記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/5/9
記事監修医師
前田 裕斗 先生
子供を育てる保護者はみな、病気にならないよう、抵抗力を授けたいと願うでしょう。なぜ子供に予防接種が重要なのでしょうか。
この記事では、気になる予防接種についてまとめました。
麻疹にかかると、どのような発疹が出るのでしょうか。ポリオの症状はどのようなものでしょうか。流行性耳下線炎はどうでしょうか。現代の保護者は、こうした子供の重篤な病気について聞いたことはありますが、実際にそうした伝染病がどのようなものなのかについては漠然としか思い描けないでしょう。それも驚くことではありません。おそらくほとんどの人たちは子供の伝染病について間近でみたことはおそらくなく、写真を見たことがあるだけかもしれません。
これらの病気が昔の医療の記憶だけとなっている理由が、乳幼児の予防接種です。予防接種のおかげで、かつては国内で深刻な脅威であった子供の伝染病、天然痘、ポリオ、ジフテリア、麻疹、風疹、流行性耳下腺炎などを防ぐことができるようになりました。
ワクチンが子供たちを守り続けるために、子供たちはワクチンを接種し続けなければなりません。また、子供のワクチン接種は、子供自身だけでなく、子供の友だち、住んでいるコミュニティーの大人たちの健康を保つためには最良の方法のひとつなのです。
子供が必要なワクチンを接種するにあたっては下記を参照してください。
小児科医と話してみましょう。小児科医ほど、ワクチンの重要性を理解している人は他にはいません。小児科医に、子供が受けなければいけない予防接種とその時期を尋ね、子供が予防接種の接種スケジュールから遅れていないか確認しましょう。
予防接種のときは、次のような準備をしてみましょう。子供が上手に予防接種を受けられるように、お気に入りのおもちゃなど、子供が気をそらすことができるものを持っていきましょう。予防接種後は何かご褒美をあげるようにしましょう。
予防接種は、スケジュール通りに受け続けましょう。医師のところで、スケジュール通りの定期健診を受けるようにすれば、予防接種もスケジュール通りに受けることができるでしょう。
予防接種のことを考えると、いろんな意見がネットやマスコミに氾濫しているので、怖ろしくなるかもしれません。しかし、予防接種について、通常は副作用はほんの少しで、防ごうとしている重篤な病気から子供を守ってくれる利益がより重要と考えられています。
ワクチン自体を知ることも役立つでしょう。ワクチンとは、ポリオ、麻疹等の特定の病気を引き起こす病原体から作られる薬液です。こうした微量の病原体に体が曝されたとき、体内では、後にその病原体と戦うことに役立つ非常に有効な免疫反応が高まります。どれぐらい有効性があるのでしょうか。統計的には幅があります。
例えば、麻疹ワクチンの接種ができるようになった1963年より前は、アメリカにおいて、ほぼ全ての人が20歳になる前に麻疹にかかっていました。1,000人に3人が死亡しており、数え切れない人が重症になっていました。予防接種が可能になると、感染ケースがそれ以前と比べて99%減りました。
百日咳の予防接種が開発される前は、毎年アメリカで何千万人と感染者、数千人の死者が出ていました。今日では、アメリカでの年間の感染ケースは7,000で、死者は10人程度です。その一方、百日咳のワクチン接種ができない世界の別の地域では、今でも毎年300,000人が百日咳で死亡しています。
国内でも、日本脳炎は、昭和 50 年代~平成3年までは 50 人を超える発生があった年もありました が、平成4年以降の報告患者は年間 10 人以下です。平成 26 年は2人の報 告がありました。
〔出典:厚生労働省「日本脳炎ワクチン接種に関するQ&A」 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou21/dl/nouen_qa.pdf 〕
一般的に、幼児期の一連のワクチン接種が子供をこうした伝染病から守っていると言えるでしょう。自分の子供が病気に感染しないでいられるのは、他の子供たちもワクチン接種を行っているからです。その理由は、ワクチン接種を受けていない子供はこうした伝染病にかかる可能性があり、その病原体を自分の周りに広げてしまう可能性があるため、ワクチン接種を受けている、またはワクチン接種が不完全な子供や赤ちゃんに感染させてしまうかもしれないのです。このため、予防接種を受けることは、自分の子供の健康だけではなく、友人や隣人、自分の住むコミュニティーに住んでいる人たちの健康も守ります。
予防接種は大切ですが、子供が元気なときに受けることが大事です。予防接種を受けるときは、子供の健康状態を確認しましょう。