周りの人と比べて物事を気にしすぎる、気持ちが人より敏感かもしれない。そんなふうに思ったことがある場合、あなたの気質はHSPに当てはまるかもしれません。最近耳にすることが増えてきたHSPの基本概念や特徴、付き合い方などを紹介します。
HSP(Highly Sensitive Person)とは
HSPとは英語で “Highly Sensitive Person” という意味で、人よりも繊細な気質を指す言葉です。1990年代に、人に関する研究をしたエレイン・アーロン博士によって名づけられました。HSPの人は職場や家庭などの生活の場で気疲れしやすく、生きづらさを感じやすいのが特徴です。アーロン博士の研究によると、人口の約20%はHSPではないかと考えられています。
HSPの人は非HSPと比べると脳内の神経が高ぶりやすい傾向があるといわれていますが、HSPは病気ではなく、繊細さや敏感さを持つ人の生まれ持った気質です。
HSPの特徴は?
HSPの人は、周囲の状況に対してとても繊細で敏感です。その繊細さ、敏感さは「4つの特徴(DOES[ダズ])」と呼ばれています。アーロン博士によると、DOESの4つの特徴にまんべんなく当てはまる場合はHSPの可能性があり、4つのうち3つだけに当てはまる人はHSPの可能性が低いと定義しています。
D(Depth of processing:考え方が複雑で、深く考えてから行動する)
- 一を聞いて、十のことを理解できる。少しの情報で全体を把握できる
- 物事を深く掘り下げ、幅広い知識を得ることを好む
- お世辞や嘲笑などの建前を聞いても、本音をすぐに見抜く
- 物事を始めるまでにあれこれ考えてしまい、時間がかかる
- その場限りの快楽や会話よりも、生き方や哲学的なものごとに興味がある
O(Overstimulation:刺激に敏感で疲れやすい)
- 人混みやイベント、パーティーなどが苦手
- 友達と過ごすことは楽しいが、気疲れして帰宅後にとても疲れている
- ひとりの時間の必要性が高い
- 映画や音楽、本などの作品に深く感動する
- 人からのちょっとした言葉に傷つき、なかなか忘れられない
- 些細なことでも過剰なほど驚く
E(Empathy and emotional responsiveness:人の気持ちに振り回されやすく、共感しやすい)
- 人が怒られていると自分のことのように感じる
- 悲しい映画や本、ドラマなどの登場人物に感情移入して号泣しやすい
- 人のちょっとした仕草、目線、声音などに敏感
- 他人の機嫌や体調、思っていることがわかる
- 言葉を話せない幼児や動物の気持ちを察する
S(Sensitivity to subtleties:あらゆる感覚がするどい)
- 冷蔵庫の機械音や時計の秒針などの音が気になる
- 強い光や日光のまぶしさなどが苦手
- 近くにいる人の口臭やタバコの匂いで気分が悪くなる
- カフェインや添加物に敏感に反応する
- 衣服のタグ、チクチクする素材などを身につけると我慢できない
- 直感や予感などの第六感がよく当たる
HSPとうまく付き合うには
HSPは周囲の人や状況に敏感で影響を受けやすく、生きづらさを感じる傾向が高いです。このため、ストレスをできるだけ軽くして過ごすことが大切です。HSPの特徴との上手な付き合い方を理解し、実践してみましょう。
- 自分と他人との境界線を意識する
- 周囲に敏感で共感性の高いのがHSPの特徴ですが、自分と他人との間に境界線を引くイメージを持ちましょう。「自分」を大切にし、自己肯定感を高めることもおすすめです。
- 現在に集中
- 過去のことがいつまでも忘れられなかったり、未来のことばかり心配するのは気疲れの原因です。「こうすればよかった」「これからはこうすべき」と、過去や未来のことを考え過ぎるのではなく、今現在に集中してみてください。
- 自分の気持ちと向き合う
- 周りのことばかり気にせず、自分の気持ちと向き合いましょう。ときにはネガティブな気持ちと向き合う必要性もありますが、自分の感情を抑圧せずに気持ちを大事にしてください。
- ひとりの時間を確保する
- HSPにとってひとりの時間は大切です。週に何日かは自分だけの時間を確保し、好きなことを楽しんだりリラックスすると気持ちが楽になります。
- 心地よい環境で過ごす
- 心地よさを感じる土地、スペース、人間関係、仕事などで過ごせるように、自分らしさを発揮できる環境を見つけましょう。
おわりに:HSPは病気ではなく気質。自分らしく過ごすために感情と向き合いましょう
HSPは繊細で、周囲の環境に敏感なのが特徴です。生きづらさを感じて疲れてしまうことも多くなりますので、自分の特性と上手に付き合っていきましょう。
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