記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
過激なダイエットにのめりこんだことで低体重に陥ってしまうと、体にどんな影響が及ぶでしょうか。この記事では、特に中学・高校生の低体重についてまとめました。
低体重の原因が病気など、医学的な原因の場合、検査をして適切な治療を受ける必要があります。それ以外の原因としては、健康的でバランスの取れた食事をしていないことが考えられます。安易に始めたダイエットが行き過ぎていたり、ストレスや精神面での悩みなどに原因があるかもしれません。
低体重の可能性がある場合、以下のような質問を自分に投げかけてその原因を考えてみましょう。
中高生が低体重に陥ってしまうと、以下のようなトラブルを引き起こす恐れがあります。
精根尽き果てて疲れたように感じることがあります。試験勉強をしたり、友人とスポーツをしたり、出かけたりするのが難しくなるかもしれません。
低体重になると、体が成長して正常に動くために欠かせない重要な栄養素が不足する可能性があります。たとえば、カルシウムは丈夫な骨をつくるの欠かせない栄養素ですが、中学・高校のときに低体重になって十分なカルシウムを摂取できずにいると、将来、骨粗鬆症を発症する恐れがあります。
また、鉄も重要な栄養素です。月経が始まると経血で鉄を失うため、不足すると皮膚の健康が損なわれたり、髪が細く、切れやすくなったりすることがあります。
低体重になると免疫系が働かないため、風邪やインフルエンザなどの感染症に罹りやすくなります。
低体重になると、月経が始まっていない場合初潮が遅れることがあります。また、月経が始まっている場合も、低体重になるとホルモンが適切に分泌されなくなったり、働かなくなったりするため、月経が止まる可能性があります。
育ち盛りの時期は、身長と年齢に適した体重になるまで徐々に体重を増やしてください。このとき、正しい方法で体重を増やすことが重要です。健康的でカロリーが高い食品を摂りましょう。
また、朝食を食べることも大切です。炭水化物やたんぱく質、野菜、果物を積極的に取りましょう。果物のスムージーやミルクセーキは、朝食やおやつにおすすめです。
中学生や高校生の体は、この時期にさまざまな体の変化を経験します。この時期は特に、健康的でバランスのとれた食事が欠かせません。さまざまな食材をバランスよく食べることで、食べ物や飲み物から必要なエネルギーと栄養が摂取でき、かつ、体も適切に発達します。
特に中学・高校生に意識して摂ってほしい栄養素として、以下のようなものがあります。
また、水分も大事です。1日に6~8杯の水分を摂るようにしましょう。水分補給は、水や脂肪の少ない牛乳がおすすめです。砂糖を加えていなかったとしても、フルーツジュースは糖質を含んでいるので、フルーツジュース、野菜ジュースやスムージーなどの摂取量は、1日に150ml未満にとどめましょう。
なお、チョコレート、ケーキ、炭酸飲料などの飽和脂肪と砂糖をたっぷり使った食べ物は、筋肉ではなく体脂肪を増やす可能性が高いので控えましょう。
なお、「短期間でやせる!」といったダイエット法は、栄養バランスが摂れていないことが多いです。必要なビタミン・ミネラルが摂取しづらくなりますし、こうしたダイエット法は短期的な結果を重視するのでリバウンドする可能性が高いです。栄養バランスが取れた食事を食べていると、必要な栄養で体が満たされるため、結果的にダイエットにつながることもあります。
中学・高校生の体は変化しています。とまどいがあるかもしれませんが、この変化は、将来妊娠して赤ちゃんを産むための準備のために起きています。
この時期は、自分の体重や食生活が気になるものです。そんなときは誰かに相談することがいちばんです。周囲の人が助けてくれるかもしれません。低体重の場合は医師からアドバイスがもらえるので、痩せすぎているなど、体重に不安があるときは思い切って相談してみましょう。