高齢者の食事の偏りを防ぐ食品選びのポイント

2026/4/29

食事量だけでなく食品の種類にも目を向ける

高齢期の食事では、食べる量だけでなく、どのような食品を組み合わせているかも大切です。食事量が大きく減っていなくても、同じ食品ばかりが続くと、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが不足しやすくなることがあります。

年齢を重ねると、買い物や調理の負担が増え、食事が簡単なもので済みやすくなります。ひとり暮らしでは、麺類やパン、お茶漬けなどで食事を終える日が増えることもあります。こうした食事が悪いわけではありませんが、主食だけに偏る日が続くと、筋肉や骨、皮膚、免疫機能を保つために必要な栄養が不足しやすくなります。

食品の種類を増やすことは、特別な料理を作ることとは限りません。いつものごはんに卵を添える、みそ汁に豆腐や野菜を入れる、パンにチーズやツナを合わせるなど、小さな追加でも食事の内容は整えやすくなります。

多様な食品を少しずつ取り入れる

高齢者の食生活では、魚、肉、卵、大豆製品、牛乳や乳製品、野菜、海藻、いも類、果物などを、できる範囲でまんべんなく取り入れることがすすめられています。毎日すべてをそろえる必要はありませんが、数日単位で見たときに、食品の種類が偏りすぎていないかを確認しましょう。

魚や肉は、噛みにくさや調理の手間から避けられることがあります。その場合は、缶詰、刺身、そぼろ、やわらかく煮た料理、冷凍食品などを活用すると取り入れやすくなります。卵、豆腐、納豆、ヨーグルトは、調理の負担が少なく、朝食や間食にも使いやすい食品です。

野菜は、生野菜にこだわる必要はありません。加熱するとかさが減り、やわらかく食べやすくなります。冷凍野菜やカット野菜、乾燥わかめ、きのこ類を常備しておくと、汁物や煮物に加えやすくなります。果物は食欲がないときの補食にもなりますが、糖尿病などで食事管理が必要な人は、量について主治医や管理栄養士に相談しましょう。

食べにくさが偏りにつながることも

食品の偏りは、好みだけでなく、噛みにくい、飲み込みにくい、義歯が合わない、味を感じにくいといった理由で起こることがあります。硬い肉や葉物野菜を避ける、魚の骨を嫌がる、牛乳を飲むとお腹がゆるくなるなど、本人なりの理由がある場合もあります。

食事内容を整えるには、まず食べにくさの原因を探ることが大切です。肉は薄切りにして煮る、魚は骨を取り除く、野菜は細かく切ってやわらかくする、乳製品はヨーグルトやチーズに変えるなど、食品を避ける前に形を変える方法があります。

義歯の痛み、口の乾き、むせ、食後の声の変化がある場合は、歯科医師や医師に相談しましょう。食べにくい状態をそのままにすると、食事の種類が減り、低栄養や体力低下につながることがあります。

家族や介護職が確認したい変化

家族や介護職は、食事の完食量だけでなく、残しやすい食品の種類に目を向けると変化に気づきやすくなります。肉や魚だけ残す、野菜を避ける、水分をとらない、甘いものだけ食べるといった傾向が続く場合は、食べにくさや体調変化が隠れていることがあります。

数か月で体重が減った、疲れやすくなった、歩く速度が遅くなった、食事に時間がかかるようになった場合は、栄養状態の確認が必要です。急な食欲低下、発熱、嘔吐、下痢、意識がぼんやりする、呼吸が苦しいなどの症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。

食品の種類を増やすことは、食事を難しくすることではありません。本人の好みと生活環境に合わせ、買いやすいもの、調理しやすいもの、食べやすいものを少しずつ増やしていくことが、毎日の健康を支える基本になります。

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