PMSの症状ってどんなもの? 緩和するにはどうすればいい?

2017/3/1 記事改定日: 2018/3/29
記事改定回数:1回

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

「最近妙に体が重いし、イライラするのはなぜ……と思っていたら、生理が始まった」といった経験、誰にでもあると思います。そんな生理前の不快な症状は「PMS(月経前症候群)」と呼ばれるものです。以降では、そんなPMSの症状やPMSを緩和する方法、そして重度のPMS(PMDD)の治療法について解説していきます。

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PMSの症状とは?

生理前に、落ち込みやイライラなど月経前症候群(PMS)の症状が出る女性がいます。この症状が出る原因ははっきりわかっていませんが、一説によるとホルモンバランスの変化と関係しているのではないかといわれています。

PMSの症状には身体的なものと精神的なものがあります。

<身体的な症状>
・頭痛
・お腹や乳房の張り
・腰痛
・むくみ
・1kg前後の体重増加
・手足のしびれ

<精神的な症状>
・イライラする
・緊張感が続く
・落ち込みやすい
・眠れない、寝つきが悪い
・集中できない、集中しづらい

生理が始まると、PMSのこれらの症状は改善することが多く、生理が終わるとなくなります。

おならもPMSの症状!?

PMSの症状の一つとして、実はおならがあります。排卵後から生理前の黄体期は、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が増える影響で、体に水分を溜め込もうとすることで便の水分が減り、排便しづらくなります。さらにプロゲステロンは子宮の収縮を抑制する作用もあるため、その影響で腸の蠕動運動が抑制され、便秘しやすくなります。便秘が続くと腸内の悪玉菌が増えるだけでなく、便の腐敗によってガスが発生するようになるため、結果的におならが出やすくなるのです。

PMSの症状は風邪に似ている!

黄体期に分泌されるプロゲステロンには体温を上昇させる作用があるため、生理前は体温が高い状態が続きます。このため微熱になったり、また、体が体内の熱を逃がさないよう表面の血管を収縮させることで、表面の温度が下がり、寒気を感じたりします。こういった寒気や微熱は風邪の症状とよく似ているため、PMSか風邪かを判別するのはなかなか難しいですが、生理周期や基礎体温の記録をつけておくことで判別しやすくなります。

PMSの時期のおりものの特徴

黄体期になると、排卵期と比べておりものの量は減りますが、白く濁った粘性のおりものに変わります。生理が近づくにつれて匂いが強くなったり、まれに少量の出血を伴う場合もあります。

PMSの症状を緩和する方法は?

日常生活に支障が出るほどPMSの症状が辛い場合は、無理せず婦人科を受診してください。頭痛や抑うつなどの症状に合わせた対症療法のほか、低用量ピルでホルモンバランスを調整したり、漢方薬で体質を改善するなどさまざまな治療法があります。

また、PMSの症状を緩和するには、専門治療だけでなく食生活の見直しも重要です。カルシウム、マグネシウム、大豆イソフラボン、ビタミンB6、ビタミンEなどはPMSの緩和につながる栄養素とされているので、これらを含む食べ物をとりつつ、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。

ハーブでPMSの症状を緩和できるって本当?

ハーブは古くから植物療法として用いられた植物であり、ハーブに含まれるフラボノイドには体内のバランスを整え、リラックスさせる作用があることから、現在、PMSの症状を緩和させる効果が期待できるとして注目を集めています。イライラや不安感などの精神症状が強い方には、チェストベリー、オレンジフラワー、リンデン、カモミールなどのハーブティがおすすめです。

重度のPMS!PMDDとは

PMDD(月経前不快気分障害)とは、PMSのさまざまな症状のうち、特に精神的な不快感が強く表れ、日常生活を送ることすらままならなくなってしまう状態になる場合をいいます。

PMDDの症状

PMDDの症状には次のようなものがあります。

・とにかく悲しい。号泣することもある
・情緒不安定。感情をコントロールできない
・特定の食品が欲しくてたまらなくなる
・集中できない。気が散って仕方がない
・ひどく疲れやすい
・眠れない。あるいは日中起きていられないほど眠い

生理の10日~14日前に上記のような症状がいくつか表れ、月経が始まると症状が改善する場合は、PMDDかもしれません。

PMSと同じく、PMDDの正確な原因もまだわかっていませんが、月経に関連したホルモンの変化がPMDDを引き起こす可能性があります。また、ストレスが多かったり、家族にPMSやPMDDの症状を持つ女性がいる場合、自分も同じ症状になる可能性が高くなります。PMDDからうつ病を発症する女性もいますが、PMDDの女性が全員うつ病になるわけではありません。

PMDDの診断方法

医師は症状と月経周期との関係をチェックします。より的確に診断できるよう、また、どんな症状があるか、その症状はどの程度表れているのか(「症状なし」から「重度かつ重篤な症状で、日常生活がままならない」まで)、といったことをまとめたチェックシートの記入を依頼されることもあります。

PMDDの治療

症状を確認した後、医師は治療方針を確定します。症状が軽度から中程度の場合、医師は食事や生活習慣の変更を提案することがあります。また、PMDDの症状や生活のストレスについて、カウンセラーに相談することも、症状の改善につながります。

症状が重い場合は、治療薬の服用を勧められます。このとき、うつ病の治療に使用される医薬品が使われることがあります。たとえば、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、セロトニンと呼ばれる脳化学物質の効果を高めることに役立ちます。うつ病にも使われている薬、というだけであって、うつ病になっている訳ではありませんので、ご安心ください。

これらの薬は、生理が始まる10~14日前から服用します。薬が効けば日常生活を支障なく送ることができますが、そうならなかった場合は、医師に相談してください。

おわりに:日常生活に支障が出るレベルのPMSなら婦人科へ!

PMSの症状には個人差があり、軽度の方もいれば、日常生活に影響を及ぼすほどひどい症状に悩まされる方もいます。生理が始まれば症状が改善されるとはいえ、つらさを抱えたまま日々を過ごすのは誰にとってもつらいもの。「こんなことで……」と思わず、心配なときは医師に相談し、適切なアドバイスをもらいましょう。

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