冬はやっぱりこたつでみかん!みかんの健康効果を学んでみよう

2020/3/29

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

冬の寒さを和らげる防寒具にはさまざまなものがありますが、日本で昔から使われてきたものといえば「こたつ」です。こたつの上にみかんが乗っている光景は、日本の冬の風物詩とも言えるほどよく見られています。みかんが冬にぴったりの栄養や成分を含んでいるからです。みかんの健康効果について、詳しく見ていきましょう。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

みかんにはどんな栄養素が詰まっているの?

みかんにはたくさんの栄養素が含まれていますが、中でも以下の5種類は、特に私たちの体に良い効果が期待できます。

ビタミンC
  • 疲労回復、冬の風邪予防に
  • 一般成人に必要なビタミンCは1日100mg(みかん3~4個分)
  • 他にも免疫力を強くする、ストレスに強くなる、肌を美しくするなどさまざまな作用
β-クリプトキサンチン
  • みかんの黄色を出している物質で、カロテノイドの一種
  • 体内でビタミンAと同じような働きをする
  • がん・糖尿病・骨粗鬆症予防・認知症などに関する作用が研究されている
食物繊維
  • みかんの内側の皮(瓤嚢膜=じょうのう膜)の部分に多く含まれている
  • 腸内細菌によって分解されるが、吸収されず腸内の有害物質とともに体外に排出される
  • 腸内の掃除になるほか、便秘の予防にも役立つ
  • 悪玉(LDL)コレステロール値の上昇を抑える効果もある
クエン酸
  • みかんに含まれる主な有機酸のひとつ
  • エネルギー代謝や老廃物の排出に大きく関わっているとされ、疲労回復に役立つ
フラボノイド化合物(ヘスペリジンなど)
  • みかんの実と皮の間についている白い筋や綿のように見える部分(アルベド)に多く含まれる
  • ビタミンに似た栄養で、毛細血管を保護して血管を強化し、脳卒中予防に効果が期待できるとされる
  • 発がん予防の作用についても報告がある

このように、みかんはビタミンの中でも風邪予防や疲労回復など免疫力アップに関わるビタミンCや、エネルギー代謝やデトックスに関わるクエン酸が多く含まれているため、風邪を引きやすい冬に役立ちます。さらに、便秘の予防や腸内環境の正常化に関わる食物繊維、ビタミンAと同様の働きをするβ-クリプトキサンチン、血管を強くするフラボノイド化合物など、風邪以外でも体に良い効果をもたらす成分が含まれています。

みかんは1日にどのくらい食べてもいい?

上記のように、たくさんの栄養素が含まれるみかんですが、甘みもあって食べすぎが気になるところです。どのくらいの量なら食べても良いのでしょうか?

まず、1日に必要なビタミンCの量は、最初にご紹介したように成人1日あたり100mg、これはみかん3~4個で補えます。一方、みかんのカロリーは1個あたり約40kcal程度で、3個で約120kcal、4個で約160kcalとなります。これに対し、ショートケーキ1切れのカロリーは約360kcal程度です。

つまり、みかんを3個や4個食べても、ショートケーキ1/3程度と低カロリーですし、ほどよい甘みもあっておやつにもぴったりです。そこで、お菓子の代わりにおやつにみかんをひと房ずつ食べれば、栄養も補給できて甘みも満たされるけれどカロリーは低く抑えられる、といいことずくめなのです。

ビタミンCは、最初にもご紹介したように免疫力アップに関わっており、免疫機能の主役と言える白血球の機能を高めて細菌やウイルスなどの病原体微生物の侵入を防いでくれます。他にも、抗酸化作用・皮膚や粘膜の健康維持など、体に良い効果がたくさんあります。

しかし一方で、熱に弱いという特徴がありますので、ビタミンCの効果をしっかり得るためには、生のままみかんを食べるのが最も良いのです。ぜひ、冬のおやつには生のみかんを食べて、風邪などの病気を予防しましょう。

体によいみかんの食べ方は?

みかんを食べるとき、「白い筋を取るかどうか」「ひと房に分けた後、袋を剥くかどうか」など、人によって好みがあると思います。普段はあまり意識することのないみかんの食べ方ですが、ちょっとした工夫でみかんの栄養分をまるごと摂取できます。

おすすめは、白い筋もひと房ずつの袋も、取らずに食べることです。袋にはビタミンCの吸収を高めるビタミンPやペクチンが含まれ、さらに白い筋のように見える部分はアルベドと呼ばれ、袋と筋の両方にヘスペリジンというフラボノイド化合物が含まれています。これらの成分は動脈硬化やコレステロール血症の予防にも効果が期待できますので、みかんを食べるときは基本的に筋や袋を取らず、そのまま食べてしまいましょう。

おわりに:みかんのビタミンCで免疫力アップ!冬の風邪を撃退しよう

成人が1日に必要なビタミンCはおよそ100mgとされていますが、みかんは3~4個でクリアできてしまう非常に優秀な果物です。しかも、4個食べても約160kcalと低カロリー。なにかと運動不足になりがちな冬でも、安心して食べられます。

そのビタミンCが白血球の機能を高めて免疫力アップするほか、食物繊維が腸内環境を整え、クエン酸が老廃物の排出を助けてくれるなど体にいいことずくめです。ぜひ、冬にはこたつでみかんを食べましょう。

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