慣れない環境で過ごすと、ぐったりと疲れるのはどうして?

2020/4/19

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

初めて行く場所、新しい生活のスタート時など、慣れない環境に身を置いて異常に疲れた経験は、誰にでもあると思います。今回は慣れない環境でぐったりと疲れてしまう理由について、慣れない環境で感じる疲れへの適切な対処法とともに解説します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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慣れない環境で疲れるのはどうして?

慣れない環境で異常なほどの疲れを感じるのは、以下のように体と心の両方が疲れているためと考えられます。

体の疲れ
  • その環境下にいるだけで、体が普段よりこわばってしまう
  • 慣れない仕事や人間関係のために、普段より無駄な動きが多くなってしまう
心の疲れ
  • 慣れない仕事をこなしたり、親しくない人を話すことに緊張する
  • 新しい環境にいることに気持ちがついていかない、面白みを感じられない

体と心、どちらか一方の疲れだけなら気力・体力のどちらかでカバーもできます。しかし慣れない環境のなか体と心の両方が疲れ、心身の疲労感のバランスが崩れてしまったとき、異常なほどの疲れを感じるようになるのです。

疲れに対処しないまま過ごすとどうなる?

「なんだか疲れたな」という感覚は、「休息が必要」という心身からのサインです。このため週末だけでも適切なケアを行えば、慣れない環境に身を置くことによる心身の疲れは比較的簡単に解消できます。

しかし、疲れに対し何のケアも対処もしないまま放っておくと、体力・気力だけではカバーできなくなり、以下のような症状を引き起こします。実際には心身が著しく疲労しているにもかかわらず、疲労を自覚できないまま活動を続けてしまうと、やがて過労による突然死に至ることもあります。

疲れの放置によって起こり得る症状
  • 免疫機能が落ち、ヘルペスウイルスや風邪を発症しやすくなる
  • 落ちた免疫機能を回復しようとした結果、脳の機能異常が起こってくる
  • 脳の機能異常は、休んでも解消されない慢性的な疲労感や全身の痛み、抑うつ気分を引き起こし精神を不安定にする
  • 脳内で興奮や怒りを促す神経伝達物質ばかりが分泌されるようになり、最終的には心身の披露を自覚できないまま症状が進んでいく

疲れを感じたときにどんなことをすればいいの?

心身の不調や痛みが慢性的なものになり、適切に疲労を感じられなくなる前に、自分の心身が発する疲れのサインに目を向けてください。
自分の体調に日々意識を向けて、いま疲れているかどうかを考え、1日の疲れをその日のうちに回復できるようクセづける必要があります。慣れない環境で過ごして疲れを感じたら、以下の方法で何よりも優先的に心身の疲労を解消しましょう。

まずは食事を見直し、体の疲れを軽減する

ストレス軽減のため大量消費されるタンパク質と、疲労回復効果が期待できるビタミンC、B群を含む食品(豚肉、マグロやカツオなど赤身の魚、うなぎ、鶏肉、貝類、レモン、イチゴ など)を積極的に取り入れてみましょう。

多めに睡眠時間を取り、心身を休める

十分な睡眠は、心身の疲労感や不安感を解消してくれます。疲労回復効果の高い食事を摂ったら、早く寝て質の良い睡眠を取りましょう。
質の良い睡眠は、疲労も不安も大幅に軽減してくれます。7時間以上を目安に睡眠時間を確保しましょう。

運動やマッサージで、乳酸を流す

乳酸は、体に蓄積される疲労物質の一種です。体に疲れを感じるときは乳酸が溜まってきている証拠ですから、軽い運動やストレッチ、アロママッサージ、ぬるめのお湯への入浴で乳酸を排出しましょう。

楽しみやご褒美を作って心のケアを

週末に好きな場所へ行く、心を許せる友達と食事に行く、欲しかったもの・食べたかったものを買うなど、ご褒美を作ると心の疲れが軽減されます。週に一度、数カ月に一度など、あなたにとって適度なタイミングで楽しみやご褒美になるようなイベントを作っておくと、心のケアとやる気アップにつながりますよ。

おわりに:慣れない環境で疲れるのは、体と心の両方が疲労しているから

転職や引っ越しなどをきっかけに新しい環境に身を置くことは、体のこわばりや精神的な緊張をもたらします。その結果、体と心の両方が普段よりも酷使され、ぐったりするような疲労感に見舞われるのです。ただ、環境が原因の疲れは、週末に適切なケアをすれば比較的簡単に解消できます。疲れを放置していると慢性的に心身が疲弊し、やがて疲れすら感じられなくなってしまいます。心身の疲れはこまめに解消しましょう。

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