感覚統合がうまくいかないと現れる特徴と子供の発達との関係性

2022/1/6

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士 呼吸器内科専門医

山本 康博 先生

感覚統合の違いによる子供の行動の違い

活発だったりおとなしかったり、器用だったり不器用だったり、得意だったり不得意だったり、子供には個性があるものです。ただ、周囲の子供と比べて極端に違った行動をしている場合は、「感覚統合」がうまくいっていないことが原因かもしれません。
大ケガをするんじゃないか、うまく集団生活できないんじゃないかと、心配なこともあると思います。この記事では、感覚統合とはどのようなものかと、感覚統合がうまくいかないことで現れる行動の変化や発達の違いついて、解決法もあわせて解説します。

感覚統合がうまく行われていない子供の特徴

感覚統合とは、「7種類の感覚」を整理、分類して身体をコントロールすることです。しかし、すべての人が感覚統合を問題なく行えているわけではありません。
感覚統合がうまく行われていないと「感覚の受け取り方」に偏りが出るようになり、自分を取り巻く状況を把握して適切な行動をとることが難しくなり、以下のような特徴が現れることがあります。

  • 落ち着きがない
  • 乱暴な言動が多くなる
  • ケガをしそうな「危ない遊び」を非常に好む
  • ハサミや色ぬりなど物を使った細かい動作が苦手
  • ジャンプしたり走ったりするときに動きが不器用に見える
  • 転びやすい
  • 人に触られることを極端に嫌がる
  • 言葉の発達がゆっくりである など

感覚統合で重要な7つの感覚 ― 五感と固有受容覚、前庭感覚

私たちの体はさまざまな刺激を受けとる「感覚」を持っています。感覚でよく知られているのが、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の「五感」です。
五感のほかにも感覚はあり、「固有受容覚」と「前庭感覚」が存在します。

固有受容覚
手足の状態や筋肉の伸び縮み、関節の動きの感覚
前庭感覚
身体の動きや向き、傾き、スピードを感じる感覚。バランスや目の動きにも関係している

人は、固有受容覚と前庭感覚、五感を合わせた7つの感覚を持っています。感覚統合とは、アメリカの作業療法士エアーズ博士が提唱したものであり、身体をコントロールするために感覚を整理、分類することを指します。

脳内では、次々と入ってくる7つの感覚を統合(整理・分類)し、無意識下においても、自身の身体を絶え間なくコントロールしています。この感覚統合をサポートすることで、日常生活や社会活動の困りごとの解決を図ることを感覚統合療法と呼びます

子供の発達と感覚統合の関係

感覚統合は、一般的に子供の頃から行われていて、日常生活の遊びや行動を通して完成されていきます感覚統合が完成する速さには個人差があり、発達障害の子供のように感覚に偏りがある場合(特定の感覚が過敏だったり、感じにくかったりするなど)は、周囲の子供より感覚統合がうまく進まない場合があります

もし、子供の行動や発達に関して不安や疑問を感じたときは、日本感覚統合学会が公開している資料を参考にしてみるのもおすすめです。ただし、この資料は子供の感覚統合について正確な診断をするための資料ではありません。医療機関や療育センターを受診するひとつの目安として活用してください

実際に感覚統合に問題があるとわかった場合は、感覚統合療法がとられます。感覚統合療法では、作業療法士の指導のもと、遊びを通して感覚機能の発達を促すことを目的としたトレーニングが行われます。

自己流で悩みながら感覚統合を行おうとしても、うまくいかないことも少なくありません。また、問題と思われる子供の行動が、必ずしも感覚統合が原因で起こっているとは限りません。
子育ての悩みによるストレスで、両親の心身に不調が出てしまうこともあります。適切な対処のためにも、まずは専門機関に相談することが大切です。医療機関や療育センターに相談すると、自宅や学校での過ごし方、トレーニングの仕方もアドバイスしてもらえますので、まずは相談してみてください。

日本感覚統合学会JSI-R:Japanese Sensory Inventory 感覚機能の発達状態を知るための資料

おわりに:感覚統合は少しずつ完成させていくもの。トレーニングで改善できる場合もあるので、早めに専門機関に相談しよう

感覚統合とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の「五感」と「固有受容覚」と「前庭感覚」の7つの感覚を整理、分類して身体をコントロールすることです。刺激を受けながら、子供の頃から少しずつ完成されていきます。発達障害の子供など、感覚に偏りがあったり、落ち着きのなさや特定の感覚への過敏がみられたりする子供は、周囲の子供よりも感覚統合が遅くなることがあります。子供に気になる行動がみられる場合は、早めに医療機関や療育センターに相談しましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

発達障害(22)