがわかっています。

自分がサルコペニアかどうかを簡易的にチェックする方法として、ふくらはぎの太さを測るテストがあります。
両手の親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎの一番太い部分を軽く囲んでみてください。指で囲めない場合はサルコペニアの可能性はほぼないですが、隙間が広ければ広いほどサルコペニアの危険度が高いです。

筋トレが苦手な人でもできる足の運動って?

「運動した方がいいのはわかっているけれど、筋トレは苦手だし続かない」という人にオススメなのが、「インターバル速歩®︎」です。

ウォーキングは健康増進に効果的といわれていますが、近年の研究で、ウォーキングだけでは負荷が足りず、筋力や持久力の向上が見込めないことがわかってきました。そこで注目を集めているのが、筋肉に負荷をかける早歩きと、負荷の少ないゆっくり歩きを交互に繰り返す「インターバル速歩®︎」です。

「インターバル速歩®︎」では筋肉に適度な負荷を掛けることが大切なので、「ちょっとキツイ」と感じる程度のスピードで行いましょう。やり方は次の通りです(週に4回以上/背筋を伸ばし、大股歩きで行う)。

  1. 3分かけてゆっくり歩く
  2. 早歩きを3分行う
  3. またゆっくり歩きに戻し、3分間歩く
  4. 早歩きに戻し、3分間歩く
  5. ゆっくり歩きに戻し、3分間歩く

1日15分で終わる手軽な運動であり、歩き方の緩急で飽きにくく疲れにくいのも嬉しいポイントです。大股で歩くことで、足から腹筋までの幅広い筋力向上が見込めます。

自宅で手軽にできる足の筋トレは?

足を鍛える運動は、自宅でも行うことができます。ここでは2つ、手軽に実践可能な足の筋トレをご紹介します。

スクワット

  1. 足を肩幅くらいに開き、手を腰に当てる
  2. 3秒数えながら、お尻を後ろに突き出すような感じで腰をゆっくりと落とす
  3. 次も3秒数えながら、膝を伸ばしきる直前の姿勢まで立ち上がる
  4. これを左右10~15回ほど行う(動作中は息を止めない)

太ももの筋肉を鍛える効果があります。姿勢が安定しない人は、椅子の背を支えにして行いましょう。

かかとの上げ下げ

  1. まっすぐ立ったまま、椅子の背に手を乗せる
  2. 3秒数えながら、かかとをゆっくり高く持ち上げる
  3. 次も3秒数えながら、床につく直前までゆっくりとかかとを下ろす
  4. これを10~15回ほど行う

ふくらはぎの筋肉を鍛える運動です。
なお、かかとをストンと落とす運動に切り替えると、衝撃が骨細胞を刺激し、全身の機能維持に関わるホルモン「オステオカルシン」が分泌され、血糖値が改善しやすくなるともいわれています。

運動や筋トレ後は、食事でタンパク質を摂取!

筋肉を作り維持するには、タンパク質の摂取が欠かせません。運動や筋トレ後30分以内に、肉や魚、卵、牛乳、ヨーグルトなどでタンパク質を補給するようにしてください。筋トレ後の30分間はタンパク質の吸収率が上がる時間帯とされています。

おわりに:運動をほぼしない高齢者は、ケガや病気の発症リスクが高い

加齢に伴い筋力は低下するものですが、運動習慣がないと急激に筋肉量も免疫力も低下し、思わぬケガや病気で寝たきりになってしまうリスクが高まります。記事で紹介したトレーニングは、「運動を続けるのが苦手」という人でも手軽に楽しんでできるものなので、ぜひ習慣づけてください(運動をする前に、必ずかかりつけ医の許可をとるようにしましょう)。

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