認知症の人を介護するときに知っておきたいポイント

2026/1/20

家族が認知症になると、介護者には戸惑いや不安が生じます。認知症の介護では、病気への正しい理解と適切な対応法を知ることが何より大切です。ここでは、認知症の方を介護する際のポイントや利用できる支援策について紹介します。

認知症とはどのような病気か

認知症は、脳の病気などにより記憶力や判断力が低下し、日常生活に支障が出る状態を指します。日本では高齢者の約5人に1人が認知症になると予測されており、誰にでも起こり得る身近な問題です。認知症にはアルツハイマー型、血管性、レビー小体型、前頭側頭型などいくつかの種類があり、それぞれ症状や進行の仕方が異なります。しかし共通して、症状には中核症状(記憶障害や見当識障害など)と行動・心理症状(BPSD: 徘徊や暴言、抑うつ、不安など)が現れます。介護する家族は、これらの症状に振り回されてしまうことが多いため、病気を正しく理解し、適切に対処する知識を持つことが重要です。

専門機関や地域のサポートを積極的に活用

認知症の介護は家族だけで抱え込まず、早めに専門機関や地域の支援を利用しましょう。

早期受診と治療で進行を遅らせる

物忘れが目立ってきた、同じことを何度も言う、といった兆候に気付いたら、早めに専門医(物忘れ外来や認知症外来)を受診しましょう。認知症には改善が難しいものもありますが、中には治療可能な原因(正常圧水頭症や甲状腺機能低下症など)もあります。また、アルツハイマー型認知症でも薬物療法により進行を緩やかにすることが期待できます。本人が嫌がる場合でも、「健康診断」や「もの忘れ相談」と説明するなど工夫し、まず専門家の評価を受けることが大切です。早期に診断を受けることで、適切な治療やケアプランを立てやすくなります。

認知症カフェや家族会につながる

地域には、認知症の当事者や家族が気軽に集える認知症カフェや家族の会があります。認知症カフェではお茶やお菓子を楽しみながら情報交換や相談ができ、地域社会から孤立しがちな認知症の人と介護者の心理的負担軽減に役立つ場となっています。家族会では、同じ立場の介護者同士で悩みを共有し、先輩介護者からアドバイスを得られる貴重な機会です。こうした場につながることで、「自分一人ではない」という安心感が得られ、介護ストレスの軽減にもつながるでしょう。地域包括支援センターに問い合わせれば、お住まいの近くの認知症カフェや家族会を紹介してもらえます。

本人の尊厳と安心感を大切に接する

認知症の方の介護では、症状への対応に追われがちですが、何より本人の尊厳を守り安心してもらうことを心掛けましょう。

過去の経験や好きな話題で心を開く

認知症の人でも、昔の思い出や好きな話題は生き生きと語れることがあります。介護の合間に回想法を取り入れて、本人の若い頃の話や趣味の話題を引き出してみましょう。アルバムや懐かしい音楽などを活用すると効果的です。「昔はこうだったね」「○○さんは料理が得意だったね」といった声かけは、本人に安心感を与え、自尊心を保つ助けになります。否定したり訂正したりせず、穏やかに耳を傾けることで、心を開いてくれる場面も増えてくるでしょう。

できることを活かし自信を引き出す

介護する側が先回りしすぎず、本人にできることはできるだけ自分でしてもらうことも大切です。たとえ時間がかかっても、着替えや食事など自分でできる動作は見守りながら任せることで、本人の自信や達成感につながります。うまくできたときには笑顔で褒め、失敗しても責めない態度を心掛けましょう。また、簡単な家事や手伝いをお願いするのも有効です。「お茶碗を拭いてくれる?」「一緒に野菜を洗おう」など役割を持ってもらうことで、生きがいを感じてもらえます。できないことに目を向けるより、できることを見つけて活かす関わり方が、お互いの笑顔につながります。

まとめ

認知症の家族を介護するときは、病気の正しい理解と周囲のサポートの活用、そして何より本人の気持ちに寄り添う姿勢が重要です。つらいときは専門家や同じ立場の人に相談し、適度に肩の力を抜きながら介護を続けましょう。認知症になっても尊厳を持って生活できるよう、家族としてできる限りの工夫と愛情を注いでいくことが大切です。

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