記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/29 記事改定日: 2019/2/17
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
花粉症が重症化すると、どのような状態になるのでしょうか?また、花粉症の症状は手術で回復するのでしょうか?
この記事では、重症の花粉症について解説していきます。つらい花粉症に悩んでいる人は、セカンドオピニオンなどに役立つ知識として頭に入れておきましょう。
花粉症の症状が重くなる理由としては、花粉量が多かったり花粉飛散日数が長かったりもありますが、遺伝や体質なども関係することがあります。花粉が飛散し始める前にマスクやメガネなどで対策をしたほうが症状が出にくくなりますので、花粉対策が十分でなかったということも理由のひとつになるかもしれません。
また
なども、花粉症の症状悪化に関係しているといわれています。
花粉の飛散量や飛散し始めた時期が去年と変わらないのに明らかに症状が悪化していると感じるなら、花粉対策や生活習慣を見直したほうがいいかもしれません。
症状の感じ方には個人差があるので、一般の人が重症かどうかを見極めるのは難しいですが、ひとつの目安として以下のこと基準にしてもいいでしょう。心当たりがある場合は、早めに病院を受診することをおすすめします。
花粉症の治療では、症状の種類や基準となる重症度などを参考に医師の判断で治療方法が決定されます。単独の治療法をとることもあれば、複数の治療法を組み合わせることもあります。
くしゃみもしくは鼻水(鼻漏)の症状が鼻詰まりよりも強い場合は「くしゃみ・鼻漏(鼻水)型」、鼻詰まりの症状の方が強い場合は「鼻閉型」になり、くしゃみ・鼻水・鼻閉の3症状が同じくらい強い場合は「充全型」に分類され、重症度はくしゃみ・鼻水・鼻詰まりの3症状の程度や、日常生活への支障度、局所所見などにより診断されます。
くしゃみや鼻汁などの症状には、抗ヒスタミン薬や鼻墳霧用ステロイド薬が処方されることが多いですが、鼻閉(鼻詰まり)の症状がある場合は、抗ヒスタミン薬と鼻墳霧用ステロイド薬に加えて抗ロイコトリエン薬が処方されることもあります。
また症状に応じて、血管を収縮させて鼻粘膜の浮腫を取り除く作用のある「点鼻用血管収縮薬」が使用されることもあります。
ただし、点鼻用血管収縮薬には即効性がある反面、連続して使用すると鼻炎症状が悪化することがあります。また、ステロイド薬も長期間使用をすることにより副作用のリスクが高まります。
目の症状が強い場合は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の点眼薬タイプを使用します。
ステロイド点眼薬が処方されることもありますが、白内障や緑内障の人は使用できない場合もあるので、自己判断で点眼薬を使うことは絶対にしないでください。
花粉症の原因(アレルゲン)であるスギ花粉の抽出物を、2~3年の長期間かけて体内に投与し、アレルゲンへの耐性をつける治療法です。現在は、舌の下にアレルゲンを入れる舌下免疫療法が主流になっています。ただし、口内炎やのどの症状、耳のかゆみなどの副作用やアナフィラキシーショックが起こることがあります。
鼻の中央の仕切り(鼻中隔)の歪曲により鼻詰まりが起きている場合は、その歪曲部分を切除する手術が行われます。
下甲介(鼻腔の外側壁から内側に向かい突出する骨性の高まり)は、アレルギー反応が発生しやすい場所で、この部分が腫れる事により鼻詰まりが起きている場合は、下甲介を縮小して通路を広げる治療が行われます。直接的に下甲介粘膜の切除を行う「鼻甲介切除術」や、下甲介の中にある下甲介骨を取り除く「粘膜下下甲介骨切除術」の2通りの手術方法があります。
後鼻神経は、花粉による刺激を脳に伝達したり、鼻汁の分泌をコントロールしている神経です。アレルギー性鼻炎の症状が強い場合や、下甲介焼灼術や後鼻神経などの術後すぐに再発した場合など、後鼻神経を切断する手術を行います。
鼻内の粘膜にレーザー光線を照射して焼灼することにより、アレルギー症状を引き起こしている部分を変質させ、鼻水・鼻詰まりなどの症状を改善します。
花粉症の重症化を防ぐには、ひどくなる前に適切な治療を受けることが大切です。一度重症化してしまうと、治療が難しくなって長期間にわたる投薬や手術が必要になることもあります。
また、毎年花粉症を繰り返す人は、春になって花粉が飛散する前から予防的に抗アレルギー薬を内服するのもおすすめです。かかりつけの医師に前もって相談しましょう。
花粉症の症状を軽くするには、何より花粉対策が必須です。花粉が飛散する時期には
など花粉を吸い込む機会を極力減らすように心がけましょう。できれば、花粉が飛び始める前から対策を始めたほうがいいです。また、ニュースの花粉症注意報をチェックし、花粉の飛散量が極端に多い日はなるべく外出を控えるなどの対策も忘れないようにしてください。
くしゃみや鼻水が1日11回以上起こったり、鼻づまりによって呼吸数が多くなるなどの症状が見られる場合は、花粉症が重症化している可能性があります。重症化を避けるには、薬の使用に合わせてアレルゲンを遠ざけることが大切です。
治療は、薬物療法や点眼薬による治療を中心に進められていきますが、それでも症状が良くならない場合は、手術で鼻水や鼻詰まりなどの症状を改善できる可能性があります。
自分の症状やライフスタイルに合うように、医師と相談しながら治療方法を決めていきましょう。