記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2021/3/7
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
認知症が進行すると脳だけでなく、徐々に体の機能も低下します。このため転倒は、認知症介護のうえで注意すべき重大なリスクと言えます。今回は認知症の転倒リスクについて、予防のために気を付けるべきポイントを解説します。
認知症の人は、そうでない高齢者に比べ実に2倍以上転倒しやすいとされます。認知症の人の転倒が多くなる背景として、症状の進行と治療のために、心身に以下のような悪影響が及ぶためと推測できます。
上記の理由から、認知症の高齢者は歩きやすく見える何もない室内や、ちょっとした段差だけでも、転びやすくなってしまうのです。
また、高齢者は骨粗鬆症を生じやすいため、転倒で骨折するリスクも非常に高くなります。もし認知症の高齢者が転倒・骨折した場合、骨折の部位によっては寝たきり状態になって、さらに認知症を悪化させてしまうきっかけにもなり得るのです。
認知症の高齢者が転倒するのを防ぎ、さらに骨折で認知症が悪化するリスクを減らすためには、家の中に転倒と骨折への予防策を講じるのが効果的です。まずは以下の転倒事故が起こりやすい場所に、転倒防止対策をとりましょう。
居間、茶の間、リビング…20.5%
玄関、ホール、ポーチ …17.4%
階段 …13.8%
寝室 …10.3%
浴室 …6.2%
具体的には敷物や敷居などのちょっとした段差をなくす、滑りやすい床やフローリング、浴室には手すりを付けるなどの対策が有効です。転倒しやすい場所を通らずに済むよう、生活導線を見直すのもよいでしょう。あわせて、転倒してしまった際の骨折のリスクを少しでも下げるために、衝撃を和らげるヒッププロテクターなどを常時着用させるのもおすすめです。
転倒・骨折から認知症を悪化させることのないよう、周囲が可能な限り生活の環境を整えたり、移動するときは手を貸してあげたりすることも大切です。
高齢者は骨粗鬆症を併発していることも多く、転倒から骨折するケースも少なくありません。転倒による骨折から寝たきりになると、認知症はさらに悪化してしまいます。認知症の高齢者を介護するときは、本人が行き来する室内を中心に手すりの設置や、段差をなくすなどの転倒防止策をとりましょう。