痛風はストレスも原因?尿酸値の上昇を防ぐためできる対策とは?

2020/11/14

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

痛風は、「風が吹いても痛い」と表現されるほどの痛みが、親指の関節の付け根など突然現れることです。尿酸値が高くなることで発症する「高尿酸血症」の症状であり、男性がかかりやすいといわれています。

今回は、痛風になる原因について解説していきます。最近の研究で痛風とストレスの関係性もわかってきているので、そのことについても詳しく説明していきます。

痛風と高尿酸血症との違いとは?

高尿酸血症は生活習慣病の一種であり、高尿酸血症が続くと、その症状の一つとして痛風が現れます

高尿酸血症とは、血液中の「尿酸」の濃度を示した「血清尿酸値」が7.0mg/dLを超えている状態のことで、高尿酸血症の状態が続いて関節などに尿酸の結晶が沈着し、関節に激しい炎症が起こると痛風を発症します

痛風の症状は、足の親指の付け根の関節や足首の関節に起こることが多く、急激に激しい痛みが起こったり、赤く腫れるなどの症状が現れます。

また、高尿酸血症は、尿酸の結晶が尿路に詰まる「尿路結石」や尿酸の結晶が腎臓に付着する「腎機能障害」など、さまざまな疾患の原因になることもあります。

なお、尿路結石は、水分の摂取量が不足して尿量が減ったり、高尿酸血症が続いたりすることで起こりやすくなります。また、結石は酸性液中で固まる性質があり、高尿酸血症の人は血液が酸性に傾きやすいため、さらにリスクが高くなるので注意が必要です。

高尿酸血症と尿酸・プリン体との関係は

尿酸は、体内のエネルギー源や核酸の成分として重要な「プリン体」という物質が代謝されて残った老廃物です。通常は不要物として濾し取られ、尿と一緒に排出されますが、何らかの理由で排出と産生のバランスが崩れてしまうと、不要な尿酸を排出しきれなくなってしまいます。この状態が続くと血中尿酸値も高くなり、このまま尿酸値が下がらない状態が続くと高尿酸血症を引き起こします。

プリン体はいわゆる「うまみ」のもとです。プリン体自体は、一般の人にもよく知られている物質であり、最近は「プリン体フリー」のビールなども流通するようになりました。プリン体の摂取を控えている人も多いと思います。

ただ、プリン体そのものはエネルギーと遺伝情報を司る「核酸」の原料となるものであり、尿酸も抗酸化物質として働きます。どちらも人間が生きていくうえで欠かせない、「ある程度は必要な物質」です

問題は、排出しきれないほど多くプリン体を含む飲食物を摂取したり、プリン体や尿酸が増えやすい生活を送ってしまうことです。

高尿酸血症の予防にはプリン体以外にも注意が必要?

体内のプリン体には、「摂取した食べものから作り出されるもの」と「体内で自然に作られるもの」に分けられます。摂取した食べものから作られるプリン体は全体の約2割ほどとされていますが、プリン体を多く含む食べものを食べ過ぎれば、高尿酸血症のリスクは当然高くなってしまいます。とくに、美味しいもの、旨みが強いものはプリン体が多く含まれていることが多いので注意が必要です。

プリン体のうまみ成分は「呈味性ヌクレオチド」であり、「イノシン酸(かつお節や肉のうまみ成分)」「グアニル酸(干し椎茸に含まれる)」「キサンチル酸(酵母に含まれる)」なども呈味成性ヌクレオチドの一種です。

プリン体がとくに多く含まれているのは、レバーや白子といった内臓で、アルコールではビールに多く含まれています。アルコールはそれ自体が尿酸値を上げる作用を持っていますので、種類を問わず飲む量にも気をつけなくてはなりません。

ただし、上記でも説明したように、プリン体も尿酸も適量であれば身体に有益な働きをしてくれますので、全く摂らないという食生活は良くありません。高尿酸血症のリスクを下げるには、プリン体の制限以外の対策も必要になります。

肥満対策も高尿酸血症の予防につながる?

プリン体から作られた尿酸は、約2/3が腎臓から尿中へ、約1/3が腸管から排出されます。排出が上手くいかない(腎機能低下による「尿酸排泄低下型」)、またはプリン体を摂取しすぎる(尿酸産生過剰型)などの理由で不要分の尿酸が十分に排出されないと、尿酸が体内に溜まっていき高尿酸血症を発症します。

2019年に改訂された高尿酸血症のガイドラインでは、腸からの排泄が悪くなる「腎外排泄低下型」がもう一つのタイプとして追加されましたが、日本人の痛風患者の約8割が「尿酸排泄低下型」もしくは「尿酸排泄低下型と尿酸生産過剰型の混合型」と考えられています。

近年、高尿酸血症が増加しているのは、アルコールの飲み過ぎ、糖質や脂質の多い食生活、運動不足、肥満の増加などが関係していると考えられています。とくに、メタボリックシンドロームの人は明らかに尿酸値が高いことからも、肥満と高尿酸血症には明確な相関関係があるとわかっています。

また、尿酸値は内臓脂肪が多い人ほど上がりやすいとされ、まだ観察中の段階ではあるものの、脂質異常症や高血圧など生活習慣病との関連性も指摘されつつあり、高尿酸血症が脳・心血管障害の促進因子となっているという意見もあります。

腹八分目とバランスの良い食事を心がけ、適度な運動を取り入れて肥満を解消することは、尿酸値の低下を助けると考えられています。

高尿酸血症の予防のためにも、高尿酸血症の悪化によるさまざまな合併症を予防するためにも、プリン体だけでなく、脂質・糖質・塩分の摂りすぎを控え、適度な有酸素運動を習慣化しましょう。また、その他の生活習慣病のリスクが高まることで高尿酸血症のリスクも高まりますので、尿酸値だけでなく、血圧やHDL・LDL・中性脂肪値の数値にも気を配るようにしてください。

ストレスが痛風・高尿酸血症を悪化させる?

精神的なストレスが高血圧・2型糖尿病・メタボリックシンドロームなどの発症や憎悪に関係していることはわかってきつつありますが、高尿酸血症・痛風にも精神的なストレスが関係していることがわかってきました。

これは、心身の緊張状態が続くことでエネルギー消費が多くなり、プリン体もたくさん消費されることで尿酸が過剰に作り出されるからと考えられています。また、ストレスによってホルモン分泌が変化すると、腎臓から尿酸を排泄がしにくくなるとも考えられています。

また、精神的ストレスがメタボリックシンドロームと同様、内臓脂肪に慢性炎症を引き起こし、インスリン感受性や血栓傾向を悪化させ、高尿酸血症を促進させることが、マウス拘束ストレスモデルを解析する研究で明らかになりました

治療薬「フェブリク®」と生活習慣病

「フェブリク®」は、尿酸の代謝を改善する成分「フェブキソスタット」を含む高尿酸血症治療薬です。フェブキソスタットはXORを抑制して尿酸値を低下させるだけでなく、ストレスによって憎悪した内臓脂肪炎症、糖代謝、血栓傾向、インスリン感受性の改善が期待できることがわかってきています。

生活習慣病の予防は、あくまで食生活・生活習慣の改善が基本です。自己判断で服用すべきではありませんが、すでに高尿酸血症と診断されている人が医師の指示通りにフェブリク®を使用することは、ストレスが起因するその他の生活習慣病の予防につながる可能性も考えられます。

薬を飲まずに済んだほうが良いことは確かですが、頑なに投薬を拒むことはおすすめできません。健康診断で数値に異常が出た人は、早めに医師に相談して生活習慣を見直し、必要に応じて適切な治療を受けるようにしてください。

尿酸値が高めと言われたときに、まず取り組むべき対策は?

高尿酸血症のガイドラインでは、プリン体の摂取量を1日400mg以内に抑えることが推奨されています。プリン体含有量の多い食品は1回の食事で50g程度に抑えるようにして、3食のうち1食は海藻類・野菜類・大豆製品・卵など、プリン体が少なめの食事を摂るようにすると、摂りすぎを防ぎやすく栄養バランスも整いやすくなります。

牛乳やヨーグルトなどの乳製品はプリン体が少なく、乳タンパク質「カゼイン」には尿酸の排泄を促す働きがあります。朝食にヨーグルトを食べる、毎日牛乳を飲むことを習慣化することをおすすめします。

なお、食材100g中に含まれるプリン体量の例は、以下のようになっていますので参考にしてください。

きわめて多い(300mg〜)
鶏レバー、干物(マイワシ)、白子(いさき、ふぐ、たら)、あんこう(肝酒蒸し)、太刀魚、健康食品(DNA/RNA、ビール酵母、クロレラ、スピルリナ、ローヤルゼリー)など
多い(200〜300mg)
豚・牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、オキアミ、干物(マアジ、サンマ)など
中程度(100〜200mg)
肉類(鶏・豚・牛)や魚類の多くの部位、ほうれん草の芽、ブロッコリースプラウトなど
少ない(50〜100mg)
肉類(豚・羊・牛)の一部、魚類の一部、加工肉類、ほうれん草の葉、カリフラワーなど
きわめて少ない(〜50mg)
野菜類全般、米などの穀類、卵(鶏・うずら)、乳製品、豆類、きのこ類、豆腐、加工食品など

ここで気をつけなければいけないことは、生活習慣病予防・改善のために推奨される食材と、プリン体の過剰摂取を防ぐために推奨される食材は微妙に異なるという点です。海藻類や野菜類、豆類、きのこ類などはどちらの予防にも役立ちますが、魚の干物やレバーなどは脂質が少ない反面、プリン体が多いです。痛風予防を考えたときには注意しましょう。

また、尿酸値の低下を助ける成分「タンパク質・ビタミンC・ポリフェノール・フラボノイド・食物繊維」などを積極的に摂取することも大切です。納豆などの発酵食品も腸内環境を整えて尿酸排出を助けるといわれていますが、納豆の食べ過ぎはプリン体の過剰摂取になることがあるので控えましょう。

尿酸値の上昇を予防する生活習慣をまとめると以下のようになります。

アルコールの飲み方を工夫する
飲酒量は、20〜25g/日以下(ビール500mL、日本酒1合、ワイングラス1杯、ウイスキーダブル1杯、焼酎90mLのいずれか)が適量とされている
週に2日は休肝日を設ける
ビールのプリン体は尿酸になりやすく、体内に吸収されやすいが、ワインには尿酸排出作用が期待できる「ポリフェノール」が含まれる
ただし、アルコールそのものに尿酸の排出をブロックする作用があるため、アルコールの種類やプリン体ゼロ表記に関わらず、飲みすぎには十分注意する
腹八分目を心がけ、食べすぎや肥満に注意
血清尿酸値の高さと内臓脂肪の蓄積には強い相関性があることがわかってきた
肥満を解消することで、尿酸値の改善も期待できる
食事は腹八分目にし、バランスの良い食事と適度な運動を取り入れ、適正体重を維持するよう心がける
水分を十分に摂取する
尿酸の排出を促すため、水分を摂取して十分な尿量を確保する
この場合の水分とは真水や麦茶などであり、果糖や砂糖の多いジュースはむしろ控える
砂糖入り飲料を1日2回以上飲む人の痛風発症リスクは、2日に1回以下の人と比べて1.9倍にも跳ね上がる
果糖の過剰摂取はメタボリックシンドロームや尿路結石とも関連しているので、ジュースではなく水を摂取する
運動(特に有酸素運動)を取り入れる
運動は尿酸値を下げるだけでなく、生活習慣病全般にわたって有効な改善方法
ウォーキング・水泳・ジョギングなど、脈がやや速くなる程度の有酸素運動が推奨される
激しい運動は一時的に尿酸値を上げてしまうため注意が必要。かかりつけ医に相談の上、適切な運動を行う

また、上記で説明したように、ストレスも高尿酸血症のリスク要因の一つです。何事も深刻に受け止めてしまうタイプの人ほどストレスを溜めやすいので、できるだけ肩の力を抜いて楽天的な考え方ができるように工夫をしましょう。

関連記事:ストレスがたまりすぎてつらいときにオススメの解消法は?

おわりに:ストレスが高尿酸血症を悪化させて痛風リスク要因になることも

ストレスは、うつ病、高血圧、2型糖尿病、メタボリックシンドロームなど「さまざまな心身の疾患」を引き起こすだけでなく、高尿酸血症のリスクにも関係しています。また、高尿酸血症はその他の生活習慣病と相関関係があり、それぞれのリスクを高めることこともわかってきつつあります。

高尿酸血症を改善、予防するには、生活習慣の見直しとストレス対策で生活習慣病全体の予防・改善に努め、必要に応じて適切な治療を受ける必要があります。尿酸値が高めと言われた人は、尿酸値の数値だけでなく、その他の数値の変動にも気をつけ、医師と相談しながら自身の状態にあった対策をとりましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

ストレス(368) 痛風(33) 生活習慣病(60) プリン体(12) 高尿酸血症(14) フェブリク(3) 尿酸値(11)