記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/4/25 記事改定日: 2019/8/30
記事改定回数:3回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
妊娠中に腟から出血したら、とても不安になりますよね。特に初めての妊娠で何もわからない場合はなおさらです。この記事では、妊娠中の出血の原因で多いとされている絨毛膜下血腫と危険性の高い胎盤早期剥離について解説します。
絨毛膜下血腫とは、絨毛膜(赤ちゃんを包む膜のうちのひとつ)よりも子宮壁側(お母さん側)に血液が固まってできたかたまりです。絨毛膜下血腫は顕著な症状を引き起こすとは限らないため、血腫が小さい場合は特に見つけにくいこともあります。
妊娠初期の出血で、もしくは顕著な兆候や症状がなくても、日常的な検査の際に超音波検査でわかることが多いです。大半は安静にしていれば自然に吸収されるため、妊娠・出産には問題ありません。ただし、血腫があまりにも大きい場合は、胎盤が子宮壁から分離して発育不全の原因となったり、流産や早期陣痛のリスクが高くなる可能性があります。もし妊娠中に腟出血があれば、すぐに医師に相談してください。また、血腫が消えるまで性行為は控えましょう。
胎盤早期剥離とは、胎盤が通常よりも早く子宮壁からはがれてしまう現象で、妊娠後期に起こることが多いものです。
胎盤は、おなかの中で成長する赤ちゃんに栄養を届ける働きをしているため、通常、赤ちゃんがお腹から出てきてから取り出します。このため、早期に胎盤が剥離してしまうと赤ちゃんに酸素と栄養を届けられず、子宮内胎児死亡につながる恐れがあります。また、胎盤が剥がれたところから出血するため、母体に命の危険が及ぶ恐れもあります。
妊娠中に出血がみられると不安になると思いますが、多くの場合は心配いりません。しかし、腹痛を伴う腟出血の場合、胎盤早期剥離の前兆である可能性があります。
ただし、胎盤早期剥離は発症率が0.5~1.3%以下と、比較的まれな症状です。早期に診断・治療すれば、母体と赤ちゃんの両方のリスクを減らすことができます。
胎盤早期剥離は誰にでも起こりうるものですが、特に以下の項目に当てはまる女性に起こりやすいと言われています。
どのくらい剥がれたかにもよりますが、胎盤早期剥離の症状として、通常は以下のような症状がみられます。
特に気をつけたい症状は、下腹部ではなく上腹部に痛みが突然出現した場合です。また、上腹部以外であっても、胎盤のあたりに痛みを感じた場合も注意が必要です。
胎盤が早期剥離した場合、必ず何らかの治療が必要です。最初は軽症でも重症化する可能性はあるので、強い腹痛を伴う出血があった場合はかならず医師に診てもらってください。重症化すると、母体だけでなく、胎児にも生命に危険が及ぶ可能性があります。
胎盤早期剥離の治療法は、剥離の深刻度によって変わります。
出血がみられたら、大事をとってかかりつけの産婦人科で診てもらうことをおすすめします。